傾斜 | ウオッカのブログ

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枯れ落ちた土色の葉が、風に押されて道路脇を鼠か栗鼠の如く走って往く。

陽射しは未だ秋だと謂わんばかりに、小春日和の暖かさを射しているが、それが今日までのことかも知れず、明日も同じ陽射しを約束するとも思えない程、蒼く高い空に冬の気配が感じられた。

通りすがりの民家の庭先からは、枝に実った柿が、夕焼けに染まったように色付き、熟れて墜ちた柘榴の実が、道路にぶちまけた肉塊の朱を連想させてはっとさせる。

拓けた所から彼方に見える富士山の頂きには、白い帽子がうっすらと載せられ、丹沢や秩父の山の稜線が、切り取って蒼い台紙に貼り付けたようなコントラストに距離を忘れる。

風に揺れる木の枝のざわめきが、道を往く私の足を心なしか速めると、季節の移り変わりの決着が着いたようで、寂しさと侘しさに囚われながら下を向き加減になってしまう。

何時か何処かで感じた思いを、また繰り返し感じることに、時間の流れが確実に私に年齢を重ね置いて往ったと、苦笑いと溜め息を口許に運ばせた。