私のオフィスはミラノの東側に位置し、高速道路では東環状線(Tangenziale Est)から、鉄道はランブラーテからすぐだ。そういう意味で、交通の便を考え、行きやすいのはベルガモとローディである。

  ミラノの周りには平均50キロの距離で、4万人から10万人程度の町があり、そのどれも歴史と個性を持っている美しい町だ。北から説明すると湖に面したコモ(48キロ8万人)、南西にティチーノ側とポー側が合流する辺りにあるパヴィア(35キロ8万人)、東北東あたりに、丘の上につくられた中世の建物がひしめくベルガモ(50キロ11万人)そして南西でコモ湖のレッコから流れるアッダ側沿いにあり、エミリア街道からピアチェンツァ、パルマやボローニャを越え、古代の街道ならリミニからローマへ、あるいはフラミニア街道ならフィレンツェからローマへと、ローディ(30キロ4万人)はミラノと幹線道路を結ぶ最初の通過点である。現在の陸路では鉄道のユーロスター、自動車道では太陽高速道路(Autostrada del Sole)A1が通るところでありながら、カッコ内の距離がミラノからもっと近いのに人口が最も少ない。

ロディーのヴァッラ シャンティのバール


 しかしながら、私はこのローディを気に入っている。コモのように湖はないが観光客がやたら多いことがないのが逆にほっとするし、ベルガモの中世風の町のように煉瓦と石の色で重く暗い気持ちにさせられる能登は違って、(ロンバルディア州でありながら)エミリア地方の明るさの影響を受け、建物もカラフルで人は親切だ。農業が盛んで、ヴィッラ(上左の写真のような一戸建て住宅)も見られる。


 昨日、このローディでオープンしたシャンティ・ラウンジ(上右の写真)は、ローディーの夜、若者に夜更かしさせるために作られた。店を入るとカウンターで囲まれたバールがあり、若いイタリア人女性がカクテルを次から次へとつくっている。もう一歩進むと別のカウンターで囲まれた寿司バーには日本女性が寿司を握っている。どちらも黒シャツでお洒落に胸のボタンを上2段まで外し、カラーはさりげなく立て、フュージョンな食べ物と飲み物をつくる。


実はと言うと、このお店がオープンした日に訪ねたのは、このお店のイタリア人経営者は、ある人の紹介で私が日本関係のコンサルタントをしていることを聞き、訪ねてきた。日本の食材、寿司に必要な機材など。何より寿司職人が必要だった。私は、そこまでのプロデュースを担当したが、店内はインテリアデザイナーによるもので、どのようななったかをぜひ見てみたいと思ったからだ。


シャンティ看板 シャンティ店内 ラストサムライ

表の看板             店内               ラストサムライ(モヒートと日本酒のカクテル)


 オープンしたお店を見るまでに話だけを聞いてもわかっていたことだが、ニッポンのイメージはほとんどない。しかし、それも含めて現代日本であり、イタリア人がプロデュースした日本と言う新しい血を導入した一つの個性が出来上がった。


Shanti Lounge

住所:Corso Mazzini 64 Lodi