アルティマ | びっくりビクセンBlog

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八代目によるビクセンの褻(ケ)

ビクセンには、アルティマという

双眼鏡のシリーズがあります。

こちら→HP

このシリーズは、1986年から発売をしています。

既に発売から27年のロングセラーになります。


この商品は、かつて日本の双眼鏡製造を支えた

板橋区の伝統を継承した双眼鏡としても

貴重な存在になってきました。

板橋では、かつて双眼鏡の製造に関わる

多くの企業(町工場)がありました。

「レンズ屋」、「鏡体屋」、「プリズム屋」、「彫刻屋」

「アルマイト屋」「、塗装屋」、「プレス屋」、「皮張り屋」

そして「調整屋」などの分業が進んでいて

板橋のネットワークで双眼鏡は作られていたのです。


分業の形態は徐々に姿を消しましたが、

アルティマは、歴史ある「調整屋」さんが

組み立てています。


昨日、アルティマを責任を持って製造、検査してくれている

方と食事をしました。

27年間のアルティマの歴史を振り返っているときに

とても嬉しい話をしてくれました。

アルティマは発売当初から、常に性能を少しでもよくする

ための努力をしてきたという話をしてくれたのです。

レンズの研磨の精度を上げるために

「レンズ屋」さん、「芯取屋」さんたちと

検査基準を少しずつ厳しくしてきた話や

「調製屋」としてもレンズの精度にあわせて

検査基準を厳しくしてきた話を聞きました。


アルティマは、27年間成長し続けていたのです。


実は、この話が終わった後に、少し喧嘩になりました。

私が「そういう話はもっと積極的に報告して欲しい」

と伝えた時に、責任者の方は

「そういう事は、話すもんじゃない」と返答してきたのです。

クレームや品質不良が出ると叱責されるのは

彼です。普段の努力をアピールしないと

怒られる時だけ目立つ存在になってしまいます。

そう思って、もっとアピールするように言ったのですが

かたくなに拒否されました。彼に言わせると

「ものづくり」は、そういうものじゃないんだそうです。


私自身はそのことがどうも納得できなかったので、

こうしてブログにしてみました。

皆さんはどう思われますか?


日本製の双眼鏡は、少なくなってきました。

「調製屋」さんも少なくなってきました。

「しっかり」としたメーカー勤務の方たち

の手で、「しっかり」とした「ものづくり」が

主流になっています。私はそれで良いと

思っています。


それでも、アルティマのような商品は

「調製屋」さんがいる限り、

残していきたいと思っています。

以前、ブログで「こだわり」という記事を書きました。

普段、新商品作りに多くの時間を割いています。

あらためて、「こだわり」を原点にした「ものづくり」を

新商品に生かしていきたいと思います。