https://www.youtube.com/watch?time_continue=179&v=ZbrW1g-V4uc

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=0pFWQHGa0Rg

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=oKdcmi8aPS4

 

小野正利は、超ヘビースモーカーらしい。そして、52歳の現在、「喫煙は喉に何の影響も与えない」と言っているというコメントを頂いたので、彼の歌声が本当に何の影響も受けていないのか聴き比べしてみた。

 

あまりに若い頃の動画では加齢の影響もあるため、ここ15年ぐらいの歌声を探してみた。

一番上が2005年、次が2010年、そして一番下が2017年の歌声である。

再生ボタンを押して再生できない場合は、動画の下に貼っているURLをクリックすれば聴くことができると思う。

 

この3つの動画を聴き比べて歌声の変化が全くない、と私は思わなかった。

一番変化を感じたのは、中・低音域の響きである。また高音域にも変化を感じた。

 

2005年の動画での中・低音域の音色は幅があり、艶のある響きが感じられる。それに比べて、2017年の歌声は全体的にハスキーになっている。また、高音部に於いても、2005年当時は中音域の艶のある音色がそのまま高音域にも反映されているが、2017年の歌声は高音域も明らかにハスキーになっている。

 

確かに一見、高音部はよく出ているように聴こえる。しかし伸びや音量の点で変化が全くないかと言えば、そうではないと私は感じる。

歌声の変化は、先ず、中・低音域に出て来る。この部分は力を入れずに歌える音域だからだ。反対に高音部は発声するのにある程度力を入れれば歌うことが出来る。そのため、多くの歌手は多少声帯のコンディションが悪くても、力で押し切って歌うために声の変化を感じにくい。声帯の状態を知るには、中・低音域を聴くのが一番である。この部分に声枯れや変化が現れれば、黄信号が灯る。乾燥によって声帯の伸縮、特に閉じが悪い影響はこの音域に出やすい。おそういう点から考えても、全く喫煙の影響がないとは私には思えなかった。

 

 

 

喫煙が歌手にとってなぜ悪影響を与えるかと言えば、それは声帯の乾燥にある。

声帯は簡単に言えば、気管の上にある左右一対のひだ(筋肉)だ。発声の時には、そのひだが閉じたり開いたりする。その度に擦れ合いを起こしている。

擦れ合いは高音になる程回数が増える。通常の会話であっても男性で毎秒100回、女性では毎秒200回程度と言われる。

それほどの摩擦で傷や炎症が起きるのを防いでいるのが、周囲からの分泌液や痰である。これらが潤滑油になって声帯を守っている。

即ち、声帯はいつも湿った状態であるのが炎症から守られる条件で、乾燥は大敵なのである。乾燥が酷いと、声帯自身が摩擦によって傷つくリスクが高くなる。話し声でさえ、毎秒100〜200回の振動である。歌ではどれほどの負担を声帯にかけているかは明白と言える。さらにハイトーンボイスは振動回数が増え、非常に声帯に負荷をかけた状態になる。

その負荷から唯一、声帯を守っているのが分泌液なのだ。

声帯は「乾燥対策がカギ」と言われ、歌手は乾燥から声帯を守ることに神経を使う。

それでなくても日本の空気は乾燥している。さらに冬場の暖房や夏場の冷房の空調による乾燥は、歌を歌わない人間でも多くの人が体験済みだろう。冷房の効いた部屋で一晩寝て起きたら、声がガラガラだった、という体験などは誰もが一度はしているポピュラーなものだと思う。

乾燥は声帯の大敵なのだ。

だからこそ、B’zの稲葉浩志は夏場の楽屋で空調を切り、廊下の冷気が入らないようにガムテープで楽屋の扉を目張りするほどの気を遣う。平原綾香は、濡れマスクをして首回りも保護して寝る。

それぐらい歌手にとって乾燥は、恐ろしいものである。

吸入をして、マスクをして、声帯を保護するのは、常に声帯が潤っている状態を保つためだ。そうでなければ、声帯に対するリスクが高いからだ。

 

喫煙が歌手にとって百害あって一利なし、と言われる所以はここにある。

タバコの煙は声帯を乾燥させる。

一部の人の間では、タバコを吸ってわざとハスキーな歌声を作るということがカッコイイと思われていた時期もあるが、長く歌い続けたいのであれば、論外である。

 

小野正利が喫煙が自分の歌声に何の影響も与えていない、と感じるのであれば、それはそうなのかもしれない。

しかし、彼が一時期でも喫煙をやめて歌った期間がなかったとしたら、それは非常に残念なことだと私は思う。なぜなら、彼は喫煙しない状態の声帯での歌声を体験したことがない、ということになるからだ。

 

私はある歌手が喫煙を辞めてから歌声が非常に良くなったのを知っている。、

彼は明らかに長年の喫煙によって、年々、歌声がハスキーになっていた。それは特に高音部で顕著になっていたのだ。

しかし、ある時期、喫煙を辞めた。すると高音部は明らかに響きに艶が戻り豊かな音色になった。その違いは本人自身が一番感じているものでもある。

一度でも喫煙の影響を受けない声帯での歌を経験すれば、その違いは本人が一番知っている。その上でなお、喫煙を選ぶというなら、それはその人の自由だ。しかし、乾燥の負荷をずっと受け続けている声帯の影響は必ず中年以降に出て来る。なぜなら声帯もまた他の器官と同様、加齢の影響を受けるからである。

臓器のダメージは、時間をかけて確実に出て来る。乾燥している声帯は伸縮の柔軟性が損なわれる。その影響が何もないとは思えない。

 

ファンにとっては、歌手の歌声は唯一無二のものである。

彼の歌声がこれから先もファンの期待を裏切らないことを願うのみである。

 

 

 

 

 

 

昨日紹介した別ブログの歌手レビュー記事です。

よかったら訪ねてください。

 

 

平井堅「瞳を閉じて」

http://vocal-review.com/2019/09/01/002/

 

中島美嘉「雪の華」

http://vocal-review.com/2019/09/01/003/

 

林部智史「会いたい」

http://vocal-review.com/2019/09/01/004/

 

三浦大知「ふれあうだけで」(アメブロの記事とは別に書いています)

http://vocal-review.com/2019/09/03/005/

 

Superfly「輝く月のように」

http://vocal-review.com/2019/09/03/006/

 

 

 
 
 
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