これは、ラグビーやコーチ法に関する本ではなかった。
エディーコーチが日本の国、人、文化を俯瞰する本。
エディー氏は言う。
「日本のラグビーが勝てば、日本は変わる」
この言葉は以下のような考察から出ている。
ラグビー発祥の地イギリスと日本は、似ているところがある。
19世紀に産業革命で発展したイギリスは
21世紀の今も変化せず、そのままである。
日本は第二次世界大戦後すばらしい大発展を遂げたが、
ソニーのような世界を席巻したクリエイティビティーと成功はいま、嘘のように消えてしまった。
成果を上げ満足した状態に留まって安定を求め、変化しない。
するとチャレンジや創造性は失われ、
いつの間にか「安定」は「停滞」へと変わってしまう。
国がそんな状態ならば、その国のスポーツも然り。
どうしたら日本は現状打破できるのか。
エディー氏は「自分たちを信じることだ」という。
すばらしい大発展を遂げた日本は当時、自分たちを信じ、自分たちのやり方でやりきった。
すでにそれを経験しているのだから、また自分たちを信じて進めばよいと。
互いに信じ合い、勝つことを信じてやりぬく。
そうすれば日本全体が再び動きだすという。
「日本ラグビーが勝てば、日本は変わりますよ」
オーストラリアから、
エディー・ジョーンズというリーダーが日本を変えるためにやってきた。
変化は、経済でも政治でもなく、スポーツの世界から始まろうとしている。
日本は、ラグビーをきっかけに変われるか。
次のW杯日本戦は、10月12日。
森 裕喜子