【前回のあらすじ】


むらさき納言の母は、ある新興宗教に入信

しており、その活動のため、毎日のように

家を空けていた。

ある日、母が五人の子供を中絶していた事

を知ったのだった…




















母が熱心にお経を唱えていた仏壇の中央には

過去帳が置かれており、親類縁者の没年月と

戒名が記録されていた。




その過去帳の中の最後のページに、水子戒名

と書かれていた記録があり、中絶した年と月

が載っていた。

私と姉の間に3人、私の下に2人…













私が高校生の頃、まだ父は単身赴任中であっ

たのだが、母は新しく家を建てていた。




家が完成し、いざ引っ越しという時に母は

宗教組織の占いの教えを守るために、私だ

け古い家に一ヶ月間残るよう告げて来たあんぐり




真顔アンタは方角が悪いから」




私が転居するためには、翌月の運勢が良い日

でなければダメだと言うのだ真顔

一人古い家に残され、学校に通った…




その頃、姉は家を出て地方都市のアパートで

一人暮らしをしていた。

彼女は21歳の時に、当時交際していた男性

との結婚を母に猛反対され、別れさせられて

しまったからだ。




入信していた姉であったが、その事がきっか

けとなり母と決裂、宗教からも脱ける事に。




姉に出て行かれた母は暫くの間、抜け殻のよ

うになっていたのだが、またいつものように

朝から夕方まで教会に通い出していた。




母と私、二人で暮らしていたその頃だった。

町営の霊園に土地を買い、今度は墓を建て

始めたのである。  

まだ40代後半であった母は、自分や父、

あわよくば姉と私、未来の孫が入る墓を。




その墓は子孫繁栄、跡継ぎが出現する事を

願っての墓であり、それも宗教組織からの

指導だったのだ。  




墓石の他に水子供養塔も建っており、母は

自分が堕胎した子供達に対して、贖罪の思

いがあったのだろうか…

それとも祟りが怖かったのか。




しかし、その墓のせいで父が亡くなった時

納骨に関して、宗教組織からあれこれ指示

がうるさく、いざこざになり苦労した 悲しい




その墓の値段は当時400万

高いのか安いのか…

母にとっては安かったのだろう 真顔




父の判断がどうであったのかは、全く分から

なかった。  そもそも家に殆ど戻って来な

いのだから…

彼は母のやる事を放っていたようだ 真顔









私が就職して働きだした頃から、母はお布施

をしろといつもうるさかった。

お布施は嫌だったが、食費として毎月3万円

を渡していた。

ボーナスからも出せと言われたが、それは頑

として渡さなかった…







その後、姉は26歳の頃に一人暮らしに疲れ

たのか、母に説得されて見合いをし、3ヶ月

でスピード結婚をしたのだった…




子宝には恵まれたが、母の宗教仲間の紹介で

見合いをした夫は転職を繰り返し、起こした

事業も失敗して破産。

酒好きが高じて、義兄はアルコール依存症に

なって行った…















私は実家を離れてから、ずっと母を避けて

暮らして来た。

正月や盆の時期も、殆ど帰省していない。




母から電話が来ると、近況を根掘り葉掘り

聞き出され、宗教の説教が始まる。

その度に胸の中に、ドス黒いモヤが広がっ

て行くのが分かるのだ…




自分のメンタルを守るため、そして子供達に

祖母のイメージを悪くしないためにも、帰省

しない事は罪悪感との闘いであったのだが、

間違いでは無かったと今は確信している 真顔


   








若かった頃、姉に言った事がある。



ちょっと不満「お母さん、宗教に入らなきゃ

 良かったのに!




プンプン「ナニ言ってんのよ! あの人が宗教

夢中になってくれたから

助かったのに



 

不安どういう事?



  




姉は幼い頃に 母から何度も言われていた。





真顔「お母さんと一緒に死んで…















母の所業は まだまだ続く…