2023年11/3【681】good 難易度2

実父から性虐待を受けて育った元タカラジェンヌにして東京ディズニーリゾート初の同性カップルによる結婚式を挙げたレズビアン。

と、まぁなんとも濃い人生を歩んでこられた金沢市出身の「東小雪」さん、またの名を「あうら真輝」衝撃の自伝をただの野次馬根性で読んでみた。


【宝塚の闇】
金沢演劇界では有名だという「あの東さんのお嬢さん」である彼女は、両親の影響も手伝い見事宝塚に入る。
しかし、そのタカラヅカの暴力。
軍隊さながらの上下関係と理不尽な伝統。脈々と受け継がれる下級生への支配。

今でもそうなのだろうか。
そういう環境で生き残るしか夢を叶えスターになる道は開けないのだろうか。
閉鎖された空間ではそれが常識となり、疑問が頭をよぎることはない。
きらびやかな表舞台の裏にある地獄。
なんだか悲しい話だな。。


【実父からの性虐待】
彼女は小学生のときから精神不安定で学校にも行けず、大人になってからも日々大量の薬物を摂取していたそうだ。
あるときふとしたことがきっかけで、心を深く閉ざしていた『実父からの性虐待』の扉が開いてしまう。
一気に甦る恐怖。
そこから全てが繋がっていく。

人の特に幼少期の心とは、こうも繊細で複雑に機能しているのかと驚かされる。
性に対する知識が皆無であっても感じる違和感と恐怖、そして記憶の喪失。
それが身体異常となって身体と精神を蝕んでいく。

著者自らが言うように、こういったケースはきっと想像以上にありふれたことなのかもしれない。
被害者の心のケアやそれ以前に性暴力の対策が必要なのには賛成だが、何をどうできると言うのだろう。
とても難しい問題だと思った。


【LGBTQ】
著者本人曰く、自分が性虐待を受けて育ったこととレズビアンだということは無関係ではないかとのことだが、関連性はともかく、同性カップルとしてパートナーの女性と共に支えあって生きる姿は応援したくなった。


【そして実母との確執】
このように彼女の幼少期はかなり特殊な環境だったようだが、今では実母との関係は破綻しているという。
性虐待を見て見ぬ振りをしていた母、その事実を決して認めない母、勇気を出し告白した性的マイノリティへの無関心。
せめてこの母親が彼女の完全な味方であり、彼女を守ってあげていたのなら、著者はあんな幼少期を送ることはなかったのではないだろうか。



というふうに、一冊で複数のテーマが味わえる大変オイシイ(?)本であった。


まぁ正直なところを言えば、実母はまだ存命中だというのにこんな暴露本を出してしまって大丈夫なの?
というのと、
東京ディズニー初の同性婚挙式を挙げたにもかかわらず現在は相手の女性と離婚されているという、おいおいおい…
なオチが付いているけれど。


平凡こそ異常。
平々凡々に生まれた私はなんて幸せ者なのだろう、と改めて感じて読了。


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