〇〇〇氏に商標侵害の警告書を送りつけられた俺は、こんな時、誰に相談したらよいのかわからなかった。法律に詳しい友人がいるわけでもない。
そうだ!こんな時はyahoo知恵袋に相談しよう!
藁にも縋る思いでyahoo知恵袋に相談したら、とても良い情報を頂いた。こういう知的財産に対する攻撃を受けた時の相談する窓口があるという。それが「知財総合支援窓口」というそうだ。俺は月曜日を待って知財総合支援窓口に相談をした。
知財総合支援窓口の、電話対応してくださった中川さんという方はとても親切な方で、「こういう知財の案件は、知財の知識のある弁護士じゃないと普通の弁護士に相談しても分からないんですよ。」と言って、ズームによる知財専門の弁護士との無料相談(30分)を勧めてくれた。俺は、地獄に仏を見た思いで中川さんに心の中で手を合わせた。
状況をまとめるとこんな感じである。
1,商標登録者〇〇〇氏は整骨院をやっていてそこは「やわらぎ」という店名ではない。
2,〇〇〇氏はその前年に、女性がオーナーでやっていた「鍼灸サロンやわらぎ」という店舗を吸収合併して自分の整骨院グループの傘下に入れた。
3,そして2021年4月に「やわらぎ」という名前を指定役務第44類「はり治療、アロマテラピーの提供、あんま・マッサージ及び指圧、カイロプラクティック、きゅう、柔道整復、美容、理容、医療情報の提供、健康診断、栄養の指導、介護、医療用機械器具の貸与、美容院用または理髪店用の機械器具の貸与、セラピー」という膨大な数の商業名を書き連ねて商標登録を取得した。
以上のことを纏めたうえで、ズームで弁護士さんに相談をした。
「調べてみたら僕のほうがその鍼灸サロンやわらぎよりも開業したのが古いんですよ。これって『先優権』を主張できませんかね?」と、俺が尋ねると
「先優権っていくつかの条件があってね。例えば、あなたのやわらぎというお店が日本全国の人が認知しているくらい有名だとか、テレビに出演して知名度が高いとか。」
「・・・・・テレビに出たこともありませんし、うちのお店は近所の人しか知りません・・・」
「じゃあ先優権を使えないかなあ。ちなみに向こうに裁判を起こされたら商標登録を持っているほうが圧倒的に有利だよ」
「・・・・・」
どう相談しても、名前を変える他に道はなかった。
「ただね、損害賠償請求って、損害が発生した時に請求するものであって、登録が下りてから三か月で、しかもずいぶん地域も離れているのに35万円を請求してくるのはちょっと悪質だなあ。」
と、その弁護士さんは言って、俺にアドバイスをくれた。
1,名前は変更すること。
2、その商標登録者に手紙を出すこと。
3,手紙の内容は「こちらは店名を変えました。そちらが損害賠償請求を取り下げてくれるなら、やわらぎという文言は今後一切使いません。」と書くこと。
4,そしてこれが一番大事で、手紙の末尾に「なお、上記の旨ご検討いただけない様でしたら、こちらも『無効審判』を検討せざるを得ません」と書くこと。
俺は、「快整体院やわらぎ」で19年間やってきた。19年続けてやってきた道のりは並大抵のことではなかった。来年は「やわらぎ20周年」で記念品でも買おうかと考えていた。
が、しかし「やわらぎ」は、ここでどうしてもその名に幕を下ろさねばならなくなった。
無念だった。悔しかった。悔し涙が溢れてきた。
俺は弁護士さんの指示に従った。
無念の後にはどうしようもない怒りがめらめらと燃え上がってきた。
「阿修羅だ!阿修羅だ!俺は阿修羅になってやる!」
ということで店名を「あすら整絡法」にした。
(つづく)