感覚四十八手 その二十三 | 『高堂巓古 Officia Blog』

感覚四十八手 その二十三

 皆、よっぽど騙された願望があるのであろう。文化村の『だまし絵展』が大盛況なのだそうだ。無論、私も騙されたい願望を叶えに伺った子羊のひとりである。圧巻だったのは、幾枚もの屏風が私が移動するたびに、その角度と図柄を変えて追ってくるというもので、絵のくせになぜこのようなことができるのだろうと間近まで行っても、しばらくトリックがわからなかった。それほどまでに、私の両眼は騙され溺れていたと云える。

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 概念的におもしろいのは、鏡にうつった虚像、あるいはオブジェの影のほうがリアリティ豊かな作品が何点かあった。虚のほうが実とはなんとも洒落ている。様々なアイディアが脳裏に浮かんでは、消えていった。世のなかを眺めていると、おそらく人類は今世紀で滅びるであろう。この世は虚なのか実なのかわからないけれども、このだまし絵に少しヒントがある氣がしないでもない。兎にも角にも、騙されるのは、なぜこれほどまでに美味なのであろうか。きっと脳が普段、だます側にまわっているから、その反動で欲求しているのだろう。『だまし絵展』は今週末までである。