さてここまでに日本と中国で活躍している妲己こと九尾の狐。

 

お次はすこし足を延ばして、インドまで!!!

いわゆる天竺のマガタ国のお話です。

とはいってもこのマガタ国、仏教の法典の中に登場する伝説の王国、ということなのですが、われらが九尾の狐が登場する前段からしてキてます。

 

マガタ国の王は、ある時、山に狩りに出かけました。

そしてそこで出会ったメスの獅子と一夜を共にします。(な、なんで・・?)

するとこの雌獅子が懐妊。そんな馬鹿な。

そして生まれてきたのが、つまるところ半人半獅子の王子。足に斑点があったことから斑足太子(はんぞくたいし)と呼ばれる人物です。重ねて、そんな馬鹿な。

 

もうここからいきなりツッコミどころが満載すぎるのですが、一番気になるのは、

 

獅子ってそもそも、斑点なくない?

 

というところなのですが、まあ気にしてもしょうがないんでしょうね。

 

でもまあ個人的には、雌の獅子に化身させられた絶世の美女が夜の間だけは人間の姿に戻ることができて、そして偶然出会った王と恋に落ちる♥みたいな物語だったら萌えです。

最近のトレンド(?)として異種族婚系の物語が流行っているけれど、たいていが、ライオンとか悪魔とかそういう獰猛な王様に生贄としてささげられた女の子が恋に落ちて、みたいなお話しじゃないですか。

女性側が獅子、っていうのがちょっと萌え♥♥

 

なんですが、そんな萌え系のお話ではなく・・この斑足太子が恋に落ちた相手が九尾の狐だったからあら大変。

半分ライオンの王子と正体が狐の美女のカップリング、ますます人外魔境です。

今回、九尾の狐が名乗るのは華陽。華陽夫人(かようふじん)の名で斑足太子を誑し込みます。

そして王子が王位に登ると、

ねえ王様、あたくし、千人の首が欲しいの♥

とかなんとか猟奇的なことを言い出し、斑足王は千人狩りをスタート。

千人の頭を集めたら何らかの邪神が復活するのではないかというフラグがたちながら、999人目まで集めたとか集めないとか。

そんなある日、狩りの途中(狩りが好きな親子だな)、斑足王は寝ている狐に矢を当てますが、取り逃がしてしまいます。

そして王宮に帰るとケガをして寝込んでいる華陽夫人。医者に見せると、「これは狐の化けたものに違いない」となり、魔法の杖で叩かれて正体を暴露、そのまま逃げ去っていく・・というお話。

 

歌川国芳の浮世絵。妖怪大戦争ですが、床に横たわってる人が気になって仕方ない・・

 

残された斑足王ですが、それはそれとして首狩りは続けていたのかどうか、1000人目の首となるはずだった普明王という人に諭されて突如開眼、出家する、というオチになっています。

 

っていうか、二つの逸話が入り混じっているから整合性がいまいち取れてないんですけど、この1000人狩りのお話は、弁慶に引き継がれていますよね。

1000人目の首(1000人目の刀)のターゲットである人物(弁慶の場合は牛若丸)に感服して、その願掛けを破って会心する、というのところまで一緒。

忘れがちだけど弁慶ってれっきとしたお坊さんなわけで、つまり仏教界の荒くれ物は1000人目でいい人になる、というスタンダードなのでしょうか。999人の犠牲の上に・・

 

さて今回は逃げ出したままの九尾の狐。

次はどこへ現れることやら?お楽しみに!