第二弾、折ワカ。

折原さんのキャラが掴めてないし、2人の空気感的なものも掴めてない、ごめんw











人、ラブ!!

そうあの人は言った。

あの人が好き、この人が好き、とかそういうことではなくて。

人が、人間が好きだと。

それだったら私にも望みがあるのかも。

そんな淡い期待から折原臨也に近づいたのがつい数ヶ月前のこと。


『あの、あなた、折原臨也さんですよね?』

『そうだけど、俺に何か用かな?』

『あなた、人が好きってほんとですか?』

『あぁ、そうだ!人ラブ!!俺は人間が好きだ、愛してる!!』

『そしたら、私のことも愛してますか?』

『なになに?愛に飢えてるの?』

『いいから。答えてください。』


折原さんはなんの迷いなく言った。


『愛してるよ。そう、君が人間なら、ね』

『じゃあ、私を飼ってください』

『あっはっは!そうきたか!何が目的かと思えば!面白い。いいね、実に人間らしい人間だ……えっと?』

『ワカマツ。ワカマツです、折原さん』

『ワカマツね。いいよワカマツ、君を飼ってあげよう。』


俺が君に飽きるまでは。

最後の部分が聞こえるように言ったのか、私に聞こえてしまったのかはわからなかったがこれでようやく私に愛を向けてくれる人間ができた。それがどんな愛であれ。







折原さんは私のことが気に入ったらしく今のところは追い出されずに済んでいる。

飼うって言っても犬のような扱いをしたりはしなかったが、望まなければ何もされないし望めばある程度のことはしてくれる、なんというか放任主義。


愛してほしくて飼われた。でも一緒に過ごしてわかったことは、私が折原さんに向ける愛と折原さんが私に向ける愛は違うということ。

私は飼い主の折原さんへの愛。

折原さんは人間全体への愛を少しだけ私に分けてくれている、そんな感じ。


「折原さんは私を愛してくれないですよね。」

「何言ってんの。愛してるよ」

「他の人も愛してるでしょ」

「もちろん。人間はみんな愛してる。」

「私は私だけを愛してほしいんです、私だけを見てほしい。この感情を抱くのは初めてじゃないけど、この感情を個人に向けて抱くのは初めてなんです。責任取ってくれません?」

「君だけを愛すのも君だけを見るのも俺がすることじゃないなぁ、他の人間への愛や興味を捨ててまで全てをつぎ込むほどの価値がワカマツにはあるの?あとその責任、俺が取る必要はないんだよねぇ~!頭のいいワカマツならわかってるはずだけど?」


彼は全ての発言に大真面目に答えてくれる。

そこが好き。そこも好き。

一緒に過ごせば過ごすほど、深みにはまっていくけれど、現状は私の一方通行。


相変わらず私は折原さんが好きだし、折原さんは相変わらず人ラブ。


自分に向けられる愛ならばなんでもよかったはずが今は折原さんからの愛しか受け付けない。そう、折原さんのエサには中毒性があったのだった。


「なーに難しい顔してんの?三回まわってワンする?」

……する」

「やるんだ(笑)」


三回まわってワン!と真顔で答えると、折原さんは「これだからワカマツはやめられない」と笑った。







第一弾、王神。かな神とも言う。

すげぇ神聖な響き。

学パロ。















彼は人気者だった。

いつもたくさんの人に囲まれて楽しそうに笑う彼を密かに眺めるのが好きだった。

彼とは対照的に私は目立たない存在で、きっと彼は私の名前さえ知らないかもしれない。

でもそれでよかった。

私は脇役で、彼は主人公。

きっとふさわしいヒロインとロマンチックな恋に落ちる。

あぁ、なんて素敵なんだろう。

そんな素敵な物語に私は必要ではないのだ。




今日も彼を眺めつつ空想に耽る。

外の音など聞こえない、頭の中で響くのはいつも、空想に出てくる人の声と雰囲気に合ったBGMだけだ。

彼から目を離し窓の外に目を向ける。

空には綿菓子のように柔らかそうな雲が青空に浮かんでいた。


もし、彼がわたあめ王国の王子様だったら?

甘いわたあめの上に立って甘いマスクで甘い言葉を囁く。そんなことをされた女性はたちまちわたあめのように溶けて王国の一部となってしまう


我ながらなんてくだらない空想なのだろう!自分が目立たないことをいいことにクスクスと小さく笑いを漏らした。


すると、担任の咳払いが耳に届いた。

そろそろHRが終わるのかな?

ようやく空想から現実世界に意識を移すと、担任が、いや、クラス全員が自分に注目しているようだった。

何事

キョトンとしていると担任があきれた表情で説明してくれた。


「聞いてなかったか水瀬ー?じゃあもう一度言うぞ?数日にわたって手伝って欲しいことがあったんだがみんなやりたくないらしいんだ。でも手伝ってもらえないと先生は困る!そこで、だ。そこのHR中に爆睡かましやがった橘と、HR中すご~く楽しそうに外を眺めてた水瀬、お前ら2人に手伝いを頼むことにした!やってくれるよな?」


担任は長々と語ったが、つまりは数日間の雑用を私と彼、橘くんに押しつけるつもりらしかった。


「ちょ、待ってください先生、水瀬さん困ってるし!俺も困ってるし!さっきも言いましたけどここは公平にくじとかで!」

「やってくれるよな?」


橘くんの反論を途中でさえぎるように担任が微笑んだ。

こうして期間限定の雑用係に私たちは選ばれてしまった。











担任は決して期間を明確にはせず、「数日にわたって」とか「しばらくの間」という言葉で私たちの雑用係である期間をできるだけ引き延ばそうとしているようだった。


「先生、こういうのって学級委員とか日直とかがやるものじゃないんですか!」

「橘ぁ~、そんなに俺の手伝いしたくないのか~?」

「そ、そういうわけじゃ、ないですけど

「なら問題ないな?」

「うっ……


橘くんの抗議も虚しく私たち雑用係は最初の仕事を任されることとなった。


机をはさんで向き合って座る。

橘くんは最初こそ黙って作業をしていたが、ふと手を止め、こちらを伺うような気配を感じる。


「ごめんね水瀬さん」

「えっ!?な、なにが、ですか!?」

「ほら、抗議。2回も失敗しちゃって。なんとか水瀬さんだけは外してあげられないかなって思ったんだけど。」

「そんな!!橘くんは悪くない、です」


いつもは眺めていただけの彼が目の前にいて、しかも脇役の自分に話しかけている。この事実だけですでに倒れそうだった。


「はは、なんでそんな話し方すんの?あ、俺怖い?」

「それはない、です!!!怖くなんて!た、橘くんはその、す、素敵な人です!!」

「素敵?」


言ってから気づく、今私、すごく大胆なこと言ったんじゃない!?

橘くんは少し考えるような顔をしてから、夕日が照りつける窓に視線を移した。


「俺は全然、素敵なんかじゃないよ。つーか、水瀬さんの方が、その、素敵っていうか。いつも、小さく笑っては周り気にしてあたふたしてるのが可愛くてつい見ちゃってたっていうか……

「わ、私のこと見てた、の?」

「あー!やっぱりキモいよな!?」


だよな~~!と橘くんは机に突っ伏してしまった。その仕草が可愛らしい。

ずっと見ていたいのをぐっとこらえて彼の肩をトントンと叩く。


「違います、キモいだなんてそんなこと思ってないよ。ただ、その、ちょっと驚いて。私だけが見てたんだと思ってたから。橘くんは私とは住む世界が違うんだーって思ってたの。私の名前すら知られてないって思ってて」

「知ってるよ。」

「え、」

「知ってる。水瀬神那、でしょ」



突っ伏した状態でこちらを見上げるものだから、こちらからは橘くんの目しか見えない。

今、どんな表情をして、何を思っているの?

知りたい、その赤は夕日の赤、それとも?



脇役でいいなんて無欲な私はもうどこにも存在していなかった。



「橘くん、可愛いね」

馬鹿にしてる?」

「してないよ、してない、本心!」

意外と意地悪?水瀬さん」


むっとした橘くんも可愛い。でもこれを言ったらまた意地悪って言われてしまうかも。

でもそれも悪くないかもしれない。

私はくすっと笑って橘くんを覗き込んだ。


「ふふ、そうかも。じゃあ続き、やろ?そろそろやらないと怒られちゃう」

「了解、じゃあやろっか、神那?」




神那。

さっきは名前を知ってるっていう意味で呼ばれただけだったから少しだけドキッとしただけだったけど、これはずるい。どう考えたって確信犯だ。くつくつと笑う彼にはもうすっかり余裕が戻ってきているようだった。

これは悔しい。

だから私だって余裕ぶって返してやる。


「あれ?そう言った割には手が止まってるよ、かなくん?」


反撃は成功したようで。

「神那、負けず嫌いでしょ?」と彼は再び突っ伏してしまった。






そのあと、あまりに職員室に姿を現さない私たちを心配した担任が教室にやってくると、ほとんど手のつけられていない雑用の山と雑用係2人が発見された。




前回のあらすじ。

たまごに手足が生えた













間。

お互いに(?)動けず、見つめ合ったまま固まること数分。

恐る恐るたまごに声をかけてみることにした。


「たま、ちゃん?」


たまごはそれに反応して反応ちょこちょこと近寄ってきた。

たまご時代に適当につけた呼び名はどうやら本人に定着していたらしい。

ということは。今までのたまごへの問いかけは全部筒抜けだったってこと!?

だとしたらわりと、いや結構恥ずかしい。 


近寄ってきたたまごをよく見ると、ちょうど真ん中あたりに絵に描いたようなヒビがあった。これがサザエさんならば割れた瞬間中からタマが出てくるだろう。

窮屈そうに先程から殻を破ろうとしているたまごを手伝おうと思ったが、確かこういうのって自力でやらせないとダメなんじゃなかったか。

心を鬼にしてもがく姿を見守っていると、やがてペキペキという音とともに殻が真っ二つに割れた。



鳥かはたまたドラゴンか。

ドラゴンだったらかっこいいけどどうやって飼うんだろう、もしかしたら研究対象として離れ離れにさせられてしまうかもしれない。そう考えると鳥の方が。

ぐるぐると悩んでいると、頭の部分の殻が取れた。






本日2回目の思考停止。

目の前に現れたのは半分殻に包まれたままの金髪の少年だった。

どうやらわたしはとんでもないものを拾ってきてしまったようだ。


少年はぱちくり、と聞こえてきそうなほど大きな瞳を瞬かせわたしを見ている。


「たまちゃん、だよね?わたしのことわかる?一応ずっと話しかけてた庵なんだけど


言ってから気づく、もしかして自己紹介したのは初めてだったかもしれない。名前なんて名乗ってもたまごにはわからないかもしれない。

しかし少年は嬉しそうにわたしの両手を彼の両手できゅっと握って微笑んだ。


「いおり!すき!」

「お、王子様だ……きっとどこかの国の王子様に決まってる……眩しすぎる

「??」


満開の笑顔に眩暈を覚えつつ、この愛らしい少年を誰かが迎えにくるまでは責任をもって育てようと密かに決めたのだった。