2024年2/8【703】たぶんvery good 難易度4

 Amazonの評価がとても高い【禅とオートバイ修理技術】というなんとも摩訶不思議なタイトルの本を見つけたから「どれどれ?」と興味本位で読んでみたらまさかのいや予想通りの哲学書でこの忙しい時期に読むには難しすぎて途中で挫折してしまいパラ見で終わってしまったけれど頑張って最後まで目を通したのでせっかくなので書評してみた。 

人生半ばで精神を病んでしまった著者が息子(&友達夫婦)と共にオートバイでアメリカ国内の旅をしながらときおり自分でオートバイのメンテナンスをしつつはたまたツーリング最中の自己対話のなかから哲学的問を立てるという旅の記録と哲学的話題の二層構造になっていて初めはそこに気が付かず何の本なのかわからなかったため真面目に読んでいたけれど途中から「こりゃ哲学書だな」と気が付いてから挫折の一途をたどる結果となってしまった。 

 レベルとしては『基礎哲学中級編』くらいだと思うがWikipediaによると本書はなんでも『出版されるまで121人の編集者に断られ』て『今までに最も売れた哲学書』であるというから著者の出版に対するネバーギブアップの精神と「何がヒットするかは専門かにもわからない」という事実に驚くしかない。

 オートバイの修理をしながら『修理工という者が存在するのだから修理は彼らに任せるべきか自分でメンテナンスすべきか』問題から『テクノロジーの恩恵にあやかっている人たちほどテクノロジーに対し懐疑的であり原始的な人たちほどテクノロジーの利点をわかっている』的ななんだか奥が深そうなことから始まり『山登りで大切なのは身を守るため「いまここ」に集中せざるを得ない状況である』でなるほど確かにと感心し『大学(教育)のありかたとは本来学費や評価とは無関係のはずであるのに』や『「いまここ」に気が付かなかったら頂点に到達しても気が付かない』などなかなか鋭いことも随所随所に出てくるものの途中でカントやら老子やらニュートンにアインシュタインに挙げ句の果てに数学者のポアンカレの思想?まで登場し「この本はこの忙しい時期に数日で簡単に読むべき内容ではないな」と判断しいつか再読をと心に誓いつつ途中でパラ見読書に変更した次第である。

 日常の物語のなかから自然と哲学的問題に話を持っていくため読みやすい部類ではあるものの哲学系の本は漢字も多く(←小学生か?)一文読んでもすんなりと頭に入らないので自分の中で消化するのにすごく時間がかかってしまうがそもそも哲学というものは本来答えもなく(知らんけど)答えを導き出す過程つまり著者の主張を理解し一方で自分なりの考えを整理していく過程にこそ意味があるはずなので私の難しいという感想は自分でいうのもなんだがあながち間違っていないのではないかと思う。

 というわけで「もう少し時間ができたらいつか再読しよう」という「いつか」は永久に来ないというのが自己啓発本における定番ではあるがとりあえず今回はこのへんでさようならしようと思ったけれどその前に最後にこうやって全文眺めるとまともに読んでもない本によくこんなにも書評?できたなと自分でもびっくりなんだけれどももしここまで全部読んでくれた人がいるのならそれまたかなりのびっくりである。

fin