ベトナム嫁のお腹、大きいなあとは思っていましたが、先日妊婦検診に行ったら、メジャーでお腹のサイズを測りながら看護師さんが「立派ですね」とひと言。さらにお医者さんにも「大きいですね。そう思うでしょ?」と言われました。


 妊婦のお腹を見慣れたプロから言われるくらいですから、やっぱり大きいみたいです。でも、私は他の妊婦さんのお腹をじっくり見たことなんかないし、平均と比べてどうかなんていうこともわかりません。わかるのはただ、私にとっては大きいということだけ。


 成長曲線みたいなものを見せられましたが、嫁のお腹の子どもは3つある曲線の上の方の線上に位置するようです。つまり、正常の範囲でぎりぎりの大きさ。

 

 

 こうなってくると大きすぎて出産が大変になるんじゃないかと心配です。「小さくても出産は大変ですから変わりませんよ」とお医者さんは言いますけど。


 嫁自身は赤ちゃんが大きいと言われてうれしいようです。私としてはとにかく健康であってほしいと願うのみです。嫁のお産もできるだけ楽に終わってほしい。


 夜ほとんど何も口にしないせいか嫁の体重の増加は抑えられていて、その点はお医者さんからほめられました。



 

 10日ほど前にショッピングセンターでお茶をした後、トレイを片付けるために私が先に席を立ちました。すると、近くに座っていたおばさんと呼ぶべきかおばあさんと呼ぶべきか微妙な年齢の女性が嫁に話しかけました。


 お腹が大きいわね。無事に元気な赤ちゃんを産んでね。というようなことを言われたそうです。

 


 私と嫁の会話を聞いていて、嫁が外国人であることはわかっていたし、日本語が少しできることもわかっていたのだと思います。
 「はい。ありがとうございます」と嫁は答えました。


 「ベトナム人みたいな人だ」と話しかけられたことを嫁は喜んでいました。ベトナム人の人と人との距離感はすごく近くて、知らない人にも気軽に話しかけます。その点、日本に暮らしているとそういう機会はほとんどないので、今回のようなことがあるとうれしくなるのでしょう。

 


 そうそう。やっぱりその女性も嫁のお腹を触っていました。見たらだれもが触りたくなるお腹なんですよね。

 前回のブログをアップした日の夜、偶然初デートのことが話題に出ました。
 焼き鳥屋へ行ったのは初デートの日ではなかったと嫁は言います。いやいや、そんなことないでしょ。あの日だったよ。でも何と言っても嫁の方が二回り若いわけですから、記憶力も私よりずっといいはずです。
 自信がなくなったのでグーグルマップの履歴を確認してみました。すると……やっぱり初デートの日でした! まだまだ若い者には負けませんよ。

 さて、焼き鳥屋から出て駅に向かって歩きました。もうすぐ駅に着くというとき、私は嫁の手を握りました。意を決してとかそういう感じではなく、ごく自然にそうしたように記憶しています。50過ぎまで結婚できない非モテにしてはやるじゃないかと自分をほめてやりたい気持ちです。



 

 嫁は驚いたそうです。最初は偶然手がぶつかったのかなと思ったけれど、手を握られたので握り返したと言っていました。そのまま駅前のデッキのようなところに立ったまましばらく話をしました。


 この日からすでに二人の気持ちは結びついていたようです。

 ベトナム嫁は介護専門学校生として来日しました。日本の介護施設を経営している法人がスポンサーです。専門学校を卒業したら、その法人の介護施設で最低5年間は働かなければなりません。


 私が嫁と知り合った頃、嫁はまだ専門学校生でした。住居はスポンサーが借り上げている一軒家。そこに同じ境遇のベトナム人数人といっしょに暮らしていました。


 私の住まいからはかなり離れていて、乗り継ぎが悪ければ電車で2時間半くらいかかる場所です。


 初めてデートしたのは、嫁の最寄り駅から20~30分ほどの割と大きな街でした。チェーンのカフェで待ち合わせたのですが、嫁はなかなか店を見つけることができず、こちらからメッセージで店の外観の写真を送ったりして、手間取った末にやっと店に入ってきました。

 


 私は思い違いをしていたんです。待ち合わせの店をLINEで伝えれば、相手はグーグルマップか何かで調べて簡単に見つけることができると。
 でも当時の嫁は学校と家の往復しかしておらず、カフェに入ったり食べ物屋さんで外食したりすることはまったくありませんでした。グーグルマップも知らないわけではないけれど、ほとんど使いません。


 だから、「このカフェで何時に」なんていうメッセージを受け取っても、そこにたどり着くのは私が思うほど簡単ではないんですね。
 そのときの私はそんなことをわかっておらず、来てくれてうれしいという思いだけでした。


 初デートですから話題はお互いのことだったと思います。が、内容は残念ながらよく覚えていません。


 夜には、もうすぐお産をする予定の産科病院の近くにある焼き鳥屋へ行きました(もちろん、その店のすぐそばの病院でお産をすることになるなんてそのときには想像もしていません)。

 焼き鳥屋と言ってもおじさんのオアシスみたいな赤ちょうちんではなく、デートにふさわしいかなり洒落たお店です。客層も若者ばかりでした。


 店員さんがコートを預かってくれます。そのとき、嫁の服装を微妙にダサいと感じたのを覚えています。今もあまり変わりませんが、当時の嫁の服はほとんどすべてがベトナムから持ってきたもの。やはり日本のおしゃれな店には不似合いでした。

 


 焼き鳥屋ですからその店の料理はほとんどが鶏肉料理で、初めのうちはおいしいと言っていた嫁も、最後の方はちょっと飽きが来ていた感じでした。


 店を出て駅に向かって歩きます。そして、駅のすぐそばまで来たときに私があることをしたのを嫁は今でもときどき話題にします。

 コロナ時代ということもあり、私たちは結婚式を挙げていません。ベトナム嫁はおそらく不満を持っていると思います。ただ、事情が事情なので仕方がないとあきらめているようです。
 将来ふつうにベトナムと行き来できるようになったら、ベトナムで式を挙げることになるでしょう。その場合、すべて男性側がお金を出すので、旅費も含めるとけっこうな出費になることは確実です。今からお金を貯めておかないと。

 結婚式についてはそんな感じですが、嫁がこだわっていることがあります。それは結婚指輪。私自身はふだん指輪なんかしたくないし、そんなものにお金を出す意味がわかりません。でも嫁は事あるごとに結婚指輪がほしいと言ってきます。
 どうして指輪をしないのかと職場でも聞かれるそうです。独身なのか既婚者なのか聞かれたときにいちいち答えるのが面倒らしい。また、私にも指輪をさせることで浮気を防ごうという魂胆のようです。



 

 日本で結婚式をしていないという引け目もあり、結婚指輪を買うことにしました。調べてみると値段はいろいろです。結婚指輪不要派の自分としてはもちろんあまりお金を使いたくないので、できるだけ安く上げようと探してみました。
 運よく、家から歩いて行けるショッピングモール内にお得な結婚指輪を売っている店を発見。
 休みの日に二人で出かけました。

 お店に入ると、婚約指輪、結婚指輪、そのほか各種の指輪やアクセサリーが並んでいます。結婚指輪のショーケースをのぞくと、様々なデザインの指輪が置かれています。値段の高いものはいろいろな飾りがついているものが多く、シンプルなデザインのものを選ぶと自然と価格の安いものになります。

 いちばんシンプルなものを「これどう?」と嫁に示すと、けっこう気に入った様子。私としては2つとも何の飾りもない無地の指輪がいいと思っていたのですが、女物の方にはすごく小さなダイヤモンドが入っています。



 

 店員さんに声をかけて、実際に手に取ってみます。いいですね。シンプルなプラチナの指輪できれいです。できれば光沢はない方が好みなのですが、仕方ありません。


 次に、指輪のサイズを測ります。と言っても、指回りを測定するわけではなく、各サイズのリングを実際にはめてみてどれが合うかを確認するのです。
 指輪をするのなんて私は初めてなので、どのくらいのきつさがちょうどいいのかよくわかりません。あんまりきつくて抜くのに時間がかかるのは嫌だし、かといって何かの拍子に抜けてしまうようでは落としてなくすのが心配です。


 嫁の方は割とすんなり決まりましたが、私は3つのサイズをはめたり抜いたりしてしばらく悩みました。店員さんは辛抱強く待っていてくれました。
 最終的に、抜くときちょっと大変かなくらいのサイズに決めました。
 あとは、指輪の内側に掘る文字を指定します。そんなの考えていなかったので、単純に二人の名前をローマ字で入れることにしました。


 最後にお支払い。受け取りは1カ月後くらいになります。出産予定日の2週間前です。

 出産後は赤ちゃんの世話で指輪なんかしないだろうし、やっぱりいらないんじゃないの? なんて思っちゃう私は夫失格でしょうか?

 先日再び妊婦検診に行ってきました。
 なんと! 逆子が治っていました!

 


 もう逆子体操とかしなくていいよとお医者さんから言われました。効果があるのかないのかわからない逆子体操はほとんどしていませんでしたけどね。
 ベトナムにいるお母さんからも、逆子は治るから心配知らないと言われていたそうです。
 お医者さんによれば、今までのところ胎児はすこぶる順調に育っているとのこと。よかった、よかった。


 最後に助産師さんとの面談がありました。逆子が治ったのでこのまま行けば通常分娩になりそうだということ。無痛分娩を希望するかと聞かれたので、希望しないと答えます。私はいいんじゃないかと思うんですが、無痛分娩はよくないと嫁は言います。


 コロナが急速に収まりつつあるためか、パートナー1名の分娩立ち合いが認められるようになりました。私はあまり気が進まないのですが、嫁の強い希望で立ち合いをすることにします。そのことも助産師さんに伝えます。


 「陣痛が始まったら1時間くらい待って病院に電話してから来てほしい」
 「胎動に問題があったり、破水したりしたときにはすぐに病院に電話して相談するように」
 などという指示があり、お産が近づいていることを感じます。
 入院の際に必要な持ち物の確認などもしました。すでにだいたいそろっているのですが、産褥ショーツやペットボトル用ストローなどを追加で買う必要があるようです。



 

 病院を出て駅に向かって歩いている途中で1軒の焼き鳥屋を見かけました。「あれっ?」どこかで見たことがあると思ったら、初デートの夕食に使った店でした。嫁にも確認するとそうだと言っていたので間違いないでしょう。
 その店での初デートから、いろんなことがあった2年弱を経て、直線距離で50メートルくらいの病院でベトナム嫁が出産する……。何か不思議な縁を感じます。