愛しの太っちょ―ダイヤモンド・ジムの生涯/H.ポール ジェファーズ
¥2,940
Amazon.co.jp

楽園的採点:★★★☆(70点)



わたくしには珍しく、ノンフィクション。評伝、と言うのが正しいのかな。


とても大切なお友達が関わられた御本。



なのに厳しいことを言うのはナンですが、

ちょっと翻訳口調過ぎて、読むのには結構苦労します。
日本語として美しくないわけではないのですが、元の英文が容易に想像がついてしまうような訳し方、というか。

何しろ一ページの文字数がかなり多い単行本で、しかもボリュームが半端じゃないので、気になってしまうのかも。



しかし、内容はすっごく面白いです!!



(アマゾンより転載)

時は19世紀後半、アメリカ資本主義が急速に発展をとげた「金メッキ時代」。好景気の象徴、ロックフェラーやカーネギー、J・P・モルガンが登場するなか、下層階級の人々は貧困にあえぎ、政治経済の腐敗や不正、経済恐慌にも見舞われる。―そこに重なるのは現代社会の姿。有り余るおカネで物質欲と食欲を満たし、「金メッキ時代」を謳歌したダイヤモンド・ジムの豪快かつ、ちょっと切ないその生涯



ということですが、難しい話はほとんどなく、とにかく主人公であるダイヤモンド・ジムの豪快さがてんこ盛り。

19世紀後半のアメリカ、という、わたくしはまったく知らず、興味もなかった時代(でもミュージカル「アニー」とかの時代ですよね?)の世相、風俗がとてもよくわかるつくりでありつつ、


なんといってもダイヤモンド・ジムです。



わたくしはかなり読書をするほうですし、ものを読むことにかけては自信(ってなんの?)があるのですが、

正直言って最初はあまりの長さに唖然とし、

「いったいどれだけこの人物のことを語るつもりなのか?」と不安にもなりましたが、

3分の1を過ぎたころから面白くてたまらなくなります。



なににって、ダイヤモンド・ジムの逸話がどれもこれも、景気がよすぎてスッキリするのですわー。




貧しい移民の子として生まれ、大富豪に成り上がるジムですが、成り上がる前の話なんてほんのちょっぴりしかありません。



この長大な本のほとんどが、ジム(とその周りの人々)の凄すぎる浪費、煌びやかでかなりアホっぽい大富豪たちの豪奢な生活に充てられているわけです

しかも、ドラマチックな小説ではなくあくまでノンフィクション。

途中に大富豪の座から転落して、靴磨きをしながらもう一度天辺を目指す・・的な展開は皆無

ただひたすら浪費を重ね、それを上回る額を稼ぎ、恋愛沙汰ですったもんだありながらも淡々と描かれていくジムの一生。



うわぁ、そんなお金があるんだったらわたくしにくれればいいのに!! 


と何度叫んだことか。



全体的に超ハイテンションな時代のハイテンションな一代記なので、読み終わってみれば、流麗とはいえないそっけない文章が逆に功を奏していたのかも、と。


それに、ジムをはじめとした登場人物の心理描写が殆どないのもすごいことです

これだけ一人の人物の生涯を長く追いながら、そしてそれなりに悲劇的な事件や失恋やら、大成功やら大失敗やら、あるにもかかわらず、そのとき彼がどう思ったか/感じたかについての想像は一切なし。

この辺のドライさが非常にザ・アメリカちっくで、個人的にはツボでした。

思わずそこでお涙頂戴的なことを言ってしまう、求めてしまう日本人には考えられない。

文化の違いってすごいなー。と。


とにかく長いので、気軽に「絶対読みな!」とはいえないのですが、

アメリカ史興味がある方は必読です。

映画というものができる以前の芸能界というか社交界というものの面白さに浸れますわ★