骨盤、インナーマッスル、能、とあれこれ勉強するうち、こんな本に出会った。
- 身体感覚を取り戻す―腰・ハラ文化の再生 (NHKブックス)/日本放送出版協会
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そこには、この本のことが書かれていた。
- ボンジュール ジャポン―フランス青年が活写した1882年/朝日新聞社
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1882年というから、そう、132年前である。
・・・とは思えぬような、洒脱な日本女性が表紙だ。
顔立ちといい、着物の裾といい。
そして中面を開くと、まあ、なんとすごいジャポンの人達の姿!
商人はかごを天秤にして絶妙なバランスで売り歩き、
車夫はみなジム通い!?のような立派な体躯。
写真を通してみてもわかる、足腰はがっちりと安定し、姿勢が良く、地に足がついて堂々としている。
ひゃ~。こんなに、腰や肚が座ってたんだ!当時の日本人!
それにひきかえ今は・・・
そこで、突然、高校生の腰パンについて閃いたことがあった。
「腰パンは、現代の腰肚文化的希求」ではないか!
街で男子高校生を見かけると秘かに
なんでそんなに低くズボン履いてるんだ~!
と背後から叫んでいた。
ナゾの腰パン。
その理由が閃き、分析出来た?・・・気がするのだ。
まず、腰肚文化について。
腰は身体の要。そして、肚(はら)。丹田とも言っていいだろう。
着物に帯で骨盤あたりをしっかりと引き締める。
足腰が安定し、肚が座り、姿勢がよく、力強く立つ。
身体が安定すると、自然と気持ちも引き締まる。
これが、腰肚文化というものだろう。
帯はウエストではなく、腰つまり骨盤の辺りに巻くものだっだ。
男性だけでなく、この本の表紙の女性もそうであったように。
いま成人式で見かける
ローラーで色を吹いたような布にお腹ガチガチの帯でヨロヨロと歩くキモノとは、全く違ったのだ。
着るものに留まらず、
能などの伝統芸能やあらゆる「道」~剣道、武道など、
日本の伝統文化は腰や肚が持つ本来の力を活かしたものである。
現代は、ウエストを中心として作られている西洋の服(ズボンやスカート)。
骨盤に注目した下着が売れたり、骨盤と名のつく運動が最近人気なのは、
「腰肚のパワー」を取り戻したいと、私たちの身体が暗に訴えているのかもしれない。
この延長で考えると、
男子高校生達がわざとズボンを下ろして腰骨(骨盤の一部、腸骨)にひっかけるようにしているのは、
彼らなりの「腰肚文化を取り戻したい」気持ちの表現なのではないか?
もちろん、
NBA選手のようなクールな姿を真似かもしれないし、
シャツをズボンの中にタッキングする昭和なダサさへのアンチでもあろうけれども。
なんともゆるゆるしたように見える男子高校生よ。
骨盤にズボンを下ろす本心は「ビシっと引き締めたい!!」
・・・なのかも、しれないね!!きっと!!
余談だが、
明治生まれだった私の祖父は、元祖腰パン族であった。
何を隠そう、下着からして「腰パン」であったのだ。
妻である祖母は、夫の「腰パン」のために、下着のゴムの強さの加減にいつも苦労していた。
新品のパンツのゴムをわざとゆるくする、おばあちゃん。
ごきげんに、風呂上がり、腰パンツで廊下を行くおじいちゃん・・・^^;
腰が安定し、姿勢がよく、丹田にしっかりと力が入っている。
そうすれば呼吸も深くなり、声も良くなる。
発声には、とにかく、これが必要なのだ。
発声練習も大切ですが、
武道や日本の伝統芸能をやることも大変に意義深いことであります。
森 裕喜子