2023年4/5【633】--- 難易度4

2002年に北九州市で実際に起きた7人監禁連続殺人事件の完全ドキュメント。タイトル通り。

主犯の男は自ら手を下すことは一切せず、ただ暴力や虐待によって被害者家族を支配、マインドコントロールされた一家6人はお互いを殺し、死体を解体し、捨てた。

殺された被害者の中には元警察官の成人男性さえもがいた。
同じく被害者である当時10歳の女児は自らの祖父母両親らの死体解体を手伝わされ、弟を殺し、そして自らも殺された。

常軌を逸しすぎる事件。
なぜこんなことが起こるのか。
犯罪心理に興味があり恐いもの見たさも手伝い読んでみた。


本書はただ淡々と、著者の主観はほとんど挟まず、ただ事実だけが延々と書かれている。

それは主に裁判で使用されたであろう論告文?判決文?や、あるいは著者自らが取材した人びとや裁判官と記者とのやりとりが用いられている。


それにしても分厚い。
人物相関図もかなり複雑。

内容に関しては『本の』というより『事件の』内容が凄惨すぎて、コメントのしようがない。

面白すぎて読むのが止められなかったなんて言ってはいけないのだろうけれど、そしてこんな感想を抱くのは被害者の方々への侮辱にしかならないのかもしれないけれど…そのへんのミステリー小説なぞの比ではなかった。


主犯の男、共犯の女、二人の生い立ちと出会い、事業の失敗、詐欺、恐喝、嘘と借金と虐待のエスカレート。
全てがただ恐ろしい。


同居していた犯人達の子供達は一体どういう生活をしていたのか。
同じアパートに住む人びとはほんの直ぐ側で7人もの殺人と解体がされていながら、本当に全く何も気が付かなかったのか。
たった一人生き残り逃げて事件発覚のきっかけになった女の子は学校に通っていたというが、ここでも周囲の人は誰一人異変に気が付かなかったのか。
主犯男性の親族の話が殆んど出てこなかったのには何か理由があるのか。

疑問点は多い。


また、虐待されマインドコントロールされたうえとは言え、何件もの殺人、しかも自身の両親、妹とその子供を殺害した共犯者の女。
彼女への刑をどうするかというのもとても難しい問題だと思った。

それに、弁護士って何なの?とも。
仕事なんだから仕方ないのだろうけれど…こんな『死刑』ですら甘過ぎると言えるような鬼畜男の弁護を担当するなんて…言葉がない。


内容は十分にショッキングだけれども、これでも相当オブラートに包んであるんだろうなぁ…オェェ…


とにかく、著者や刑事検察官達の執念というか、この、登場人物が多く、しかし関連資料や物的証拠は少なく、亡くなった7人の遺骨遺品の1つもないなかで、よくぞここまで調べあげまとめたものよと敬服するしかなかった。


決して万人にオススメできるような本ではないが、そして年度始めの忙しい時期だったけれども、読んでよかった。


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