我が街のドトールが、好きである。
コーヒーを飲みに行く、
というより、
店長の顔と声を観に行き、歓待されに行く。
店長は、ことさら声がよい。
まろやかに包み込むような、声質。
密度が高く、外側はネルの生地みたいに当たりが柔らかい。
音楽用語で言うところの、ソットボーチェのタッチ。コーヒーでひと休み、にはぴったり。
声の大きさも申し分なく、すっと客の耳に収まる声のD&D*が出来ている。
(注)* これはJUDYのトレーニング専門用語。
発する言葉はすべての客に配慮が感じられ、暖かく、ほっとする。
従って、その雰囲気は店内全体に行き渡り、そう大きくない店だが大変居心地がよく、常に繁盛している。
私は常にレジ前のカウンターに座る。
おとなしくコーヒーを飲みながらリフレッシュすると同時に、
店長の声を聞き、スタッフを観察するのが楽しい。
スタッフの
オーダーの通し仕方、
カップのセットの仕方、
おつりの渡し方、
次の客のあしらい方、
そして帰る客への挨拶の仕方。
なんとなく、愛すら感じさせる暖かさがある。
その大きな要因、源となっているのは、店長の声~声質と、その言葉~だろう。
店長は率先して声を出している。
いらっしゃいませ
ありがとうございます
恐れ入ります
かしこまりました
おまたせいたしました
本当によく声を出し、挨拶をされる。
それを聞いたスタッフは知らないうちに真似るようになり、
やがては発声法まで似る。
発声の仕方が似るとは即ち、呼吸の仕方が似て来るということだ。
こうして、自然と店の雰囲気は店長の在り方のままに、出来上がっていく。
来店客はその心地良さを無意識に感じ取り、また来よう、と思う。
ちなみに今日は店長がいなかったが、
店の雰囲気は変わらず良いものであった。
店長がいなかった分、
私の集中力は本へと注がれ、読書が捗り、気がついたら3時間経っていた。
怪我の巧妙か。。。
JUDY