ナポリ会長と

 この写真は、数年前ナポリの日伊協会会長のルカ(左)と僕(右)が写っているもの。彼は、当時ナポリに住んでいたが、日本人の彼女と突然日本に行くと言って、それから東京に住んでいるようだ。そう言えばローマで日伊「イタリアヤマト協会」をつくったイタリア人パオロも、日本に行ってしまった。この二つの協会の違いは、前者は他の人に引き継いで今でも存在しているようだが、後者は、パオロ自身がイタリア不在になったところで協会をやめてしまった。南イタリア最大の町ナポリは我々が知るナポリ民謡というイタリア独特の音楽が、たった一つの街から生み出されたこと。南イタリアはローマ以前ギリシア人の植民地として生まれた町【nea+polis=ギリシア語。新しい町の意】がほとんどで、彼らはギリシア人で、かなり長い間ギリシア語を話していた。ローマ帝国統一後は、ナポリ王国とか両シチリア王国などというローマ周年が教会国家という国で、つまり別の国としてイタリア統一までフランスや何世紀もスペインの支配を受けた「国」だったため、独特の文化を育んできた。


 亡くなったナポリ人の友達はこう言ってた。「イタリア統一以来、南イタリアは飢饉が始まった。「イタリア統一」というよりピエモンテ(州)がナポリを征服しただけのことさ。」実際南イタリアの人は、イタリア統一以後と、第二次大戦以後にかけて多く北イタリアに出稼ぎに来ている。その他の全ヨーロッパにもいるイタリア人労働者というのは、ほとんど南イタリア、特にナポリ出身者であり、イタリア系アメリカ人の俳優や歌手は、両親か片親が南イタリア人だといってもいい。マフィアはシチリア出身者がアメリカで有名になった暴力と犯罪の組織。アルカポネはナポリ人(ナポリ出身はカモッラでマフィアではない)。他にフランク・シナトラロバート・デ・ニーロ、アルパチーノ、シルベスター・スタローン、マドンナ、レオナルド・ディ・カプリオなどなどイタリア人の血は全世界に入り込み、同化しようとしている。しかし、南イタリア人の先祖ギリシア人は、他の民族どころか、他の都市国家の「外国人」と恋愛すら考えられなかったものだそう。それが歴史と共に逆の考え方になったのだろうか。


 ナポリ万歳