2020年 4/28【332】good
難易度3


今から30年程前に起きた幼女連続誘拐殺人事件。
なんと凄惨な事件!
と当時小学生だった私の記憶にも残っている。

犯人である宮崎勤が、当時はなかなか世間で受け入れられなかった、日本に限って言えば症例すら殆どなかった『多重人格』だったのでは?と、新聞記者の著者が素人ながらに鑑定書を読み解き考察する。


まず『まえがき』で驚いたのが、
著者が
『家族とはなんだろう』
と考えさせられたという件。

え?この事件の一体どこに『家族とは』が関係してくるの?


父親は地元の名士、部屋を埋め尽くす五千本を越えるビデオ、アニメオタクでロリコンなワガママ坊っちゃんの自分勝手な犯行なのでは?と思い込んでいただけに、読み進めてようやく理解できたときはショックだった。


神戸連続殺傷事件関連本でも感じたことだけれど、『家庭』というものがどんなに大切なものか、当たり前すぎるし言うのは簡単だけれど、特に子供の人格形成においてそれがどれだけ重要なのかを改めて思い知らされ、正直言って自信を無くしてしまった。


我が家族は大丈夫か?
私だって人間だもの、いつも笑顔でいるなんてできない!
それでも母親たるもの妻たるもの、いかなるときも太陽のようでいなければならないのか?

というとは私の一方的な都合であり、なんにせよ子供のSOSに気付かない、寄り添わない結果がどういうことになるのか。
とても恐ろしい。


そして本書の問いかけでもある
『多重人格だからと犯人を哀れむのなら、彼の罪は問えないのか』
という問題。

突き付けられる問いはとても大きく簡単に答えがだせるものではないが、子供にとって、もちろん私自身にとっても『家族』というものがいかに重要なのかということを、改めて肝に命じなければ。


今日、不安や焦りでイライラ鬱っているのは大人も子供も同じこと。
ストレスを自覚し発散の術を知り、捌け口を知っているのは大人のほうだ。


本書の本題は『多重人格説の検証』なので、家族うんぬんの話、犯人がどのような幼少期を過ごしそれが彼の人格形成にどのように影響したのかの考察は、あくまで序章にすぎない。

事件から30年、本書刊行から20年経った現在、多重人格がどのように扱われているだろう。
機会があれば関連書籍を読んでみよう。


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