【前回のあらすじ】


「スナック納言」に集まる7人の男女。

バーチャル恋愛に悩むケイちゃん、

不倫相手が居るユキちゃんは離婚を決断し、

自分のブログ「幼稚園部屋」を閉鎖。

癒しの部屋が無くなり、嘆くじんさんと

ポンタだったが…















現れたのは バクさん♂ニコニコ55歳




ショボーン「じんさんもポンタも、どうした?

      なんか面白い事でもやったらええ」



ニコ「ユキちゃんみたいには出来ないよ…」



ぐすん「面倒見て貰いっぱなしだったし…」




いつもとぼけていて、ネガティブな言動を

SNSの中で見せた事が無いバクさん。

いつに無く 真面目に話し出した 真顔




ショボーン「目の前の事だけ、何も考えんと

  先ずは やってみたらええ。

  死んだ親父がよく言ってたなぁ。」

  



バクさんのお父さんは 戦争に行っていた。

戦後に結婚し、バクさんが生まれたのだ。




ショボーン「親父から戦地の話しを聞いた事は

  殆ど無かったなぁ…  よっぽど思い

  出したくなかったんだなぁ。」




私も幼い頃に目にした事があるが、戦地を

経験した大人で、精神をヤラレてアルコール

依存症やギャンブル依存症などに罹患して

しまうケースが しばしばあったのだ 真顔




想像を絶する悲惨な状況を目撃し、体験した

大人達は そのトラウマを思い出して苦悩し

病んでしまう者、それに反して朗々と語る

サイコパスな者、その他大半の人々は 

振り返らぬよう前を向き、戦後の復興や

高度経済成長を牽引するべく、仕事に邁進

して行ったのだろう…




ニコ「目の前の事って、会社の仕事や家事?」




ショボーン「身体動かせ、手を動かせ言うとった。

  親父は仕事が休みの日は、山で材木拾い

  将棋の盤や駒を黙々と作ってたなぁ…」




そんな話しをバクさんがしている所に

現れたのは マチルダ♀真顔40歳  




真顔「こんばんはバクさん、私もそれ

 聞いた事あるよ。 知り合いで毎日走って

 る子やレース編みに没頭してる人もいる。

 余計な事 考え過ぎ無いようにでしょ?」

  



照れ「そうだなぁ… 一人で好きな事に集中

  する事だろうなぁ。」


 


真顔「好きな事に集中し過ぎて、バクさんは

  奥さんに追い出されたんだよね?」




キョロキョロ「人聞き悪い事を言うなや! ちょっと

  距離を置かれただけだわなあせる

  



車弄りが好きで、お金もかなりかけた。

一人で遠出、釣りにもハマって休みの日は

家族を置いて、出かけっ放しだったらしい。




不満「僕はお金も無いし、やりたい趣味も

  無いよ…   将来の事が不安で、そんな

  気持ちの余裕なんて無いよ…」




ニコ「ポンタはまだ若いし、資格取得の

  勉強もしている。 独身なんだし

  俺よりずっと自由だぞ」




真顔「じんさん、それって妻子が居る自分は

  不自由で大変て事 言いたいワケ?」





なんだか不穏な会話になって来たのだが

この時にバクさんは「先の事も後の事も考え

るな、今日一日を良き心持ちで居ろ」と亡き

父から教えられたと言って、チャット欄を

出て行ったのだ…





真顔「普通さぁ、趣味でスポーツや音楽とか

 物作りとか始めたとして、ハマり出したら

 大会に出たいとか、作品展に出品するとか

 成果や他人の評価が欲しくなるよね。」




おねだり「それが楽しい人ならいいけど、僕は

 プレッシャーになったり、他人と比較して

 落ち込んでしまうからなぁ…」




真顔「ポンタ、自分だけで楽しめる事なんよ。

 人からの評価なんて考えないの!

 …子供の頃って純粋に楽しかった事

 どんな人にもあったと思うんだけどなぁ」

 




マチルダの言葉を聞いて 私は子供の頃の

自分を思い出した 真顔




私は漫画を描くのが大好きで、真剣に漫画家

になりたいと思っていたのだが、ある時

隣りのクラスに 私よりずっと上手な漫画を

描く子を見てしまったのだ…



次の日から漫画を描く意欲は 全く無くなり

、ただボンヤリと過ごす日が続いた 悲しい



他人との比較で始まった 最初の挫折だ…






真顔「他人なんか気にしないで 自分の世界

  でいいじゃない。 バクさんなんか全然

  悲壮感無いじゃんw」




ガーン「トシさんに言われたフライパンの上の

  ピエロ…  よくよく考えてみたら、確かに

  そうかもしれないと思う… その答えが

  バクさんの言ってた事なのかな…」

  

 


驚き「アタマでは分かるんだよ… でも

  感情と言うか…行動が追いつかない」




ポンタの言う事は もっともだ…

生き方本や脳科学、思考法など情報は

世の中に溢れかえっている。



誰しも知識はいっぱい持っているんだけど

分かったつもりで 体感として分からない。

かく言う私も 分からない…  悲しい





おねだり「納言さん…  ユキちゃんみたいに

     スナック閉鎖しないでよね…」

 






気軽に始めたチャット欄の「スナック納言」



私は ポンタの言葉に一抹の重さを

感じてしまったのだった… 








最終回まで あと2回…