
項羽と劉邦の最後の決戦「垓下の戦い」で、敵の戦意を喪失させた「楚歌」とはどんな旋律であったのでしょうか。
司馬遼太郎著の表現によれば、「楚の音律は悲しく、ときにむせぶようであり、ときに怨(えん)ずるようで」あったという。
西楚の項羽軍は空腹と疲労のところに故郷の歌を四面からから聴かされ、降伏するものは無事に故郷に帰ってよいと誘われれば、投降もしよう。
「心を攻むるをもって上となす。武力によるは下なり」
楚歌戦術を考えたのが張良か韓信か他の人かは不明のようだけれど、
「耳が心に直結している」ことを発見したのですね。
項羽も最後を悟って吟じます。
「力は山を抜き、気は世を蓋(おほ)ふ
時に利あらずして
騅(すい)逝(い)かず
騅逝かざるを奈何(いかん)すべき
虞(ぐ)や虞や 若(なんじ)を奈何せん」
時に利あらずして
騅(すい)逝(い)かず
騅逝かざるを奈何(いかん)すべき
虞(ぐ)や虞や 若(なんじ)を奈何せん」