映画化きっかけで、棚に置いてあったので何 となく購入。 amazonじゃぁ、あんまり評価が高くなかっ たのですが私は面白かったです。

逆に世間に評価の高い『告白』があんまり だったんですよね。 ライセンス藤原さんも、お気に入りだったよ うなのですが…。 ちょっとリアリティとフィクションのバラン スが私とは相性が悪いというか。 いや、理系女子だからっていう理由で建物 吹っ飛ばせるほどの爆弾作れるか?とか。 …というわけで、その後はあまり追いかけて なかったのですが、久々の湊さん。

ある田舎のOL殺人事件が起きる。 被害者の同僚がフリーライターに電話する。 グルメレポしか担当できず報道記者を夢見て いたライター赤星は、 チャンスとばかりに周囲に取材をかけてい く。

小説は、その最初の電話で始まり、赤星の集 めた資料をベースに マンマロー(ツイッターみたいなもの)、雑 誌新聞記事、ブログによって構成。 ほとんど本人不在のまま、周囲の人の証言で 浮かび上がっていくのは

『火車』に似てい

宮部みゆきさんの『理由』

るかも。

酷評される方に関しては、事件そのものの陳 腐さとギミックに 閉口されているのかもしれませんし、それは 分かります。

事件そのものの稚拙さ(無理があるところも あるけど)は、 かえって「現実ってそんなもんだよね」と思 う。 これはどれだけ人が無責任に悪意を持って発 言をしているかを書いているのですが。

全員が全員どこか嘘をついてる。 保身と自己顕示欲。 無意識に「話を盛ってる」。 なんだったら、善意の人と自分は思ってい る。

小説では狂言回しとなるライター赤星はペ ラッペラで 注目されればいいという、扇情的な文章を書 く。 これは内容は異なれど「ダウンタウン解散」 を報じたライターと同じ気質がした。 証言をとってる時点で、自分の中でストー リーは決まっていて、 それを都合のいい箇所だけピックアップし歪 曲して構成する。 人を「自分が注目されるための手段」としか 扱っていない感じ。 その彼のツイッター(劇中ではマンマロー) のつぶやきが後半に掲載されてるんだけど 操作途中で思わせぶりなことを呟いちゃうあ たりにリアリティを感じる。 今のSNSは、すぐにリアクションが返ってく る。フォロワーが増える。 そうするとそれが自分の影響力と勘違いをし てしまうこともある。 自分がすごく力を持ってるように思ってしま うのです。

城野美姫の見方であろうとする友達も一見正 しいのだけれど、 身近な人がニュースで騒がれる容疑者に上 がったことに対しての 義憤と同時に興奮が透けて見えるというべき か。 内容の重さに比べて、ツイッターの言葉があ まりに軽い。

城野美姫自身の証言も、多分、同じ。 係長が保身に走ってるから胡散臭く見えるけ れど、 城野美姫が盛っちゃってるところも多分にあ るように感じました。 肉体関係以外は、係長側の証言が正しかった んじゃないかなと思っています。

正直、自分自身も似たようなこと、やっ ちゃってたことがある。 仕事で公式ツイッターをいじっていたことが あっりました。 メジャーなものではないけれど、煽るとどん どんフォロワーが増えていき、 それが1万を超えたあたりから妙な優越感を 感じちゃったんです。 最近は、怖くなったのでちょっと距離を置い て管理を後輩に預けたのだけれど。

なのに、ブログとか始めちゃったわけだし なー(ーー;) 冒頭でアマゾンでは低い評価を付けられて るって書いたけれど、 わざわざそういうところに書き込む人だって 正直同類だとも思う ・・・と言ったら、気分を害されるでしょう が。

事件そのものはありきたりで雑なのと対照的 に、 「お前のことだよ。」と指を刺されてる感じ の小説。

映画も観てみようかしら。 個人的に殺害されるOL役の菜々緒さんがすご くハマり役。 なんというか作り物感があるところが。 (たぶん、デカすぎるカラコンのせい)

映画は映像なので赤星がライターではなく映 像ディレクターですね。 それもどうやって演出されるかも見てみたい です。 (ただ、予告で見た限り夕子ちゃんのお部屋 がおしゃれすぎなのが気になりました。)



白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫)
湊 かなえ
集英社 (2014-02-20)
売り上げランキング: 28




ネーミングがかぶってたね。
ねば塾 白雪の詩 2個入り×2セット
ねば塾
売り上げランキング: 870