成長を自分で止めるもの | 社長のスピーチコーチ 森 裕喜子のプライベートブログ

社長のスピーチコーチ 森 裕喜子のプライベートブログ

経営者やトップアスリートのスピーチコーチ、森裕喜子が日々のプライベートな出来事などを綴ります。(2021年8月よりプライベート版に改定)

本日の体験から、ブログを。。。。

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スピーチプレゼンのトレーニングサービスを提供する際に一番難しいことは何か?

それは「トレーニングを受けるお客様ご自身が、自己開示されること」である。

トレーニングでお目に掛かる方で
「人前で話すのが苦手、嫌い」という方の多くは、
実際に話せないのではなく、
自己開示することを好まれない傾向が高いと感じる。


ここで言う自己開示とは、
自分らしさ、自分らしいことを外に向かって開き、
物理的にそれを「外界(自分以外の人)」へ伝えること。
言葉で伝えるだけに限らず、ノンバーバル(非言語)も当然含まれる。


自己開示しない/できないから、人前で話すのが苦手なのか。あるいはその逆か。
「自己開示」と「人前で話すのが苦手」は、まるで卵と鶏。

また、その意識すら無い場合もある。

自己開示しないことは、自ら成長や変化を止めることになる。


トレーナーだからといって
「さあとにかく自己開示しましょう」などという野暮は、当然しない。

誰だって自己開示することに多かれ少なかれ躊躇はある。
特に、スピーチプレゼンという不特定多数に向けて自分をさらけ出す場面なのだ。
勢いでやりのける、なんてことは出来ない。

世の中には、勢いで乗り越えて人前で話すようなやり方も見受けられるが、
これは本質的な自己開示や自分らしさとは違う。
一過性の突破口のひとつになりうるかもしれないが、
聞き手からすると、なんだか、しらじらしい雰囲気がする。
よって、聞き手の心や行動を本質的に動かすものではない。

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自己開示にはステップがある。


1)まずは
トレーナーの私に向けて
お客様ご自身を開示していただくことが第一歩。
私を信頼していただけるよう、心を砕く。


2)次に、
自己開示する方法を学んでいただく。

人前で話すのなら、聞き手を動かす話がしたいもの。
このブログでも何度も書いているが、聞き手を動かすには「共感」が不可欠である。

「体験談」「具体例」は最も聞き手の共感を呼びやすいコンテンツ。

自分の体験や思いを話す「自己開示」は、共感を呼ぶのだ。


3)さらに、
自己開示する不安や恐怖、思い込みを外す。

自己開示できない理由のひとつは「思い込み」だ。

こんなことを言ったら、変だと思われるのではないか
人と違っていて、おかしいのではないか
こんなことは自分だけが価値があると感じているだけなのではないか

伝える前から、自分自身で枠を作り、そこを越えようとしなくなる。
思い込みがあるものに限って実際にやってみたら「なんだ、思ってたのと違った」ということは多いもの。


4)やがて、
トレーニング中に自己開示を体験されるようになると、
不安や恐怖が緩和されていく。

「自己開示してよかった。話すことも楽になった」となる。

マイナスなものに感じていた自己開示が、プラスに動く。


5)仕上げに、
本番でこれを実践するようになると、
共感がうまれることで聞き手とのコミュニケーションが変わる。
話し手は、明らかに「わたしの話が伝わった」と手応えを感じる。

当然、話すことに対する恐怖と不安からも、解放される。


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こうしてみると、
トレーニングの進捗は、まさに、お客様ご自身が自己開示されていく段階そのもの、なのだ。


今日こんな記事を書いたのも、
以前は「人前で話すのが大嫌い」だったお客様が
おおいに自己開示され、ご自身の体験や考えをしっかりとお伝えになられている
記事を拝見したためである。


よかった。涙。


自分自身を外に伝えてよいのだ、
と自分に許可を出すことで、
思い込みを手放し、自らを苦しめていた自分自身から開放される。


聞き手の共感を呼ぶために自己開示をする、というのでは、もはや狭義すぎるだろう。

聞き手を動かすことと、自分から離れていくこと。

この2つは同義かもしれない。




自分から離れる。


人前で話すことは、禅、か・・・。



森 裕喜子