心と身体を緩めて穏やかなあなたへ戻す場所
治療院 『ばいたるえなじ～』
癒し手しげさんのアシスタント、くみです。
【AT限定解除～MT車を一人で乗れるようになるまで】シリーズ。
前回のお話
その後もしげさんの
【鬼のマニュアル車教習】が何度か続きました…。
いい加減乗れるようになれよ、
という感じですが（笑）
なかなかうまくいかず。
半クラにして、
アクセルをちょこっと踏んで、
クラッチをじわ〜っと…
えぇと、
すぐにギアをセカンドに入れて…
と、常に頭で考えながらの運転。
頭で考えるな！と言われても、
どうしても一つ一つの操作や行程を考えてしまうんです。
何も考えずに操作できるようにならないと、
安全運転ではなくなってしまいますもんね。
なので、なんとか運転できるようにと
鬼教習に耐えながら頑張っていました（笑）
いつかの夕暮れ時、
鉄道の線路を越える陸橋の前半部分、
つまり急な上り坂の真っ最中で渋滞につかまってしまい、
後続車がいる中、坂道発進をすることに…。
緊張でパニックになり、
助手席のしげさんの声も全く入ってこず、
何度もエンストし続けてなかなか発進できず、
後続の車にかなりの迷惑を掛けてしまったことがあったんです。
結局なんとか発進できたのですが、
その日以来、
そのことがトラウマで坂道恐怖症になりました（笑）
せっかくお金をかけてオートマ限定解除をしたんだし、
練習できる環境にいるんだから、
ちゃんと乗れるようになろう！と意気込んでいたのですが、
怖くて怖くて…
もう乗れなくてもいいや…と
気持ちが萎えてしまいまして。
しげさんは私から教えて下さいと言わければ、
無理に乗ろうとは言わないので、
それからかなりの時間が流れてしまったんです。。
多分、あの日からひと月は優に経っていたと思います。
そして、ふと気付いたんです。
しげさん、私のあまりのへなちょこぶりに、
もう、教えてくれる気を失くしちゃったんだ…
それで、恐る恐る探りをいれてみました。
「あの…、しげさん…
車の運転なんですけど、こないだ、勝手にパニックになった上に、
しげさんに当たり散らして嫌な思いをさせてすみませんでした。
そろそろまた練習した方がいいかな、なんて思ってるんですが…」
『まだ、しなくていい。
当分運転せん方がいいよ〜』
あ～、やっぱりしげさん怒ってる。
怒ってないとしても、呆れてる。
もう絶対に運転教えてくれる気失くしてる…
でも、全部私が悪いんだし、
あ～、どうしよう…
それから更にふた月ほど経ったある日、
急にしげさんが、
『んじゃ、そろそろ運転してみ？』
と言いました。
え？
私、破門されたんじゃ…？（笑）
なんて慌ててる私を尻目に、
さっさとばいたる２号の助手席に座るしげさん。
運転席に乗り込み、
シートベルトを締めたり、
ミラーを合わせたり、いそいそと準備を始めた私に向かい、
『いい？絶っ対に何も考えずに、
ただ走らせてみ？
充分に寝かせたから、
もうくみちゃんの無意識領域が運転をマスターしてるから』
「え？」
『早よ運転してみ？』
訳も分からず運転を開始すると、
あれだけ苦労していたスムーズな発進やシフトアップ、
交差点での減速やシフトダウン、
だけでなく、
トラウマにまでなったと思っていた坂道発進でさえも、
苦労なんてなんにもなかったかのように、
ごくごく普通に、
何も考えないで運転することが当たり前のように、
軽々とこなせるようになっていました。
しげさん曰く、
不器用な人が必死に考えるから訳が分からなくなるんだよ。
とはいえ、あれだけ必死に考えまくったんだから、
運転していなくても、脳は必死に反芻して、
運転操作を繰り返し繰り返しシュミレートして、
もう何も考えなくても運転できるほど、
イメージトレーニングしてくれてたはず。
自転車に乗るのと一緒で、
運転操作なんて考えながらするもんじゃないんだから、
いくら考えたって駄目なんだって。
なるほど…
かれこれ２～３ヶ月ほど、
全く運転していなかった私。
私の身体？脳みそ？は、
その間にきちんと運転をマスターしてくれていました。
その後しばらくして、
出張施術に出かけた先のファミレスで、
ランチをごちそうになって駐車場に戻った時、
ちょうどお店の前の街道で信号待ちをしていたスポーツカーが、
カッコいい音を響かせて発進していったのですが、
それを見たしげさんが、ボソッと、
『今の走り屋くんよりも、
絶対にくみちゃんの方が発進上手だよ』
と。
実は、私が弱音を吐いたりしたもんで、
ばいたる道場の門下生から、
『しげさん厳しすぎ』
と、色々と吊るし上げられていたんです（笑）
みなさま、私に優しくしてくださり…ありがとうございます（泣）
でも、しげさんが私に求めていたのは、
必要以上に高度な運転テクニックなどではなく、
心に余裕をもって、
リラックスして滑らかに運転できるための、
必要最低限の技術だったんです。
余裕を持って車を動かせているからこそ、
色々なところに注意を向けられるし、
しっかりとした安全運転ができるんですね。
ようやくわかりました。
しげさん、
ダメダメな教習生を見捨てず、
最後まで面倒を見てくださってありがとうございました。
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