絶対音感を持った音痴 | 年齢や素質で諦めさせないボイストレーナー牧野努のブログ

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16年間のボイストレーナー生活を元に、歌で悩んでいる方や行き詰っている方々のお役に少しでも立てればと思っております。年齢や素質だけで歌は決まりません。情熱と努力だけで乗り越えられる壁がたくさんあります。

VIZヴォイストレーニング

 

前回、音程について骨伝道などの
少し難しいお話をしましたが、
今日もひき続き音程についてのお話です。
 
僕が今までレッスンしてきた生徒やミュージシャン
の中に絶対音感を持った音痴が何人も
いましたてへぺろ


 
え?!
 
どういう事?
 
みなさん不思議がりますが。
 
ちょっと昔見たテレビで絶対音感を持った女子アナ
(和音も聞き取れるくらいの音感)
が歌ったら、もの凄く音痴だったというのを放送していました。
 
世間の人はみんな
絶対音感=歌が上手い
と思い込んでいます。ニヤリ
 
もちろん絶対音感をお持ちで
しっかり歌える人もたくさんいます。
 
しかし、例えば
楽器奏者の人
ピアニストやバイオリニストなど
幼少期から楽器をやられている方は
絶対音感を持っている方が多いです。
なぜなら小さい頃に音を記憶した人が絶対音感を
持つ事ができるからです。
大人になってからは記憶できないと言われています。
 
そんな楽器奏者達がみんな正しい音程で
発声ができるのでしょうか?
畑違いの発声という分野で。。。。
 
弦楽器でバイオリンや三味線やウッドベースなど
フレットの無い楽器は
音痴な演奏になる可能性のあるものです。
 
無段階に音が出せるので
 
フレットのあるギターやベース、ピアノなどは
チューニングさえしっかりしていれば、音痴になる事は
ありません。
12音階から絶対に外れないので。
(ここで言う音痴とは12音階以外の音を発する事を指します)
 
では絶対音感を持ったピアニストが
突然、全然弾いた事のない
バイオリンやフレットの無いウッドベースなどを
弾いたら、いきなり正確な音程で演奏できると思いますか?
 
無理でしょう
 
なぜなら、フレットのどのあたりを押さえると音程が
どのくらい変化するのか経験が無いので、音を鳴らして
みないとその間隔と感覚が分からないのです。
 
また、少し練習すれば
ここに指を持ってくれば出したい音になるって分かるように
なってきますが、指の動きが追いつかない、また指が開かない
など、訓練していないので様々な指の動きの制約で思った
通りに音を奏でる事はできないはずです。
 
音感とは関係なく正確な音階は出せないのです。
もし間違った音を発したとしたら、その瞬間に気づくのですが、
もう出してしまった音は取り返しがつかず音痴な演奏にならざるを得ません。
 
これは発声でも全く同じ理屈です。
 
聞けるのと出せるのとは
別なのです
笑い泣き
 
例えば、どんなに頑張っても
下のG(ソ)までしか低い音が出せない女の子がいたと
しましょう。(実際多いのですが)
そして
G以下のF(ファ)やE(ミ)が出てくる曲をその子が
歌ったらどうなりますかね?
 
もちろん物理的に出せない音なので、
その部分は黙るか外れた音程で歌うしかありませんよね。
絶対音感を持っていようが関係ありませんね。
音は分かっているのだけれども体が追いついてこないのです。
ちょっと例が極端ですが・・・
 
この現象を喰らっているだけなのに、
自分は音痴だと思っている人も少なくありません。
 
また、
出せる音だとしてもパッとその音に声をジャストに当てるのは
なかなか難しいです。
音感ではなく体的にです。
繰り返しの訓練が必要です。
 
それが発声練習です。
 
例えばドとレを行ったり来たりする発声はピタッと
音程が合うけども、
ドとソを行ったり来たりする5度のインターバルが開くと
音程がなかなかピタッと合わない
とか
よくあります。
インターバルが開けば開く程、音程をピタッとこさせるのは
難しくなり、引きずったりしゃくったりするようになってきます。
声帯の柔軟性が必要なのです。
音感の問題ではありません。
 
発声練習を積み重ね、声を出す為のあらゆる筋肉を
自分の思った通りに自由自在にコントロールできる
ようになって初めて音感が活きてきます。
 
もちろん音感もないと最終的には音程は合わせられませんが、
音感ばかりに気をとられている人が多い気がします。
 
そして音痴強制を売りにしているところは
ほとんどが音感の部分ばかりやっているので
歌に最終的に活かせていけるかちょっと疑問です。
出しにくい言葉がきただけでも音程は悪くなるのに。
 
ある程度に音程がとれる体が出来上がってきて
微妙に合ってない感じになってきたら、
そっから先は音感、耳を鍛えていく事にはなりますが。
 
レコーディングに耐えられるくらいの音程になるには
かなり大変です。
 
だって
 
例えば
Aの音は440Hzでその隣の
A#は 466.16Hz
なんですよ。
Aの音を出そうと思って445Hzを出したら外れた音
として聞こえてしまい隣の音に移ろうとして
461Hzを出したらまた外れた音として聞こえる
 
こんな細かい作業できるようになるなんて
ヴォーカリストは異常だ!!
 
と楽器奏者に言われた事があります。
 
音程は本当に大変です。
 
体調によっても変わりますから、
やっかいですねー
ヴォーカリストはアスリートと同じなんです。
 
でも音程ばっちりな歌が
人の心を動かす良い歌ではありませんけどね。
 
最後に逃げました。
 
ははは
 
ではまた

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