2019年 10/2【279・280】普通/good
難易度★★/★★


神戸連続児童殺傷事件、少年Aこと酒鬼薔薇聖斗事件と言った方が分かりやすいだろうか。
ワイドショーに釘付けだった20年前。


初めに読んだのは【淳】被害者父親の手記。

我が子が、行方不明になった我が子が、生首になって発見される。想像できようか?

そんな有り得ない精神状態の中、連日行われる事情聴取とマスコミの執拗な追跡。

何よりも、加害者が14歳の少年であるため法的に罰せられることもなく、それどころか『少年は、歪んだ教育・病んだ社会の、被害者である』という世間の風潮に、怒りを向ける矛先もなく、二重三重の苦しみに陥る父親の悲痛な思いが綴られている。


続けて読んだ、少年A両親による手記。

この事件は『良い祖母、悪い母親に囲まれて幼少期を過ごした』ことが原因の一つだと言われているようだが、母親(両親)自身が、自分達がちょっとおかしいことに全く気付いていない気がしてならない。

厳しく躾た覚えも、長男だからと差別した覚えもない。
変わった様子もなかった、全然知らなかった。

そんなの、親の言い訳にすぎないのだ。
少年Aの視点から見ると決してそうではないのだから。
それが証拠に、母親に対して異常な愛情と憎悪を持っているのだから。

小学生のころからたくさんのSOSが異常行動となって何度も出てきていたのに、事の重大さに全く気付いていない。
母親本人に自覚が全くないのが、一番たちが悪い。


『手記』のため、本人の都合のいいように書かれているのは仕方ないことだが、本当に気付かなかったのか?
では私がこの母親だったら気付けたのか?
もし我が子が異常な行動を取りだしたら、
私はどう対処できる?

色々と考えてしまった。

親として、子供の(もちろん自分自身も含め)自己肯定感を低くする発言は禁忌である。

アンタはダメね、やっぱりできないよね、変わった子だね。

そういう発言の何年にもわたる刷り込み、暗示が『自分は母親にすら認められないダメ人間なのか?』という自己劣等感につながっていくというのに。

やがて少年は周りとのちょっとした差異を『他人とは違う自分は異常だ』と考え、自分の殻に閉じ籠り、自分だけの世界を作り、あの事件へと結び付いたのではないか。


ちなみに被害者父の手記よりも、加害者両親のものの方が書評としての評価が高い?のは…

前書【淳】は想像通りの内容だったのに対し、後書は『親の在り方』というもの改めて考えさせられたからであり、反面教師という意味で読んでよかったから。

おぞましい実際の事件の手記にもエンターテイメントを求めてしまう私…。



少年Aの手記【絶歌】も読みたいのだけど、彼に印税が入るので本は購入すべきではない!という意見が多く、出版社にも批判が殺到した。

図書館にも蔵書ないしなぁ。
図書館が『税金』を使って購入し、結果、反省も更正もない凶悪犯罪者に『印税』を払う、なんてことしてくれるかな。

殺人者でも本を上梓した人もいるけど、この事件はそれほど特殊なのか。



🌼コメント大歓迎です😊🌼