2019年 8/17【262】good
難易度★

ノマドとは、
一人砂漠で生活する女遊牧民
のことを言うらしい。

エジプトのあるノマドと行動を共にし、彼女ら遊牧民やイスラム圏の人々の生活に密着したルポルタージュ。


読了後の第一感想は、ズバリ
「いや~色んな生活があるもんだなぁ~」
ということ。←ボキャ貧

だって、ラクダと一緒に一人で砂漠を歩くだけのその日暮らしの生活。
それの一体何が楽しいのだろう…

そんなの、
何のために生きてるんだろう…

なんて、上から目線の自分こそ、
一体何のために生きてるんだ?
と考えてしまった。


しかし熱心なイスラム教徒の彼女らは、鳥を眺め、草の匂いを嗅ぎ、何をするにも自由気まま、街にいる家族や仲間と心が繋がっているだけで、幸せらしい。


一夫多妻制についても、著者同様日本人の私にはさっぱり理解不能だったが、本書を通してノマドの生活や宗教の考え方を知っていくうちに、なんとなく理解できるような気がしてきた。

そんな制度に平気を装っているイスラム女性達だけど、それでもやっぱり他の妻たちへの嫉妬や複雑な思いがあるようだ。

国や文化が違えど心は同じなんだなと、なんだかホッとしたような、同情するような。


数百年変わらぬ生活をしながら一滴の水すら貴重に扱うノマド達は、砂漠の向こうの『街』に住む人々のことを、当然ながら快く思わない。

昔はよかった、
何でもお金を基準にしている街はダメだ、
砂漠の生活が一番いいと。

もし日本の年間自殺者が三万人だとノマドに教えたら「そらみろ!」と言われそう。


もちろん一方で、近代化された街の生活に慣れた者は当然砂漠には戻らないという。

それはそうだろう。

でも中には街で暮らしても生活に馴染めずに、心を病んでしまうノマドもいるそうな。


『幸せ』とは、物の豊かさで測るものでも他人にどう思われるかでもなく、結局は、自分がどう幸せを感じるか、なんだなぁと改めて感じた。


ちょっとエジプトを旅してきた気分になれる、サクッと読める一冊でした。


🌼コメント大歓迎です😊🌼