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2022年1/24【512】very good 難易度3
『レンタルなんもしない人』のTwitterを、ライターと編集者が勝手に文章化してくれたもんだからなんもしてないうちに出来上がってしまった本、を読んでみた。
前の2冊は依頼者にフォーカスして感想を述べたので今回は『レンタルなんもしない人』本人に注目してみたいと思う。
レンタルさんはスペックゼロと言うけれども、実際はビックリするほどの高学歴である。
にもかかわらず、なんて言い方をする私みたいのがいるからダメなんだろうけれど、ずいぶん嘘をつきながら就職活動をし(まぁ基本皆そうでしょうね)、社会に出たが上手く適応できず、会社を辞め、やがて「ちょっと面白いかなと思って」このサービスを始めたそうだ。
活動自体は、なんもしない・面倒なことはしたくない・ストレスは絶対に受けたくない・なんの期待もされたくない…のナイナイづくしだが、
「そこだけは絶対に譲れない!」
という確固たる信念を持っているように思う。
その強い意志こそ、逆にハイスペックな気がしてならない。
彼は言う。
「夢を持て」とか
「何が嫌いかより何が好きかで自分を語れ、byルフィ」とか
「世のため人のためになれ」
なんてセリフは大嫌いだ、と。
世間に合わせることでストレスが生じ、それが原因で自ら命を経ってしまう人さえいるのに。
なのに、何故そうまでして能力以上の期待に応え、無理矢理やらされ、個性を出さなければいけないのか、と。
確かにそうかもしれない。
私なんて
「夢を持たないと!やりたいことを見付けないと!常になんかしていないと!」
と自己啓発本ばかり読んで常に暴走しているタイプなので、ちょっと反省である。
ただ。
本書を読んで思うんだよね。
彼は『なんもしない/なんもしたくない』と言っているけれど、十分やっているではないか。
その活動は確かにひたすら受動的かもしれない。
でも、まずその行動力と好奇心、どんな依頼も先入観なく受け入れ『今』を楽しみ、変化を受け入れ何でも体験してみるフットワークの軽さ(厳密に言えば体験に付き合わされているのたが)。
決して冷めた目でみるのでなく、依頼をネタに変換しつつワクワクアンテナを張り巡らす。
これはできるようでなかなか難しいことだと思う。
自分とは何者なのか?
何ができて何ができないのか?
彼はそれを自分でよく理解しているんだろう。
人に共感する能力もない。
創造性もない。
それでもそんな僕を必要としてくれる人達がたくさんいる。
こんな僕にもできることがある。
たまたまこの活動が、そんな彼にすごく向いていたのだろう。
本人は『なんもしていない』というけれど、その活動が楽しいから、好きだから、続けられるんだろうね。
なにもできない人でもストレスなく生きていける世の中になってほしい。
それが彼の願いだそうだ。
個性を出さないという、立派な個性。
なにもしないということを、するということ。
嗚呼、此哲学的問也。
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