イタリア・クエスト2016、その3。

今日も、難易度が高すぎるイタリア旅行についてお話しいたします(笑)

 

それは、到着した日のこと。その日はスイス航空でチューリッヒ、それからフィレンツェまでのフライトでした。
スイスとイタリアは近いので、チューリッヒからフィレンツェまでは一時間くらいかな。あっという間に、なんとなく感覚でわかる、目的地空港にたどり着いた感じがありました。

しかしそこからまさかの、ホバリング(ちょっと違う)。
わたしは酔いやすいので、窓から外は見ないようにしてるんですが、それでもわかる、ずっとその場を旋回してる感じ。20分位やってたと思う。
そして、あ、進みはじめたな、とホッとしたのもつかの間、英語のアナウンス


「この飛行機は諸事情によりフィレンツェ空港に着陸できないため、別の空港に移動します。どこになるかは追ってお知らせします」
って!!!

 

その日はピカピカのお天気、風も吹いてなかった。
フィレンツェに着陸できない意味がわかんない。
しかもわたし、遊びで来ているのではなく、このあとお仕事の会食もあるのです。
しかもどこになるかわかんないとか!そのサプライズいらない!!

とはいえいくら私が歴戦の勇者でも、飛行機の行き先は変えられません。動き出してからモノの10分ほどで着陸。


ここはどこ???状態の乗客(おもにスイス人)たちへ浴びせかけられたアナウンスは
「皆様、ようこそピサへ。良い滞在をお祈りします♥」


って、ちょっと!!
ざわつく機内、苛立つ私。

まだ携帯が開通してない状態で、つまりネットその他に繋げない状態で、いきなり知らない空港に放り出され、しかもあと30分でフィレンツェ中心にあるレストランの会食に出席しないと、そこでもらえるはずの、今日からステイする家の鍵まで受け取れないかもしれない…
流石に、無理ゲーでしょこれ!

 

続く機内アナウンスは
「空港に降りたあとは、到着ロビーにてそのままお待ちください。フィレンツェ空港までの無料バスをご用意します」
というもの。
ああ聞くだに無理っぽい。こんな臨時オペレーション、イタリア人にできるとはとても思えない!

 

でっでもこれはスイス航空のはなしだし、もしかして、もしかしたら…
と、いだいた一縷の希望は、まあ当然、成就することはなく。

飛行機を降り、荷物をピックアップし、そしてピサの小さな小さな空港の玄関口付近に立ち尽くすスイス人たち(と私)。
当然、その後のインフォメーションも特になく、かすかにあったような気がするアナウンスは音響がわるすぎて何言ってるか不明。周りの係員?らしき人に何を聞いても知らぬ存ぜぬ、とにかく待ってろ、といういい加減な指示。まあいつものことだけど。

 

そしてさらに困惑することに、玄関を外に出たところに広がる駐車スペースの、はるか右前方に、
FIRENZE SUTTLE BUS(フィレンツェ シャトルバス)
という表示が。
あれちゃうん?!と、一部のバス難民が色めき立ちます。
あそこまで乗りに行かなきゃならないんじゃない?、と。
しかし、多くの乗客の手には大きな荷物が。もし間違っていた場合、往復は結構きつい。とくに、すでに家を出て20時間くらい一睡もしてない私には相当きつい。
しかし周りには、それについて問い合わせができそうなスタッフの影も形もなし。
最悪のシナリオは、あれは関係ないバスで、そっちの様子を聞きに行っている間に、私たちが乗るべきバスが来てしまい、おいていかれちゃうこと。
 

時間がない。どうする!

 

というわけで勇者ベニカは、25KGのスーツケースと中身パンパンで5KGはありそうな自慢のGUCCIのバンブーを抱えて、遠くのバスの様子を聞きに行くことにしました。
だって時間がないんだもん!会食はともかく、鍵がもらえないと、生死にかかわる。
重たい荷物を引きずっての小走り(気温35度くらい)でぐったりしつつ、そのいわゆるシャトルバスのおっちゃんに話を聞くと、

 

「12ユーロでフィレンツェの駅前まで。ただし、切符はあっちの切符売り場で買ってくること」
「でっでもおっちゃん、飛行機がフィレンツェに降りなかったのが悪いの、私のせいじゃないの!なのにお金払わなきゃダメなの?!」
「それはうちには関係ない。多分無料のバスがフィレンツェ空港まで出るから、待ってればただで行けるけどね」
「た、たぶんって・・っていうかそれはいつ出るの!!!」
うちには関係ないから知らないねー
「・・ま、そうなるわよねー」

 

いや、おっちゃんは悪くないと思うんですけどね。でもね、このトラブル、結構な頻度で起きてるはずなのよ。少なく見積もっても週一、くらいはあると思う。そしたらさ、そういう難民に対するアナウンスって、もっと洗練されててもよくない?! 毎回、この驚き戸惑う外国人たちに「関係ないから知らない」っていうのって、むしろ疲れないかね???

 

しかしまあそんなことを言っててもしょうがない。そのシャトルバスの出発時間は刻一刻と迫っている! しかも切符売り場がまた結構遠い!
もう私は覚悟を決めて、切符売り場を目指しました。
とにかく12ユーロ払えばフィレンツェ行けるんだったら、それでいい!
無料のバスなんていつ来るかわからん!!


というわけで、12ユーロ(1600円くらい)払ってバスに乗った私(と一部のスイス人たち)は、ほどなくピサ空港を出発。
残りの半分は、いまも空港の入り口のところで呆然と立ち尽くしています。


どっちが正解だったのかはこの時点ではわからない。そのあとすぐ無料のバスが来て、わたしは12ユーロ損しただけ、かもしれないなあ、とも思いつつ。

 

 

結論から言うと、バスは順調に高速を走破し、空港よりはずっと街の中心部に近い駅の近くまでダイレクトで運んでくれました。まあこの「駅の近く」ってのが曲者で、ガチで駅の裏側に降ろされたからそこからの歩行距離は半端なかったけどね・・
でも、空港に連れていかれてたら、空港からまた中心部に来るまでにタクシー代とかがかかったはずなので、結果オーライ・・か?
会食には1時間遅れで、スーツケースもってお化粧直しもしないで参加し、周りの男性たちをドン引きさせましたが、まあそれはもういいとしよう。鍵ももらった。

 

 

いや、ちがうのよ、これを要するにね、ピサ空港に想定外に降りた時点で、
「無料のバスは、空港まで皆様を運びますが、少し時間がかかります。
お急ぎの方は、12ユーロの有料にはなりますが、フィレンツェ中央駅までダイレクトで行けるシャトルバスがもうすぐ出発しますので、あそこで切符を買って、乗り込んでください。
無料で空港までの送迎をご希望の方は、この場でしばらくおまちください。
もっと急いでる方は、タクシーで、たぶん30000円くらいかければフィレンツェまで行けます」

と、誰かが教えてくれたら、それですべて解決なわけじゃない?!

このくらいのインフォメーション、難しくないよね?


ピサ空港からフィレンツェ中央駅まで約90分、それなりに時間かかったけど、でも成田だって都心まで出るには相当時間かかるわけだし、12ユーロならそれを考えたら安いし、よーく考えたら大したことないんですよ。
でも、たったそれだけの情報しか必要としていないのに、それすらも知らない旅行者たちに何も教えてくれないから、全員が不安と恐れとパニックで右往左往するわけで。
そりゃそうだよね、見知らぬ異国の空港で何の情報もなくただ待たされたら、「イタリアってどんな地獄?」ってなるよね?

なぜ、イタリア人にはそれができないのかが、わからない・・・

 

わからないけどそれがイタリア、っていうこともはやみんな知っているわけで、わたしからの怒りもまだ新鮮なラインをその晩受け取ったうちの妹は
「で、結局何が原因だったのか教えてもらえないんだね・・さすがイタリアだね・・」
ともはや感心してました。

 

ところで、わたしはフィレンツェでのご飯は結構気に入っています。


とある朝、朝食代わりに世界的デザイナーにごちそうしてもらったのは、生ジュース。スタンドに10種類くらいのカットフルーツが並んでて、それを何種類でも自分好みに指定して、ミキサーで混ぜてもらうの。日本のジューススタンドでは、すでに数種類のミックスが出来上がっていて、その中から選ぶ感じだけど、ここはもう何をどうミックスするかが自分のセンス。
果物が嫌い(というか甘いものが嫌い)な私は、トマト、フェンネル、セロリと生姜で作ってもらいました。いや、美味しかった!
 

 

あともちろん、肉ね。いわゆる、ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ。


日本で食べる肉とやっぱり全然違うんだよなあ・・匂いが。好き嫌いはあると思うけど、なんかもう牛っていうより羊に近いようなにおい。
そして滴る血と、オリーブオイルをソース代わりにする、という・・

肉食人種って、ほんと、違うのよね、感性が。