オレは、本当にツイている男だと思う。
それはある人が、ある雑誌を持ってきて、ある話のネタを持ってきたことから始まる。事情があって、「ある人」と「ある雑誌」については書けないが、ある話のネタとは、「最近日本ではオジンのイメージが変わりつつある」という。その雑誌には「お洒落なオジンの裏ミラノ」などという特集が組まれている。
最近の日本では、女性の「負け組み」と言う流行語を最後に、これまでメキメキ上昇のみの女性の地位が一気に下降を始めた。それと同時に、これまで「亭主元気で留守がいい」とか「たたみにくっつく枯葉」だとか「アッシー君」「メッシー君」（どちらも死語？）で、太平洋戦争以後人間の階級の最下位に置かれ、このままでは日本男性は滅びてしまい、純粋な日本人の滅亡を恐れてオレは、１７年も前に日本を飛び出した。
その日本の同胞が、本国ニッポンから持ってきてくれたこの朗報は「日本の４０代から６０代にかけて、ファンションにこだわり、カッコいいオジン（オジンギャグとか、とにかく差別用語だった）を救助するのは、ミラノファション」だと言う。考えてみれば、オレはそのオジンの年齢に入ってしまった。無意識のうちに日本女性からの迫害を恐れていたこの時、ナンと１５年も住んでいるミラノの着こなしを身につけ社会復帰している戦友がいるが、１５年間、ずっとイタリア製を身につけている。ライフスタイルだってそうだ。いつだったかカワイ子ちゃんに「さすが洗練された感じが溢れている」と言われたのだ。
オジン救済の要塞都市ミラノに気がつけば住んでいたのだから、ツイだろう？
これからはオジンとして堂々とオトコを生きるぜ。