世界3大カーニバルと言うのがあり、イタリアでは、ヴェネツィアがその中に入っている。カーニバルそのものについては、あちらでもこちらでも説明されていると思う、日本語では「謝肉祭」と訳されている。
ヴェネツィア以外のイタリアでは、巨大な張子のパレードでパロディーを展開してくれる愉快なヴィアレッジョのカーニバルもあるが、ミラノやその他の有名なカーニバルを行なわない地方の実態はどんなものかを観察しよう。
町にあるお店でも、ショーウィンドウから見えるのは、子供たちが仮装するための衣装やキッド。大型のショッピングセンターの玩具売り場にも、カーニバル衣装を買い求める子供連れの人たちで賑わっている。
女の子の人気は、おとぎのお姫様で、男の子はスーパーヒーローなのは、世界中同じなので想像がつきやすいだろう。
バットマン、スパイダーマンというアメリカンヒーローは世界共通だが、日本なら日本のヒーローも登場するだろう。
イタリア独特のヒーローなるものがないが「怪傑ゾロ」の人気が未だ盛況なのは日本人から見ると意外かもしれない。
「ゾロ」は、メキシコのヒーローで、馬に乗って剣で戦う。空を飛んだり、不思議な道具を使うヒーローではなく、あくまで人間のままである。メキシコもイタリアもラテンの国ゆえに「男としても格好よさ」美しいセニョリータ(スペイン語の「お嬢さん」)が危機に曝されていたら、剣で悪党をやっつけ、最後ににその剣で「Z」と言う文字を敵の服に刻んで残して去って行く。ラテン世界はやはりピカピカのロボットよりも、この男の美学にこだわる。
ミラノでは、この時期ミラノコレクションなどを中心にファッションウィークに入り、カーニバルを横目に「大人の実用的仮装大会」をやっている。
プレタポルテのデザイナーたちが腕を揮い、ファッションショーでは、モデルが、町には、ブランド製品に身を包むだけではない、それぞれの個性を生かした衣装で闊歩し、それぞれの変身の満足を味わう。
人は誰でも学芸会のお芝居で衣装を着たり、学校の体育で柔道着を着たり、一日消防士になったり、テレビや映画に出演したり、コスプレをしてみたり、チンドン屋(グイドは大阪のチンドン屋さんのバイトとしてピエロになったことがある)での仮装では、普段の自分ではない姿を鏡で見るだけで、照れくさい微笑を浮かべてしまう。外国人だけではなく、日本人でさえ普段は着ることのない日本の着物を着る時もそうだ。スーパーヒーローは、どれも正体を隠し、仮面と衣装を取ると、また普段の彼に戻るのだ。
仮面舞踏会では、不思議な恋に出会い。旅に出ることも、日常の自分からの「変身願望」と「知的好奇心」の両方を満足させる仮装なのかもしれない。