先日からたびたびこのブログに登場し、おそらく登場回数においては男性の中で一番かな?と思われるギリシア一の智将にしてイタケの王オデュッセウス。
彼について語るところが多い理由の一つに、ホメロスの一大叙事詩「オデュッセイア」の存在があります。
世界史を高校でお勉強されていた方はうっすらと覚えているのではないでしょうか。
ホメロスの二つの叙事詩「イーリアス」と「オデュッセイア」。
世の名高いこの二つの叙事詩は、「イーリアス」のほうが、トロイ戦争の顛末を。
そして「オデュッセイア」のほうは、トロイ戦争終結後、オデュッセウスが10年近くをかけてお家に帰るまでの物語です。
・・そうなんですよ前者が「世界を二分する戦争」を描いているのに後者はいわゆる「家に帰るまでが遠足」を描いているという・・スケール感の差・・。
でもそれだけこの、トロイ戦争においては主役というほどでもなかった智将・オデュッセウスという人が魅力的で重要な登場人物だということなんですけどね。オデュッセウスの旅、という意味で「オデュッセイア」という題名もついているのでまさにタイトル・ロール、本人が文句なしの主役として、この物語に君臨します。
そしてこの戦士としても優秀で弓を引かせたら並ぶものはなくしかも脳筋じゃない、というチート性能のオデュッセウスなんですが、一番チートなのところって
勝利の女神アテナから激烈に推されてる英雄であること
なんですよね。オデュッセウスがアテナを推してるんじゃなくて、アテナが、オデュッセウスを、推してるんです。
アテナは純潔を誓った処女神で、自分に言い寄ってきたり調子に乗ってる男はバッサリやっちゃうんですが、意外とシュッとした英雄に弱い一面があるんですよね・・ペルセウスのこととかも好きだもんね・・
オデュッセイアという物語は、オデュッセウスに対するアテナの壮絶なえこひいきの物語でもあります。
勝利の女神のえこひいきなんて羨ましい限りですが、しかもオデュッセウス、とにかくモテる。
007も光源氏もびっくり・・というよりむしろ、誘惑されると弱いのよこの人。
いちいちモテて女神や魔女に誘惑されては、いちいちコロリといってる。
以前もお伝えした通り、肉食系美魔女・キルケの島では彼女に誘惑されて一年間、愛と官能の日々を過ごしていますし
オデュッセウスは虎には変身させられていませんが・・
人魚のセイレーンたちにはガチで猛烈に誘惑されてるし(縄で自分の体を縛っていなかったら確実に誘惑に負けてます)
今にも負けそうwww飛び込みそうwww
その後、またしてもとある島に住む女神のカリプソに誘惑されて、今度は7年も愛と官能の日々。
カリプソはその力で、オデュッセウスに「不死の体を与える」とまで言い出します。
もう完全に負けまくりじゃないですか・・
いや10年の苦難の旅といいますが、単にあちこちで美女に誘惑されて官能してただけなんじゃ、という・・。
こんだけいろいろやってたらさすがの女神アテナも激おこしそうなんですが、それでもアテナは彼を贔屓し続けます。
そして、カリプソにこの恋を諦めさせ、なんとか家路へと進めさせるのですが・・
オデュッセウスのモテ度はここでさらに凄みを増します。
なんと、足掛け20年家を留守にしているオデュッセウスを一途に一途に待ち続けている、絶世の美女妻がいるのです!!!
すごくないですか。
知恵と勝利の処女神アテナ
肉食系恋のハンター魔女キルケ
(男を誘惑しては殺す人魚セイレーン)
一途に愛を貫く女神カリプソ
20年間消息のない夫を待ち続ける美人妻ペネロペ
処女、悪女から良妻賢母まで、オールジャンル。総なめ。
で、まあ処女神アテナ(とセイレーン)は別として、出会った女、片っ端からきっちり抱いてる。
でも妻のことは愛してやまない、という・・なんていうか・・
いや~これを要するに、オデュッセウス、女にやさしいんでしょうね。
神話の英雄にありがちなマッチョタイプの脳筋じゃないから、情が細かく、女性の気持ちがわかる。
愛されるとちゃんと愛し返してしまう。
プライドの高い美女や女神や魔女をちゃんと崇めていい気分にさせてあげられるというか。そして絶妙にだらしないというか、放っておけない感じというか。
オデュッセウス「君のことが好きなんだ、本当に愛している。でも僕にはもう何年も会えないままの家族がいる。家族のことを思うと、身を切られるようにつらい。でも君を愛しているのも本当なんだ」
あー・・モテるのわかるような気がする。
流浪の旅先のこととはいえ、いろんな女の誘惑に屈して不倫同棲を繰り返す男ではありますが、不倫相手の女たちも、彼が去っても恨まない。むしろ、彼の幸せのために送り出してあげているところは注目です。
ある意味で究極のヒモ?
文武両道で優しくて女心が分かるヒモ? そりゃモテるわ・・
女はこういう、ハイスペックなのにちょっと弱っていて、でも自分のことを愛してくれて、ドラマチックな展開を与えてくれる男に弱いものですから。