城田優×JUJU VocalReview「What A Wnderful Word」

 

はからずも、このブログで取り上げている二人の歌手がJUJUとコラボした。

そのどちらもが、ハーモニーとして成り立っていた。

 

前記事で、コラボの成功の鍵は、コラボする歌手同士の声質が大きな要因となる、と書いた。

城田優の歌声は、非常に親和性が高い。

歌に於ける親和性というのは、どういう声質にも、ピタリと寄り添って綺麗なハーモニーを作り出す声質のことを言う。

歌手の歌声には、それぞれの特徴があり、決して同じ声の人は存在しない。声紋と言われる所以は、そこにある。

即ち、皆、それぞれ、声の波形が異なるのだ。波形には、声帯そのものの形と、口腔内の形が大きく影響する。骨格や筋肉の付き方など、人間の身体は千差万別で、全く同じ姿かたちを持つものはいない。その為、それらの器官を通って、出てくる声も、決して同じものはなく、唯一無二のものになる。確かに、親子間で似た波形の声を持つことが往々にしてあるが、それは、遺伝的要素が大きい。即ち、声帯の形や骨格など、親子間では、似た形になるのが普通で、尾崎豊の息子の歌声が、父親そっくりで多くのファンが涙した、というのは、そういう遺伝的肉体的要素が大きい。

しかし、普通は、皆、違うものになる。

非常に個性的な声を持つ人もあれば、特徴のない声を持つ人もいる。

その中で、城田優の歌声というものは、どんな歌声に対しても、ピタッと寄り添って、主となる歌声の邪魔をしない。

彼が、ハーモニーのが上手いのは、自分の歌声を親和性の高い響きにすることが出来るからだ。

この曲に於いて、主となるメロディーは、主にJUJUが歌っている。それに対して、城田優が主となって歌う部分は僅かに一箇所に留まっている。しかし、彼は、その部分に於いては、きちんと自分の歌声に色を与えて、存在を示している。さらにサブメロディーに回る時は、彼は、自分の歌声の響きから色みを消し、無色透明に近い響きで、JUJUの歌声の3度下をハモり、決して、彼女の歌声を消さない。あくまでも彼女の歌声の響きが、聴衆の耳に届くように歌うのである。

この手法は、JUJUも全く同じように使っている。即ち、自分が主旋律を取る時には、しっかりとした色みの歌声で存在感を示し、城田優が、メロディーを取って、ハーモニーを作る部分では、彼女は、自分の歌声から色を消し去って、城田優の声の響きを際立たせるように歌っているのである。

 

これは、両者が、きちんとハーモニーを作ろうということを主眼に於いて歌っているからにほかならない。

そういう点で、JUJU×三浦大知、JUJU×城田優という組み合わせは、成功したと言えるだろう。

 

 

カバー曲やコラボ曲という、自分の持ち歌でない曲を歌う時、その歌手の音楽にたいするスタンスが見えてくる。

さらに歌手にとっては、自分のスタンスや実力を見つめ直す機会になるのかもしれない。