映画撮影でお手伝い で、この映画は、ミラノのいろんなところでロケされると新聞にも書いてあっただけあって、今日が3回目である私が来たのは、ミラノの北部のビコッカという地区。
戦後ミラノ経済の黄金期だった頃、このあたり一帯は、タイヤメーカー「ピレッり(ピレリー)」の工場で占めていた。工場は移転され、ミラノの再開発として、住宅地はもちろん、大学の校舎や、あのスカラ座が修復されていた頃、登場したのが、アルチンボルディ劇場。すべてがカラフルでモダンである。
とは言っても、外見しか知らなかったグイドは、今回のロケのお陰で、ある建物に入る。そこは、正面がガラス張りの、今では世界のどこにでもありそうな建物だと思ったが、内部は違った。その中は四角い空間があり、中央には、まるで京都タワーか太陽の塔のような物体がそびえ立っていた。
その中に地元ミラノ人である初老の男性が、感心したように説明してくれた。
この塔、実は火力発電所として使われていたもので、大量の水が内部を流れていたそうだ。
ところが、内部がどうなっているか、この男性も知らない。スタッフに案内されて入ってみて驚いた。
ドアにはAuditoriumと書かれていて、内部は写真のような場所であることに、一同感心する。
映画の撮影は、主演兼監督が、ワンマンにスケジュールを決めているため、キャストもスタッフもエキストラも、ずっと待機し続ける時間がとても長く、実際に撮影開始から終了時間をトータルしたら1時間でできそうなことを、まる一日かけるのが普通であり、そうしている間に、グイドは、一体自分がいるところはどこかを探検する。
じっと座っている人は、膨大な時間を無駄にするわけだが、時間を有効に使う者とは、そこで差ができるというもの。
Auditoriumを出て、エレベータールームに案内され、10階へ上がる。もともとピレッりの事業の中の、不動産部門Pirelli REのオフィスがあり、あの「塔」と繋がる廊下を渡ると、ここも円になったSala Riunioni会議場がある。世界中の人たちが働く日本の会社というシーンである。
この建物は、一般の人は入れず、用事がある人は、入口のガードマンに、身分を証明するものを預けて、入場者カードを衣服につけて出ないと、まず入れず、撮影のお陰で、この会議室にも入れた。
まるで、自分の会社の仕事で来ているかのように演技をして・・・。