ヴィヴィのお引っ越し【フェリーで夜編】
1度ヴィヴィに水をやりに帰り、ずっとペットルームに張り付いているわけにもいかないので、
とりあえずは晩ごはん。
疲れているところに、ゆらゆらと船の揺れが気持ち悪く、ヴィヴィのことも気になってリラックスできないまま、
あまり美味しいとはいえないバイキングで夕食を済ましました。
レストランは混んでいて、19時過ぎに私たちが入ってすぐ、満席のアナウンスが流れました。
意外と年配の方が多く、ご夫婦やグループでお酒を楽しむおじさま方を多く見受けます。
食後はコーヒーでひと息。
何の変哲もないコーヒーになんだかとても癒され、
さんふらわあマークが描かれた紅白のオリジナルプチケーキを子供みたいに5つ程いただきました。
白よりもピンクのラズベリー味の方が美味です(笑)
食後に少し船内を彷徨い、20時半頃に再びペットルームへ。
ヴィヴィにごはんをあげて、客室に帰ったら映画を見ても良い。
そんなことをぼんやりと考えながら、何気ない気持ちで踏み込んだそこは、予想を遙かに越えた状況でした。
バゥンバゥン、ワゥーンワゥーン、キャンキャンキャンッ!!!
開きかけた扉の隙間から漏れ出た悲鳴のような鳴き声が、私たちの動きを止めました。
矢継ぎ早に怒声のような獣の声。ただならぬ緊迫した空気。
小さな部屋で耳を塞ぎたくなるその大音量の叫びは、
金属の扉によって遮断されて誰の耳に届くこともなく、気付かれることもなく、
その部屋の空気だけを激しく震わせていました。
何が起こっているのか理解できず、
あまりにうるさい犬たちに不快感を感じながら、焦ってヴィヴィの様子を確認。
ヴィヴィは、かまくらの中で耐えるようにぎゅっと固まっていました。
リラックスさせるために、かまくらごと抱き上げ、
撫でさすったり名前を呼んだり、しばらくそうしていました。
ヴィヴィがどうにかなってしまうのではないかという不安と犬たちの鳴き声への不快感、
フェリーに乗ったことへの後悔がどっと胸に押し寄せ、体の芯が冷えるような心地でした。
そのまま、施錠までの1時間半を狭いペットルームで過ごしました。
犬たちは相変わらず鳴き続けていましたが、
ヴィヴィの緊張は少しずつ緩んで、お水も飲めるようになり、私たちも冷静に。
最初はただ不快に思った犬たちの言動も理解できるようになってきました。
鳴き続けるのは同じ3匹の犬たちで、野太い声の大型雑種と中型のムク犬、ポメラニアン。
一番鳴き方の悲壮なムク犬に、後の2匹が共鳴しているようでもありました。
その視線の先には扉。
何か特別なことがこの部屋で起こったのではなく、
それぞれに初めての場所を不安に思い、非日常の経験に戸惑い、必死に飼い主を呼んでいました。
静かにしている犬たちも皆、その瞳には同じ気持ちが。
こんな場所なんだから、不安なのはいっしょだよね。
彼らの心からの叫びはとても悲壮で、この部屋に染み付いた不安と悲しみの深さを思わせました。
同時に、人の傲りも。
この部屋を訪れる彼らペットたちは、どこに向かっていくのでしょう?
旅行でしょうか、お引っ越しでしょうか??
私たちの都合で移動を迫られる彼ら“家族”は、
なぜこんな狭苦しい倉庫のような部屋で並べられ、放置されてしまうのでしょう?
言葉を持たない彼らに、もう少しだけ優しい社会なら。。。
予定よりも30分遅れて施錠に来た船員に従い、ヴィヴィにおやすみを言って、ペットルームを後に。
部屋の電気を消されて、なお犬たちは鳴き続けているようでした。
鳴き疲れれば静かになるとしても、ヴィヴィには辛抱の夜。
あれ程ごはん大好きのヴィヴィが、今晩は初めてごはんを口にせず、
そんなヴィヴィを案じながら、飼い主たちも就寝です。
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ヴィヴィのお引っ越し【フェリーで出港編】
今回のお引っ越しは、ネコと飼い主と車がみんないっしょにフェリーで海を渡ります。
大洗港から“さんふらわあ ふらの”に乗り、苫小牧港まで約19時間。
ちょっとした船旅です。
飛行機に乗れば、移動時間は格段に短くなるものの、夏場の飛行機にネコを乗せるのは心配。
気圧の変化や物音によるストレスもさることながら、
貨物室に乗せられるまでの行程で、熱中症になったりという事故もあるようなので、
今回は時間が長いだけがリスクと思い、フェリーのペットルームを利用することにしました。
時間に追われながら、14時過ぎに埼玉の家を慌ただしく出発。
いつものドライブかしら、どうかしら?と首を伸ばして窓の外をうかがうヴィヴィを乗せた車で、
高速をひとっ走りです。
もうほとんど引っ越しを終えた気分で、
まだこれからの苦難の道のりを知らないヴィヴィと飼い主たちでした。
大洗港で手続きを済ませ、飼い主たちに加えて、ヴィヴィ用のチケットもゲット。
入船後は小さなエレベーターでフロント階まで上がり、迷路のような船内を進みながら、まずペットルームへ。
ペットルームは、上段に小ケージ、下段に大ケージの計15個が設置された小さな部屋でした。
薄暗い室内のカーテンは閉め切りで、重く愛想のない金属製の扉が、外界からこの空間を完全に隔絶。
犬たちのハァハァという息づかいだけが聞こえる室内で、
空気清浄機が絶えずブーンっと唸って、部屋に充満する生き物のにおいを弱々しく吸い続けています。
ペットルームを管理する人も特に見当たらず、まるで倉庫のように雑多で、うらぶれた雰囲気のこの部屋。
ケージが並ぶ様は、監獄のようでもありました。
きっと怖い思いをするだろうヴィヴィに、心の中で小さく謝りながら、
壁際の端のケージに入ってもらい、狭いケージ内にとりあえずトイレのみを設置。
あとは、愛用のかまくらベッドと熱中症予防の保冷ケースを入れ、
ごはんとお水は、心配症な飼い主たちがペットルームと客室を行ったり来たりすることを想定して、
その時々に与えることにしました。
並んだケージが次々とやって来るペットたちで埋まり、それぞれの飼い主さんたちが去っていくのを横目に、
しばらくの様子見。
この日はペット連れのお客さんが多かったようで、
大型犬が3匹、中型犬が1匹、小型犬が4匹、ネコ2匹の計10匹での出港です。
ケージ間の距離はかなり近く、間仕切りもないので、これだけ混み合った状況ではかなりストレスのはず。
飼い主だってちょっとストレスを感じる近さです。
悪いところに乗り合わせたなという苦い気持ちになりました。
そうこうしているうちに、18時半を迎え、出港時の大きな振動。
思うよりも大きな音と激しい揺れは、何も知らない彼らにとっては地震そのものです。
皆それぞれに緊張の面持ちで、身を縮めたり、そわそわしてみたり。
振動が収まった後は、ペットルームにひとまず落ち着いた空気が流れたので、
後ろ髪を引かれつつ、私たちもとりあえず客室に向かうことにしました。
この時点で、すでにフェリーの選択に少し後悔。
ペットルームのあの様相を見てしまったら、
どんな良い客室に泊まったとしても楽しい船旅はできないと思いました。
でも、あとは飛行機か、予約が困難な寝台特急、もしくは長時間の新幹線での移動手段しか選択肢はなく、
今回はこれがベストな選択だと割り切っての船旅の始まりでした。
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ヴィヴィのお引っ越し【搬出編】
急なお引っ越しが決まり、ヴィヴィがダンボールハウスでのんびりしている間に、
嵐のようにお引っ越し当日がやってきました。
あとちょいちょいで終わるだろうと軽く見ていた荷造りが終わらず、
飼い主の睡眠時間は1時間半。
うっかりパジャマ姿で引っ越し業者のお兄ちゃんたちを迎え入れてみたり、
ちょっとしたパニック状態の中、早々と朝の8時半からお引っ越しが始まりました。
朝っぱらから何事が始まったのか、知らないお兄ちゃんたちがドタバタしているのを、
隔離部屋として入れられた脱衣所の一番奥から様子をうかがうヴィヴィ。
緊張する程でもないけど、ちょっぴり怖い様子で、おとなしく待っていました。
4時間半の時間をかけて、やっとこさっとこ搬出が終了。
何もなくなってしまったおうちは、いつもより少し狭くて、がらんとさみしい。
知らない場所のように、そわそわ落ち着かないヴィヴィです。
初めてこの家に入った日もこんな風に何もなく、
ヴィヴィは初めての広々とした空間に喜んで駆け回ったけど、
覚えてるかな?
この家へのお引っ越しを決めると同時に、ヴィヴィを迎えることを決めました。
引っ越しの多い飼い主たちだけど、住み心地の良い幸せなおうちを作りたくて、
ヴィヴィといっしょにあれやこれやと試行錯誤した家。
ここでヴィヴィと暮らせてとても幸せでした。
ヴィヴィ、ありがとう。
おうちもありがとう。
少しさみしいけど、
いっぱいの思い出を後に、新しいおうちに出発です。
ばいばーい!
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