【前回のあらすじ】


「スナック納言」に集まる7人の男女達。

新たに生活を変える者、見切りをつける者、

前向きに取り組み始める者、淡々と自分の

流儀で生きる者。 そして前に進めぬ

ポンタと私だった…















新年 あけましておめでとうございます




元旦に 最終回を書こうと思い

手が止まりました…




被災された方々に

心より お見舞い申し上げます






























面白半分で始めた「スナック納言」




毎日頻繁に 顔も実名も知らない人達と

リアルな家族や友人よりも 密度の濃い

話しをしていたと思う…




そんな日々が長く続いて行くと

どうなるのか?




ある意味 現実逃避の溜まり場と化し

その場所を提供している自分という人間は

一体何なのだと 自問自答をし始めた…







おねだり「僕は親しい友人も居ないし 父親は

  厳しい…  兄は優秀で、小さい時から

  グズな僕を相手にしなかった…」




真顔「… 大人になったら関係ないじゃん

  ポンタは家から出たんだし、お兄さん

  結婚して自分の家庭があるんでしょ?」




ぐすん「兄弟仲が良くないのは寂しいよ…」




真顔「兄弟なんて たまたま同じ親から

  生まれただけだし、気が合わない

  のも珍しく無いよ」




ポンタにそう言いながら 私は多分

自分に向かって言っていたのだと思う 真顔




ポンタの話しぶりを聞いていると

どうしても 自分と重なったからだ…




ポンタは「スナック納言」を拠り所にして

依存をしていたのだろうか?

そう言う経営者の私だって 集まって来る

皆んなに依存していたのでは…




いや 自分が依存出来る場所を作りたかった

に違いないと思う…






にやり「俺はさ 徒然と書くのは嫌いだな。

  ブログは記録。 何処に行った

  何買った 何喰った 何を見ただけ。

  他人のブログ読むのが面白いだけだ」




真顔「トシさんのブログ、確かにそっけない

  もんね。 感想とか何で書かないの?」




ぶー「マチルダだって大差無いだろうよ。

  楽しく無い事は書きたく無いだけさ」




この二人が話し出すと 簡単に終わる。

「そうだね」「だよな」でシャンシャン


 


ここにユキちゃんが現れると マチルダと

トシさんてサッパリして面白いねと笑うよだれ




じんさんが加わると どうしたらそう考えら

れるのかと いつも問うてくる ニコ




「イヤな事を書くと残る。そして読み返して

反芻し イヤな思いを拡大させては ただ

拡散させるだけだ。 書いたら捨てるよ

誰にも見せずに 俺ならね…」




トシさんの言葉は 私に刺さった…





私は 子供の頃から日記を書いていた

しかも 愚痴や悪口が大半だ…

家族や友人 学校の教師達 職場の上司…




そうする事で ストレスを発散している

つもりだったのだ




隠していたのに見つけられ 家族に

心配されたり 嘲笑される事もあった…





たまに読み返しては 忘れた事まで思い出し

無意識のうちに 憎悪とコンプレックスを

より強固なものにして行ったのだと思う…










もう 辞めどきか…

なんとなく そう思っていた頃だった







2011年 三月


東日本大震災が起こる…

 








サイトが繋がり難くなって数日間

チャットにアクセスが出来ず

リアルな世界だけになった…




深刻な現実の状況が 毎日テレビに映し出さ

れて行く




否応無しに 日常を奪われた人々




家族を失い 理不尽を強いられている様子を

見聞きする度に 私は自分自身が小さくなる

ような気持ちに襲われたのだった…








やっとサイトにアクセスが出来るようになり

皆んなが無事だった事が分かる




バクさんは 仕事の関係で被災地に行って

いた 



トシさんやじんさんも仕事が多忙になった

ようだった








今だ  


私は 決めた





   「皆んな 突然にごめんなさい。

      思うところあって スナックを閉店

  する事にしました…

  サイトからも退会しようと思います。

  本当に楽しかったです。

  ありがとうございました」





そして私は 二年近く続いた自分のブログ

やチャット欄を 削除した…





その後 皆んなから次々にDMが来た




トシさんとマチルダは 何も聞く事無く

また気が向いたら再開しなよと言ってくれた




ユキちゃんは 何故か謝って来る

フォロー出来なくてごめんねと…




じんさんとポンタには 引き留められ

どうしても退会するなら 携帯のメルアドを

教えてほしいと懇願されたが 断った…




チャットどころでは無い 忙しいバクさんは

サイトにも姿を現す事は無く 挨拶をしたか

った私は 最後のメールを送った





ケイちゃんだけは ヤフーメールで続いた

それはなんでだろう…



  

「スナック納言」で孤立がちだった彼女が

気になっていたのか ただ縁があったのか 

よく分からないが 彼女となら互いに依存

し合う事無く 対等に居られる気がした

     






私はポンタに 最後のメールで




「グズグズ言うの もうやめようよ

 私も言わないように練習するから

 言いたくなったら 紙に書いて

 破ろう、燃やそう、シュレッダーに

 かけようよ…  ごめんなさい

 もう話し聞けないんだよ… さよなら」









2011年  4月末にサイトを退会






それから 昨年アメブロに登録するまでの

12年間 ほぼ毎日イヤホンを付けては

貪るように 音声だけを聴いていた




専業主婦と言う名の公的ニートを続け

ずっと引きこもりをしていた私…




インプットで アタマの中が膨れ上がり

過去の出来事と融合を繰り返す…






こうして 吐き出す日々を送る事となる












吐き出し尽くした頃か



体力が 事切れた時か





そうした日がやってきたら




また消えます…






それまで 皆さま



どうぞ  宜しくお願い致します…