♪ギリシャ女性は貞節であったか? | ◆VISTAの発見◆

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♪いつかはきっと セレンディピティ

「ペネローペ」とはギリシャの詩人ホメロスの叙事詩「オデッセイア」の
主人公「英雄ユリシーズ」の妻の名。

夫が出征している間、言い寄る男たちになびかず、20年間ユリシーズへの
愛を貫いたという。

男たちを傷つけないための“時間稼ぎ”の工夫も、
長いあいだ貞節を守り続けたというその思いも、
女性の純情が、逆に珍しかったと言っている叙事詩なのかもしれない。

日本では「エーゲ海の真珠」としてヒットしたポール・モーリアの曲、
実は原題がこの「ペネローペ」でありました。


●英雄ユリシーズはトロイの木馬の発案者

10年にわたるギリシャとトロイの戦い。
ある日、ギリシャ軍は巨大な木馬をトロイの城外に残したまま退却した。
木馬を見たトロイ軍は、それを神の贈り物と信じ、城内に引きずっていった。
その夜、木馬の中に潜んでいたユリシーズとその部下たちは城門を開け、
退却したかに見えた味方を引き入れトロイ軍を陥落させた。
有名なトロイの木馬はユリシーズの考案であり、彼は英雄となる。

●ペネローペの思いやり

ユリシーズの故郷、イタカ国では、王ユリシーズの帰りを待つ妻ペネロペがいた。
王宮では貴族たちが日夜、ペネロペに再婚を迫るのだった。貞節なペネロペは
そんな男たちに豪華な織物を織り上げたら新しい結婚相手を選ぶと言い、
昼間織った織物を夜になると解いて、ユリシーズの帰りを待ちわびていた。
しかし、ペネロペのほかは誰一人ユリシーズの生還を信じてはいなかった。

●ユリシーズの帰還

紆余曲折あってユリシーズは、再び懐かしいイタカ国の土を踏んだ。
しかし、貴族たちの裏切りを知って、乞食姿に身をやつし、彼らの動静を探る為に
王宮の近辺をさ迷った。貴族たちに復讐しなければならない。

一方、ペネロペの織物の秘密は、侍女メラントの密告で周囲に知れ渡っていた。
押し寄せる求婚者たちの脅迫に抵抗しきれなくなったペネロペは、
王宮に入ってきたユリシーズの戦友と称する不思議な乞食の提案に従い、
弓技の勝利者と結婚すると宣言した。
それは、かってユリシーズの引いた強弓による競技である。

つわ者たちがその弓を引こうと挑戦するがことごとく失敗した。一番強引に
ペネロペに結婚を迫っていた貴族の長、アンティノオにもその弓は引けなかった。
その時、例の乞食が現れ、試射を願いでた。貴族たちは嘲笑したが、
ペネロペはそれを許した。
人々が見守る中、乞食は軽々と矢をつがえるとひゅっと射たのだ。
あっけにとられる貴族たちを尻目に乞食が走る。身にまとったボロを脱ぎ捨てると、
それは王ユリシーズの姿であった。ペネロペの顔が喜びに輝く。