そんな僕にも友達が出来た


彼は僕に無いものを全て持っていて


そして僕の味方だった


僕は彼に憧れて、
彼がする事も、言う事も、全てが僕の理想だった。


彼の存在は僕を導いて、
僕は更に他者との関わりを断っていった。


多少常軌を逸していたが、それすら格好良さに見えた。


彼と関わる内に、僕も強くなれた気がしていたんだ。





『俺はお前の味方だ』


彼は常に僕の背中を押した。



厳しくも優しく、決して僕を否定しなかった。



しかし、歳を重ねる毎に彼の異常さは度を越していき、
いつしか僕の制止も聞き入れなくなってしまった…


謝る相手を殴り続けたり、
笑いながら他者を蹴り飛ばし、
酷い時はガラスに頭から突っ込ませ
そのまま放置した…


僕は彼が恐くなっていた…


止まらないし、止められない…


彼はキレると手当たり次第に物を壊した。


彼のおかげで、僕の部屋の壁は穴だらけで、
タンスも机もボロボロだった…



そして彼は僕自身すら傷つけ始めてしまった…


もうすでに止める事は出来ず、
僕はただただ何も出来ずにいた。


僕は…










とても無力だった…
ある日、親父も居なくなった。


警察から逃げていたらしい。

そして捕まって刑務所入り…


僕ら弟妹は親戚に預けられ
その生活の中で、僕の心は次第に死んで行った。


心を閉ざし、
人間を嫌っていった。


そして自分の中の自分としか対話しなくなっていた…



僕の姉は無邪気で天真爛漫な子供だった。


今では笑い話だが、
僕は殆ど喋らず、毎日机の下に隠れている変わった子供だったらしい。


周りの大人達はそんな僕を気に掛けてくれていたらしいが、
僕は自分との対話が忙しかった(笑)



両親の離婚



姉は父親を選び


まだ小さかった僕は母親を選んだ


母親が好きだったらしい



いつも母親にベッタリで、泣き虫で、母親から離れなかったらしい。



そんな僕の最後の記憶


母の言葉


母の手の温もり


母の後ろ姿


遮断機の音


近づいてくる電車





今となっては事実は解らないが、
母は僕を棄てた…



僕の中で変えようのない事実


僕は今でも電車が嫌いだ

乗る事が出来ないんだよ…


吐き気がする


幼い記憶が僕を支配する


トラウマってやつだ。




線路で保護された僕は父親に引き取られた。


しかし、僕の心は既に死んでいた


母が居ない


広い世界に1人だけだと感じた




僕は要らない子供なんだ。


僕はそう思っていた。