お辞儀について考える | 社長のスピーチコーチ 森 裕喜子のプライベートブログ

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経営者やトップアスリートのスピーチコーチ、森裕喜子が日々のプライベートな出来事などを綴ります。(2021年8月よりプライベート版に改定)

FACEBOOKで流れていたWEB記事に、お辞儀関連のものを発見。

両手を下腹の前で合わせるお辞儀は正しくない!

おお〜、ズバッといきますねえ^^;

デパートの店員さんやテレビの女性アナウンサーのような方達が行っている、
両手をおへその下あたりで合わせ、肘が外に張る、あのポーズ。
それを指摘していたようでした。

まあ、あれはあれで、一つのやり方なんでしょうね。

記事に同調するわけではありませんが・・・私はスピーチプレゼンの視点から書きたいと思います。

あの立ち方、リーダーとして人前で話す立場の方には適しません。

なぜならば、自然な体の使い方ではないからです。

例えば、
大空の下、晴れ晴れとした気持ちで深呼吸をするときを想像してください。
手はどこにあるでしょう。
両手を前に合わせて行う人は、まず、いないはず。
腕も胸も大きく開きたくなりますから、手は前で組みたくないでしょう。

コーラスをする人たちの姿を思い浮かべてください。
やはり、腕は脇に垂らして歌っています。

ご自身でやってみると実感できます。
手に何も持たず、すっと立ってみる。
両腕は自然と体側(体の脇)に垂れるのがわかります。

それでは次に、両手を下腹の前、あるいはもうすこし下あたりで合わせると、どうですか。
ゆったり、堂々、と言った気分ではなくなると思います。

このように、
人前に出て声を出す際には、腕を脇にして堂々と立つことが、基本!

ですが、
実際にこの立ち方をしようとすると、
手持ち無沙汰になり、手を前に合わせたくなってしまう人が続出します。
これ、しっかりと二本足で立てるほどに腹が決まっていない!安定していない!という証拠です。

だからこそ。

体の軸を真っ直ぐにし、何にも頼ることなく、腹を決めて己の足でしっかりと立つ!
これができるようになったら、堂々と人前に出る自信がついた証拠です。


さて、ここからが本題、お辞儀についてです。

両足を揃え、腕を脇に垂らして立ち、
上半身を腰から折って頭を下げていくと、脇にある手は自然と太ももの前をスライドしていきます。
頭が下がるごとに手も下がり、一番深いお辞儀では手が膝の上あたりに来ます。
これが体の理にかなったお辞儀です。

このお辞儀は、800年続く「小笠原流礼法」のものです。

「小笠原流」は一子相伝で伝わり、現在の宗家・小笠原清忠氏は31代目になります。
武士が日々鍛錬した礼法が現代にまで伝わっているのです。
なんともすごい。

武士の学びは、ビジネスで戦う現代人にも通ずるところがあります。

私も、短い間ではありましたが、学ぶ機会を得ました。
礼法というと、難しい、堅苦しいイメージでしたが
やってみると、体の本来の動きを生かした無駄のない、なんとも美しい所作!
驚きと感動がありました。
その上、お辞儀はそもそも相手と呼吸を合わせる動作。
呼吸に関係するとあれば私にはもう感動的な発見だったわけで・・・

書き出すとキリがないのでこの辺にしておきますが、
興味がおありの方は是非、ご自身で体験してみてくださいませ!オススメいたします。

体幹とか、コアとか、昨今いろいろ言われております。
しかし日本には800年も昔からそれに相当するものがあるのですよ・・・
すごいことですよね。


長々と書いてしまいました^^;

まとめ。

堂々と人前で話そうというリーダーには、
手をお腹の前で合わせたお辞儀はふさわしくありません。
また、お辞儀の際に手をお尻に回す方も見かけますが、これもやっぱりおかしいなことです。
どうぞ、ご注意くださいませ。

人間の表現や言葉は時代や文化、考え方によって移りゆくもの。
ですが、体本来の機能を活かし、理にかなった方法というものは時空を超えるのです。

スピーチプレゼンにおいても、
その方が本来持っている力を発揮できる根源的な方法論をお届けしたいと、日々心がけております。


(注)小笠原流礼法と言いながらも「手を下腹の前で合わせる」ものがあるようですが、800年の歴史ある小笠原家とは別物であるようです。




<小笠原流について>

http://www.ogasawara-ryu.gr.jp/aboutOGS2.html


<おすすめの本>

*三十一世宗家 小笠原清忠氏の著書
一流の人はなぜ姿勢が美しいのか―日本人が八〇〇年伝え継いだ本物の礼法/プレジデント社
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*三十一世宗家のご子息、小笠原清基氏の著書
小笠原流 美しい大人のふるまい/日本実業出版社
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森 裕喜子