勤めている塾の冬期講習がほぼ終了しました。
普段は基本的に決まった生徒さんしか担当しないのですが、この時期はイレギュラーの担当もあります。
今の中学3年生の生徒さんたちが数年前から入ってくるたびに、この学年から下の子は何かが違うなと思ったのですが。
本当にいい意味でマイペースというか。
今回、中学1年生を何人か担当してみて、さらに子どもたちのあり方そのものが変わったなと思いました。
これはあくまでも私の感じることで、彼らの能力を批判する意図はありません。
またもちろん、全員に当てはまるとも思いません。
ですが、私たちのように、覚えたり考えることが当たり前で、それができるのが良いこととされていた世代とは、彼らはもう生まれついてのあり方が違うように感じます。
何かを暗記するということ、頭を使って考えるということ。
この2つが彼らの多くにとってはもう、自然なことではないのだと思います。
普段担当している生徒さんがそうなのですが、今回複数の同学年の生徒さんを担当してみて、同じだと感じました。
彼は、覚えるというのは、楽しかったり興味があるから勝手に覚えるものであって、暗記しろと言われて覚えるのは無理だと言い切ります。
小学校での、話すことが中心の英語活動は好きだったようで、いろいろな表現をよく覚えていました。
ですが中学校では、読み書きを正確にできることを求められます。
それが楽しければいいのですが、1文字違うとバツがつく、だから正確に覚える必要がある、ということにはまったく興味を持てない。
そのため、綴りやルールを正確に覚えて書いたり運用することが難しい。
でも学校のテストは昔から変わらない、記憶力を試されるもののため、点数につながりにくいのです。
もちろん、何度か手を動かしたりしているうちに、自然と身についていくものもあります。
おもしろい読み方や覚え方を自分で編み出したときなどは、それはもうすばらしい記憶力を発揮します。
でも、どちらにしても、興味のないことを意図的に暗記するという仕組みは、彼の中ではあまり機能してしないようです。
文法については。
たとえばある英文を疑問文にしなさいという問題があるとして。
わからない、という反応が出ることがとても多いのです。
ところが。
この文の動詞はどれ?
know。
それはbe動詞、それとも一般動詞かな?
一般動詞。
一般動詞の疑問文はどうやってつくる?
あ、Doだ!
そうそう、でも主語がKenだったら?
Does!
誘導して聞いていくと、ちゃんと答えが出るのです。
つまり、繰り返しによって、ある程度の知識は身についている。
でもそれを自分でこうだからこうなって、と考えることは別の話、ということのようです。
こうやって自分で考えていくといいんだよ、と言うのですが。
それは無理。
の一言が返ってきます。
考えようとすると頭が痛くなると言うこともあります。
けれど大好きなスポーツで作戦を考えるのはとても楽しいとか。
考えると言うより勝手に浮かんでくる、と言っていましたが。
学校でやったことを覚えられないから成績が良くない。
親御さんが心配して、学校の授業に遅れているから塾に行きなさいと言われた、と体験授業に来た生徒さんを担当したこともあります。
なので以前に比べて、1年生の在籍生徒数がとても増えています。
塾に来て、繰り返しやることで身についたり、あるいは興味を持つようになって伸びる、ということはあるかもしれないけど。
今の子どもたちは、そもそものあり方が、私たちとは違うのだろうと感じます。
よくスピリチュアルの世界では、私たちは不要な概念をたくさん取り込んで(知識も概念)、思考を使うことで深く眠ったと言われているけど。
だったら今の子どもたちは、教育にやられることなく(笑)、本来の姿でいることができているんじゃないかな。
本当は私たちは毎瞬新しく現れていて、なんの記憶をひきずっている必要もない。
彼らを見ていると、その私たち本来のあり方を見ているような気がします。
そして、私たちのころから何十年も、ほとんど変わっていない教育のやり方と、テストや受験の仕組みのほうが、彼らに合っていない。
いよいよそれが通用しなくなる時が来たんだなあと感じます。
私は今の仕事が好きです。
なので今の仕事がある間は、生徒たちが楽しく90分を過ごしてくれたらという感じで続けていきたいと思います。