腹式呼吸3 | 年齢や素質で諦めさせないボイストレーナー牧野努のブログ

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16年間のボイストレーナー生活を元に、歌で悩んでいる方や行き詰っている方々のお役に少しでも立てればと思っております。年齢や素質だけで歌は決まりません。情熱と努力だけで乗り越えられる壁がたくさんあります。

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さてまた腹式呼吸の続きです。

前回少し分かりづらかったかもしれないので、

もう少し噛み砕いて説明をします。

 

このスポイトを肺と見立ててお話しをします。


 
このスポイトの丸いジャバラになっているのが、

肺で、握っている手が肺を収縮させる為の筋肉で

細長い部分が気管だと思ってください。

 

力を抜いた状態、つまり

ここでは手の力を緩めたちょうど写真のような状態です。

 

さてどうなっているかと言うと

丸い部分には空気がたくさん入っていますね。

これが声を出す前の自然に力を抜いた肺の状態です。

吸ってもいないし、吐いてもいないです。

 

そして声を出す為に空気を気管(声帯)へ向かって送りします。

 

手で丸い部分を握って潰します。

 

そうすれば外に向かって空気が出ていきますね。

 

その後、空気を出した後、手を緩めたらどうなりますか

スポイトは元の形に戻って空気が吸い込まれてきますよね。

 

押し出す→脱力→押し出す→脱力

これをくり返して息の出し入れをします

 

これが理想の呼吸だと考えています。

 

この呼吸がうまくいけば、

声を出していない部分で自然に息が戻ってきて

どこで息を吸っているのか全く意識していないけど

息は苦しくない

 

という会話している時と同じような呼吸で歌を歌えるように

なるのです。

 

だって会話している時呼吸なんて誰も意識していないでしょ。

(まぁ使っている量が違うので会話の時と全く同じとは行かないですが・・・)

 

よくブレス記号を歌詞カードにびっしり書き込んでいるトレーナー

がいますが、

ん~~~って感じですね。

短いほんの少しの休符全てがブレスチャンスです。

(まぁフレーズに全く切れ目が無いものがあれば仕方ないとは思いますが)

だって息吸うところをいちいち気にしていたら歌に集中できませんよね。

 

歌の中で息は吸うのでは無く戻すのだと僕は教えています。

きちんと脱力ができれば必ず息は戻ってくると。

吸う意識が無くても自然に息が戻ってくればブレス記号なんて必要ありません。

 

いわゆる一般的な腹式呼吸は最初の写真の状態から

指に接着剤を付けて元の形以上に引っ張って膨らまして

最初の状態より大きくしてから

声を出し始めるという事なのです。

 

体で言うと元の肺のカタチより下に大きく膨らますので内臓が圧迫され

お腹が出て見えるのです。

理論的には胴回り全体が膨らんで見えます。

 

少し無理があるように思いますかね。

でも理屈では息は多く取り込めますのでそこはメリットです。

 

しかし無理して取り込んでいるので、

肺は元の形に戻ろう戻ろうとしています。

 

声を出した瞬間に一気に息が放出される可能性が高くそれを喉を絞めて押さえようとして

首周りに力が入ってしまうという例も少なくありません。

または一言目で一気にほとんどの息が出ていってしまって、吸った意味が全くなくなるとか。

 

いわゆるお腹が膨らむ腹式呼吸は、吸った息を出ていかないように

押さえつける力を常に与え続けて声を出さなくてはいけないのです。

この力をトレーナー達は「支え」などと呼んでいます。

 

僕はいわゆる「支え」という言葉は使いません。

分かりにくいんで。

 

でも、お腹が膨らむ腹式呼吸はこのいわゆる「支え」とセットのなった時のみ有効なのです。

 

なので結局ただ腹が膨らむ腹式呼吸をマスターしたところで

歌では一切役に立っていないという現象がセカンドオピニオンで体験レッスンにきた生徒さん達に多く見られる現象です。

 

どっちが間違っていて、どっちがあっているのかではなく

しっかりマスターしていればどちらでもいいのです。

 

でも簡単な方がいいですよね。。。。。。

 

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