ああっそういえばこのブログ、「ヨーロッパからお届け」のジャンルに登録してるんだった・・
最近ヨーロッパの話、全然書いてないっ
というわけで都合よく久しぶりに戻ってまいりましたヨーロッパ、でも古代ギリシア。
ギリシア神話界でも壮大すぎて全貌がさっぱりわからないと有名なその名もトロイ戦争。
当時、地中海の覇者だったギリシアと、トルコのあたりにあったといわれているトロイの一大戦争です。
通常は単発のお話の集合体、という体のギリシア神話ですが、このトロイ戦争はシーズン10まで続くうえスピンオフもシーズン７くらいまで続きそうな連続ドラマ。
そんな中、絶世の美女役として君臨するのがいわゆるトロイのヘレネ。
世界三大美人議論の中で、
楊貴妃
クレオパトラ
は鉄板として、三番目の席を小野小町と争う美女代表。
っていうかたぶん絶対小野小町よりその席にふさわしい傾国の美女。
トロイ戦争について全部お話しするのは到底無理なので、ヘレネ関連についてだけかいつまみます。
まずは思い出していただきたい、この三女神。
女神三人は左からアテナ、アフロディーテ、ヘラ。アテナが例のメデューサの盾を持ってるところに注目！
by ピエール・パオロ・ルーベンス
この連載の序盤のころ。
ギリシア神話界における美しい女神たちをご紹介しておりましたが、なかでも格も力も美貌も絶大なこの三人。
どの女神も恐ろしくプライドが高く、気性も荒いのが特徴のギリシア神話界。（まあどこの神話界もそうだけど）
そんな三女神に、とんでもないイベントが降ってわきました。
それは、別の女神の結婚式の出来事。
宴に呼ばれなかった争いの女神リリスが、怒りのあまり「一番美しい女神に捧げる」という札のついた黄金の林檎を食卓に投げ込んだからさあ大変。
三人の女神はあっというまに(花嫁であるところの主役の女神を差し置いて）大げんかを始めます。
方向性は違えどどの女神ももちろん輝く美しさ、審判を任された神々の王・ゼウスも大弱り。
困り果てて、なぜか、(いろいろあって）羊飼いに身分を落としていたトロイの王子・パリスにその審判を委ねます。
まあそもそもなんで王子であるパリスが羊飼いになっていたのか、とか、
ゼウスは何で唐突にこのパリスに審判を任せたのかとか、
ツッコミどころはいろいろあるのですが今日のところはそれは置いておいて、
いきなり世界を揺るがす審判を下すことになった現・羊飼いのパリスに、女神たちはそれぞれ熱弁をふるいます。
冒頭に置いた絵の場面ですね。
アフロディーテ
「えっ、わたくしに決まってない？ えっそれ迷うところ？ 美しい女神、といえば美の女神であるわたくし一択。それ以外の選択肢があるとかありえなーい！ ちがう候補がいるとか大丈夫？ さあその林檎をわたくしに！」
ヘラ
「何をばかげたことを。美しさとは外見だけのことを言っているわけでもなかろうに。全てを兼ね備えたこのわらわ、主神ゼウスの妻にして女性の美徳の体現者ヘラこそがこの称号にふさわしいはず。リンゴはわらわのものじゃ」
アテナ
「ばかばかしい。美とは外見、まして女の器などに収まるものではない。この世界の力の源こそ美しさ。僭越ながら、この知恵と戦いの女神アテナ、その名を名乗るに十分な質を備えている。さあ羊飼いよ、迷わずに林檎をわたせ」
一歩も引きません。現羊飼い・パリス、選べない！選べるはずない！！
怖いよ無理だよ！！！
硬直するパリスに、言葉だけでは説得できないと思った三人の女神は、実弾攻撃を開始します。
つまり賄賂。
女神のメンツとプライドをかけた賄賂の値段は天井知らず。
アテナ
「わかった。そうまでいうなら、私の守りでそなたに必勝の力を与えよう。その林檎と引き換えに、そなたの生涯、すべての戦で勝利を約束する。この世の覇者にもなれる力だぞ、迷うこともなかろう。簡単な仕事だ」
ヘラ
「愚かな男じゃが、まあよい。その林檎をわらわに渡せば、この世界で最も大きな富を贈ってやろう。そちにそれほどの価値があるとはみじんも思わぬが、その林檎にはそれだけの価値がある。さあ、林檎を差し出せ、そしてわらわの恩寵をうけるがよい」
アフロディーテ
「やぁね、勝利とか財産とか、ロマンのかけらもないマウンティング。無粋よ。ねえパリスあなたにはわかってるわよね。幸せを約束してくれるのは戦いの勝利でも、有り余る富でもない。誰よりも美しい女を愛し、愛され、二人で蕩けていることよ。わかるでしょ？ さあ、その林檎をわたくしに。そうすれば世界一の美女があなたの腕の中で眠ることになるわ」
さあ男性の皆様！
あなたならどの女神の誘惑に屈しますか？！
そしてトロイのヘレネ、今だ出番なし。マテ、次号！
ちなみに私なら一択でアテナなんですけど・・やっぱ偏ってるのか・・？