『八日目の蟬』は誘拐犯の女と誘拐された少女との逃亡劇と、
その後の二人の運命を描いた、角田光代原作のベストセラー小説です
この作品を読んで、人それぞれの価値観や
普通というものの基準など色々なことを考えさせられました。
世の中で許されない罪でありながらも、そこに確かな愛は存在していて、
人が人を思う気持ちが形を変えて主人公から伝わる愛情を痛い程に感じました。
愛されていた側もいつかもっと年を重ねた時に幸せだったと思ってもらいたいと思いました。
相手を考える気持ちと自分の気持ちのどちらかをとるかで、葛藤は生まれるけれど、
その選択で人生が大きく変わってくるものなのだと思いました。
というのが第一章までの感想です。
角田さんの言葉の表現の仕方やフレーズの響き、
情景が次から次へと溢れるほど見えてくる文章がとても素敵だと思いました。
第二章にいくにつれて、誘拐された子供について深く書かれてあり、
その後の人生で辛いことが沢山あっても、
他人を責めてしまっても生きていかねばならないのだからと、
自分を変えようという勇姿にはとても感動しました。
話の中に出てくるエンジェルホームという宗教団体のような人達の言っていた、
「もし魂で人と出会えることができたなら、私たちの苦しみは、ほとんどが不必要だということになるよね、自分は女だ、自分は若くない、自分は醜い、そういう思い込みは全部いらない荷物だと思わない?手放してしまえば、うんと、軽くなるものだと思わないかな」
というフレーズの問に対して、一理あると思い、印象に残った一文でした。
この作品を通じて、
親から愛情を受けることを当たり前に思うのではなく
有り難いことであると再認識して、
今自分の好きな音楽ができている環境にも今まで以上に感謝していこうと思いました。