絶望や,諦めは

望ましくないことだから

絶望せずに,前向きに

諦めもせずに,粘り強く,辛抱強く生きていくことが

何より大切だと思って,長い間生きてきました。

 

しかし,今は,絶望したからこそ

諦められたからこそ

よかったのだと思うことがあります。

 

前向きで,辛抱強く生きていた頃の自分に

すごい勢いで叱られそうな,今の私です。

 

絶望し,諦めた結果として

これ以上,持ち続けながら生きていることは無理!となるまで

膨らみ切った「不安」が

心身から自然に抜けて出ていきました。

 

いくら紛らわそうとしても決して消えることはなく

払拭するために

あらゆる手段を講じてもなくなることのなかった「不安」が

ある時,自分から消えていったのです。

 

今回は,私と「不安」との,いわば戦いの記録です。

 

 

 

自分の苦しみのもとにある感情は「不安」なんだ,と気づいて以来

どうしたらこの「不安」をなくせるだろうか?という問題を解くことが

私の生きる目標になっていました。

 

よし!手放そう!と覚悟を決めたとしても

不安だと感じてしまっている気持ちは厳然とあり続ける。

手放そうと決意すればするほど

私の心は不安を放すまじ!と抵抗するのでした。

 

そんなたちの悪い

持ち続けるにはあまりにも重くて辛い「不安」の感情が

なぜ気がついたら消えていたのか?

 

それは,万策尽き果てたからだと思っています。

 

万策というくらいですから

実にたくさんの方法を試し実践し心掛けてきたのです。

私の脳みそで思いつく限りのアイデアはもちろん

本やネットからの情報収集も怠りなく

メソッドや考え方を教えてくれる人に師事し

お金も惜しみなく注ぎ込みました。

 

「不安」をなくすためには??

  • お金をたくさん稼げるようになったらいい
  • 信頼できる仲間ができたらいい
  • 人から認められるような仕事で業績をあげられたらいい
  • 自己信頼感を上げよう
  • 自己効力感も上げよう
  • 実績を作って自信を持とう
  • 外側から整えて美しくいよう
  • コーピングを学び
  • 瞑想を学び
  • 運動してセロトニンを増やし
  • 食生活に気を配り
  • 質の良い深い睡眠をとり

実にさまざまな試みと努力をしてきたものです。

考えつく限り,なりふり構わずだったかもしれません。

 

それぞれに,とてもよい効果がありました。

今でも続いていて,本当にありがたいという気持ちはあります。

 

ですが,「不安」に関しては直接的な効果はありませんでした。

 

大きなお金を稼げていても

人から認められても,褒められても,

恵まれている根拠や,幸福である理由を何千と提示されても

羨ましがられ,すごいね!と驚かれても

「不安」なものは,「不安」

 

仲間といるときは楽しいし

頑張った結果が出れば嬉しさは一時的に感じるけれど

独りに戻れば,そこに待っているのは「不安」

 

今は頑張れていて,調子がよくても

いつまたダメになってしまうかもしれない自分を

常に意識して

「不安」「不安」「不安」・・・・

 

不安なんて感じる理由がないでしょ?安心していいんだよ,と

いくら根拠を示されても

不安を感じているのは紛れもない事実

 

これは外側にある客観的な状況によって生じている不安なんかじゃないかも

と,うすうすわかり始めた頃・・・・

 

人と比較して,もし仮に自分がトップを走っていたとしても

そこで手を抜けば,奈落の底に落ちていくという恐怖は

いつでもとても身近にあって

 

今のままの自分ではいけない

こんな状態で満足していてはいけない

もっと向上心を持たなくてはいけない

これでは,いけない,いけない,いけない!

と常に自分を厳しく見張り,叱咤している自分

 

人と比較して優っている部分を見つけては

ほんのちょっとホッとしている自分

 

そんな自分がとてつもなく嫌いで

でも,その生き方を辞めようにも手放すことすらできずに

頭だけは冴えわたり

理詰めで自分を納得させようと力業を試みた頃・・・・

 

なんだか,これはとんでもなくエネルギーを使っている割に

根本の問題とは別なところで戦っている気がする

私の中にある「不安」は,むしろ力を増している気がする

 

心の奥,深いところから聞こえてくる

誰の声とも分からない囁き

「外からは変えられないよ

これは,自分の心の中で起こっていることなんだ」

 

しかしこうして挑んでいくことを辞めてしまったら

本当に自分が終わりになってしまう,という

取り返しのつかなくなる恐怖に脅かされていた頃・・・・

 

あっちに揺れ,こっちに戻り,していること自体が非常に不安定で

それこそが私の「不安」をさらに増大させていたようでした。

 

頑張り続けるんだ!と自分を励ます自分と

もういくらこんなことを繰返していても堂々巡りだ

変わるはずがないよ,と言ってくる自分とが

交互に顔を出しては苦しみました。

 

 

とても長く,苦しい戦いの日々でした。

 

 

 

結局,最後に残ったのは

もう・・・ダメだ・・・・と言い残して敗北した自分でした。

 

敗北して

絶望して

諦めた

 

諦めざるを得なかった


 

 

戦い終わって,日が暮れて・・・・

力なく腰かけている私の隣にあるのは

絶望と諦めだけだったのだと思います。

 

負けを認めてしまったダメな私には

絶望と諦めの他には何も残っていませんでした。

 

そう,何も。  「不安」さえも。

 

「不安をなくす」という戦いに敗れた私は

負けて不安から抜けたのでした。

 

何かに化かされたような

幻を相手に戦ってきたような

なんとも手応えのない結末です。

 

今から振り返ると

戦い続けてこなければ諦めることも絶望もできなかった

意地っ張りで頑なな自分であったのだな,と思います。

 

万策尽き果てるまで,よく戦いました。

 

 

 

 

 

 

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