初心者が行く!印旛新川ベイトでオカッパリ -2ページ目

初心者が行く!印旛新川ベイトでオカッパリ

バス釣りド初心者の中年バサーがベイトオンリーで印旛新川に挑みます。

ということで三島ダムです。

僕のブログを昔から読んでいただいている方がいらっしゃれば、

たびたび「フローターダム」という記事が登場していることをご記憶の方もいらっしゃるかもしれませんが、

実はそれがここ、三島ダムのことになります。


なぜ今まではぼやかした書き方をしていたかということなのですが、理由が2つありまして、

それは自分で見つけたのではなく友人から教えてもらった場所だということが理由の一つ、

そしてもう一つの理由は、この場所はバス釣り禁止ではないものの、あまりバス釣りが歓迎される場所ではなかった、ということだったのでした。


三島ダムにはレンタルボート屋さんがいくつかありますが、貸出はヘラ釣りのみに限られていて、バス釣りには解放されていません。

そしてその理由は、昔あったヘラ師とバサーとの間のトラブルが原因だということだそうなのです。


聞いた話によると、その昔はバサーにもレンタルボートを貸し出していたそうなのですが、

ヘラ師に向かってルアーを投げつける輩がいたりだとか、

あるいは、三島ダムはヘラやワカサギ釣りのためにボートを固定するロープが張り巡らされているのですが、

それが邪魔だからと、勝手に切断するようなとんでもない輩もいたそうです。


そういったトラブルが積み重なって、ついにレンタルボート屋さんはバス釣りへのボート貸出しをやめました。

しかし釣り自体が禁止というわけではないので、例えば無料駐車場に車を停めてフローターやマイボートでエントリーするバサーまで締め出すことはできずに、

いわば三島ダムにおいて、バス釣りは黙認状態にありました。


この経緯は又聞きですので、ひょっとしたらところどころ間違っているところもあるのかもしれませんが、

いずれにしても三島ダムではバサーはあまり歓迎される存在ではなかったということは事実です。



…ところが、2017年に入ってその状況に変化がありました。

三島ダムの各レンタルボート屋さんは、バサーへのボート貸出しまでは行わないものの、バサーに対して有償で駐車場とスロープの提供を始めたというものです。


これはいわば、三島ダムのレンタルボート屋さん、またはヘラ師のみなさんが三島ダムにおいてバス釣りを公認するという宣言だと考えます。


このタイミングでなぜその判断に至ったのか、それは色々な方が色々な意見をお持ちだと思いますし、僕も想像することしかできませんが、

しかし個人的には、これはバス釣りに対して非常に大きな歩み寄りだと感じます。


無料駐車場に車を停めて車上荒らしに遭遇するリスク、

あるいは、整備されていない護岸から無理にエントリーしなければならないリスク、

そういったリスクを犯す必要なく、今後は安心安全に釣りを行うことができるというのですから、

今回の配慮には素直に感謝して、マイボートやフローターをお持ちの方は、今後はぜひボート屋さんを活用していただきたいと思います。


そのためには、今度はバサー側からの歩み寄り、それはヘラ釣りの邪魔にならない釣り方を意識することだったり、あるいはゴミを出さない、物を傷つけないといった基本的なマナーに関わることもあるでしょう。

そういったバサーからの歩み寄りが必要だと考えています。




そんなわけですので、バス釣り公認となった三島ダム、今後は僕も釣行記は「三島ダム釣行」とタイトルもあらためさせていただいて、

この房総の隠れた名所を、微力ながら盛り上げていければと、そんなことを考えている僕だったのでした。





…ということで、妙に真面目くさった前置きになってしまいましたが、

今回の三島ダム釣行は実は2年越しくらいの約束なのでして、

元はと言えば、釣り友達の「けんけん」さんがフローターを手に入れたのでご一緒しましょう、という約束がことの始まりだったのでした。


去年の釣行では残念ながら不参加となってしまいましたが、今年に入ってようやくその約束を果たすことができそうな僕です。

けんけんさんと親しい、ぺりきんさんとタクさんを加えて、今回は4人で釣行しましょうということになっていたのでした。



僕にとっても一年ぶりの三島釣行、楽しみにその日がくることを待っていたわけだったのですが、

何しろ今年の僕は去年までとは一味ちがいます。


とっておきの秘策、秘密兵器を準備していた僕だったのでした。

それが、これです。


















球です。この球は一体なんでしょうか。

ピンときた方もいらっしゃるでしょうが、そうです、

実はこれは「魚探」でして、これ自体が振動子の役割を果たしていて、スマホと連動して水中の状況を把握できるというスグレモノなのです!


三島ダムのような大場所で、水深や水温、地形の状況などを知りたいと思っても、

普通のボートに積むような魚探をフローターに積むには敷居が高すぎる、

そう嘆いていた全国1000万人のフローテスト達が待ち望んでいた、言わば救世主、垂涎の一品とも呼べるものだったのでした。



通常の魚探で非常にコストがかかっている、液晶画面の部分をバッサリと取り除いてしまえることで、

安価に、高性能で、コンパクトな魚探が誰でも手に入れられるというわけなのです。

スマホというIT革命の麒麟児は、ついに釣り業界までその影響を及ぼしてきました。

文明社会に万歳三唱!






…ということで、今回の釣行ではこのスマホ魚探の性能を確認するということが僕の大きなテーマになっていたのでした。


ちなみに、スマホ魚探はいくつかの製品があるようなのですが、

僕は「Deeper Pro」というものを購入しました。


100均で売っているこういったこれを、







こんな風にこうして、









あとは反対側をフローターのD環に取り付ければ、フローター魚探の完成というわけです。





釣行が前日に迫った9月9日、念入りに準備を済ませて、さて今日は早く寝て明日に備えようかというところ、




―ピロリン!







…お、けんけんさんからLINEが。

明日はヨロピクですとかそういったご挨拶かしら。

わざわざ丁寧な人だなぁ、いえいえ、こちらこそ明日はヨロピクお願い…







けんけん「フローターがエア漏れしてます…」
















…は?






けんけん「ボンドで直してみたんですけど剥がれてきちゃって」


…いやいやいや。

いやいやいやいや。


フローター釣行にフローターが無いってそれもう一番ダメなやつですから。

ノーフローター釣行ですから。

それ要するにオカッパリですから。




けんけん「誰かフローター2個持ってませんか?」


…そんな奇特な人はまずいないし、いかん、このままの流れでは、

明日はどこか別の房総ダムでオカッパリにしましょうかの流れになってしまうではないか。

そんなことにでもなれば僕の秘密兵器も火を噴くことなく今年は終了になってしまうかもしれない。



―フローター持ちの友人に何人かあたってみますから、ちょっと待って下さい!






…こんなトラブルごときで僕の魚探テストの邪魔をされてたまるか!







…という、非常に個人的で不純な動機でも、このときの僕にとっては釣り自体よりも「明日はフロータ―を出してスマホ魚探を使う」ことが最優先になっていたのでして、

心当たりの釣り友達に手当たり次第に連絡をとった結果、友人のかいてんさんが快く貸し出してくれることになり、

どうにかこうにか、予定通りフローター釣行に臨めることになったのでした。


…やれやれ、始まる前からひと波乱あったけど、どうやらこれで無事に目的を達成できそうだわい。


安心した僕は、早めに就寝して万全の体調で明日を迎えることにしたのでした。






予定通りの時間にタクさんと合流した僕は、一路、君津方面へ車を走らせます。

車内ではバサー同士の釣り談義が続いていますが、やがて話題は今年の異常な天候について及んでいきます。


以前にも書いたような気がしますが、日本の8月というのは本来めったに雨が降らない月です。

たしか、例年の降水日数を平均すると3日程度しか雨が降らないはずの8月が、今年はなんと27日も降りました。

日照時間は、例年の半分だそうです。


これはどう考えても異常で、これじゃバス釣りもたまったもんじゃないとか、

海でも潮の流れがいつもと違うとかなんとか、

広島が強いとかロッテが弱いとか色々な影響に話題が向かってしまいますが、

しかし、ここ数年で本当に日本の気候が変わってきているような気がします。

これが何かの前兆でなければよいのですが…。



そんなこんなで君津のコンビニでけんけんさんとぺりきんさんに合流します。

―お久しぶりです。ご無沙汰でした。

けんけん「お疲れ様です。フローターのことはすいませんでした」

―いやいや、出発前に気づいてよかったですよ。事前にチェックしてもらってファインプレーでした。


ぺりきん「俺も1年ぶり以上だからなー」

タク「そうですよね、僕も心配だったんで膨らませて確認しましたよ」

―大場所で浮くのは怖いですからね…。



まぁでもよかったよかった。

では、僕が先導しますから、着いてきてください。


…そうして、3台の車が向かうのは今年からバサーにも駐車場とスロープを解禁した「房総ロッヂ」です。

到着して車を停め、おそるおそる受付の扉を引いてご挨拶します。


―おはようございます。僕らブラックバスなんですが…。

受付「おはようございます。マイボート?」

―いや、フローターですが…。

受付「フローターね、じゃあ、駐車場代1000円と、5時半になったらチャイムが鳴るから、そしたらヘラのボートが先に出ますからね、その後で入ってもらっていいですか」

―はい、わかりました。

受付「まだブラックを良く思ってないジイサンとかいるからね、お互いトラブルが無いようにご協力お願いしますね」

―あ、はい…。じゃ、よろしくお願いします…。





…。

そうなのか…。

やっぱり、そうだろうなぁとは思っていたけど、バサーにボート屋を解放することに不満のあるヘラ師の方もいるんだなぁ。

それはそれでしょうがない話だし、極力、迷惑にならないようにヘラのボートの周りには近寄らないようにしよう…。




さて、それはともかくとして、無事に受付も済んだことだし、ちゃちゃっと準備をしてしまおう!


―お、けんけんさんのウェーダー、ド新品ですね。

あ、これ、かいてんさんから借りてきたフローターです。

ゼファーですよー、高級品ですよー。

膨らませ方とか、大丈夫ですか?

大場所ですからオールは絶対付けていった方がいいですよ。

最近のフローターは気温が上がってもバーストするとか無いですから、空気はパンパンに入れちゃって大丈夫です。


お、チャイムが鳴った!皆さん準備できました?では、出航!





…けんけんさんも無事にエントリーして、なんだか動きが若干ぎこちないけれども、どうやら移動は問題なさそうだ。

おっと、忘れていた、危ない危ない。スマホ魚探をセットして…。







…おお、すごいぞ。水底の変化も水中を泳ぐお魚さんの姿もバッチリと映し出されているではないか。


今いる地点で水深は約10m、水温は24度か。

他の3人はエントリーしてから右方向へ向かっているようだけど…。


僕はどちらかというと左方向が実績が高いんだよなぁ。




…。




ひとまず、ヘラ師の船団を大回りに回避しつつ左方向へ向かってみます。

このあたりは過去に何回か40アップもキャッチした実績あるポイント。

水中は濁っていて見通せませんが、岸際に立ち木が沈んでいることは分かっています。


バスはだいたいその立ち木の中に潜んでいて、直リグをポチャンと落として枝に引っ掛け引っ掛けしながら誘っていくと、

不意にドカンと…、








こない。




あら?だいたいこのフィールドに来たときには朝イチこのパターンで鉄板だったんだけれども…。


…おかしいな、ということで、その後もしつこく直リグで水中の立ち木を攻めていきます。

コツコツとした感触があるから、ちゃんと立ち木が存在しているのは間違いないんだけど…。








…ココン







ん?




コン、ココン








…きた。



ラインスラック巻き取って…、












…セイヤ!





ゴン!












乗った!


立ち木に巻かれないように速やかに引きずり出して…!


































…ちっさ!



あれ??

「水中の立ち木を直リグでコツコツ釣法」で過去にこんなサイズが釣れたことがあっただろうか。

うーん…?





…なにかおかしい、かも。

釣れ方に非常に違和感を覚えます。

小さいのと大きいのがいて、小さいのが先に喰ってきたんだろうか。

…試しにワームを大きくしてみようか?


でもなぁ、今まで結構丁寧に撃ってきてるし、そもそも立ち木に付いているバスが少ないってことじゃないだろうか。




…一応、ワームをスタッガーの4インチワイドに変更して撃ち続けていきます。


しかし反応は全くない。


―うーん、これはやっぱり立ち木には付いてないな。



困った、正直なところどうせ立ち木だと思って他にやることを考えてなかった。


いきなり出鼻をくじかれて途方に暮れた僕は、仕方なく立ち木エリアを見切って先に進みます。

日の当たる、なだらかに落ち込んだシャローエリア。

岸際に近いあたりはバスを目視できません。



…どこかのタナにバスが付いてないかな?


ここで再びスマホ魚探の登場です。

非常にお手軽ですが、しかし常に魚探をかけっぱなしにしていてはスマホのバッテリーがいくつあっても足りません。

使いたい時だけいちいちスマホを取り出して表示しなければならないというのが若干不便ではありますが、

しかし、それでも知りたい場所の情報が簡単に得られるというのは大きい。




…フムフム、水温は26度で4mから5mのカケアガリにぽつぽつとお魚さんマークが見える。





でもこれ、バスなんだろうか。

コイとかヘラとかの可能性もあるしなぁ…。


…しかし、他に特にやるべきことも思いつかない僕はキャロライナリグを用意します。

狙うべきは、シャローから落ち込んだ水深4mライン。

魚探で見た限りでは特に沈みモノもない、なだらかなカケアガリ。

水底の傾斜に沿って、ズリズリと引っ張ってみます。





…。





反応なし。

やはりバスではなかったのか。

あるいは魚影が薄すぎて、食い気のある魚がほとんどいないのか…。



そのまま岸に沿って進んでいくと、木々に覆われたワンドに到着しました。

鬱蒼とした林が濃いシェードを形成していて、いかにも水温が低そうなエリア。


…ひとまず目についた岩の出っ張りにキャロをそのまま投げてみます。

すると、






ゴツッ!!












…え、喰った?



思うが早いかギュンとしなるロッド!







…デカイ!!










油断していた僕は、慌てて体勢を整えて本格的な魚とのやり取りに入ります。

しかし、ゴリ巻こうにもキャロをセットしたロッドは今日持参した中でも一番弱いロッドで、

巻いているラインも一番細い10ポンドです。



―あんまり無理せず、落ち着いてゆっくり取り込んだほうが良い。

そんな僕の思いを読み取ったのか、右に左に縦横無尽に走り回るバス。

僕はロッドを左右に振りながらそれをいなしていきます。





…ギュギュン!!



…重い!





やばい、これデカイぞ、45クラスか、もうちょいあるか?

でも、このままゆっくり耐えていればいずれはバスの方が疲れて寄ってくるはず、

焦る必要は全く…、








…ゴリリッ!



ラインを通して伝わる嫌な感触。


これは…!





…嘘でしょ、巻かれた!?






…どうやら、やり取りしている最中は気が付きませんでしたが、足元に大木が沈み込んでいたようです。




―冗談じゃない、間違いなく今年一番の大物だというのに、なんでこんなときに限ってこんなことが…!

























…ブヅッ!!




























…。



…くああ…、切られた。



がっくりと肩を落とす僕。





魚を掛けたのは張り出した岩の出っ張り、

縦の釣りになると思えば、面倒でもさっきまで使っていた直リグタックルに持ち替えて投げるべきだった。

そうすればラインは14ポンド、ロッドもパワーがあるし、こんなことにはならなかったかもしれない。



…僕の生来の面倒くさがりっぷりが、こんなところで遺憾なく発揮された結果がこれです。





―しかし、デカかったな…。

…時間はまだまだ残ってるし、これで終わりじゃない。

無理やり気を取り直すと、さっきのデカブツを掛けた岩の周辺を撃ってみます。




…。









反応なし。そりゃそうか…。



ふと視線を上げるとタクさんの姿が見えます。

―あ、タクさん!どうですか?

タク「いや、まだ一本ですよ」

―僕も一本です。

ていうかそこでデカイやつにライン切られちゃいまして。

もうむちゃくちゃショックです。


タク「え、ラインブレイクですか」

―まだいるかもしれませんし、タクさんもやってみたらどうですか?




…僕では2匹めのドジョウを引っ張り出すことはできませんでしたが、シェードが濃く重なったここが良いポイントなのは間違いない。

アプローチが違うタクさんならひょっとしたら本当にここで釣れるかもしれない。


割りと本気でそう思いながらタクさんに場所を譲り、僕はエントリーポイント方面に引き返します。




―朝日が昇ってシェードが作られるようになってきたし、バスの動きも変わったかもしれない。

さきほど切られたキャロライナを結び直しながら引き返した先に、なにやら見覚えのあるシルエットが浮かんでいます。


―あ、たぶん、あれけんけんさんだ。


近寄って状況を聞いてみようか、そう思った途端、

ギュン!と弧を描くけんけんさんのロッド!


―あ、掛けた!?

あのけんけんさんが相当テンパりながら魚とやり取りしている様子が窺えます。



…あれ、デカイんじゃないか?

―あ、ネットを手に取った、ランディングか?






けんけん「ウアアアアアアアア%$○+*△&!!!!!!!」













―え!?なになに、どうした?

バラした?バラしたのか??

特に手にバスを持ってる様子もないし、ありゃバラしたな。


…ああ、けんけんさんもバラしちゃったのか。デカそうだったし、同じ思いをした者として、これは近くに寄って慰めねばなるまい。

そんな、何故か上から目線の思いに従ってけんけんさんの近くに寄っていきます。


―けんけんさん!バラしちゃいましたか!

けんけん「あれ!?ビジ夫さん?見てたの?」

―見てましたよー。デカかったですか。

けんけん「デカイ!ヤバイよ!」

―そうですか、残念でしたね。まぁでもそういうこともありますよ。

けんけん「いや、うん、え?いやー、引いたし、良かったよ」


―え?

けんけん「え?」




…何やら微妙に会話が噛み合っていません。



―バラしたんですよね?

けんけん「あ、そゆこと?いや、ネットの中に入ってるのよ、ほら」



…そうして無造作にけんけんさんがネットの中に手を入れると、そこから取り出されたのは…、















―デカッ!!


50cmはあろうかというデカバス。

いかにも健康そうで、ムキムキとしたビッグバスがそこにいたのでした。



―うわ、それ…、ていうかけんけんさん、メジャートレイ持ってきてるんですか?

けんけん「無いんだよ。だからネットに入れて水に付けながらボート屋まで持ち帰ろうとしたんだけど」

―そういうことだったんですか。じゃあ、はい、僕の使ってください。

けんけん「ありがと!…ん?あれ?ヨンパチだわ、絶対50あると思ったんだけど」


―あれ、見た感じ僕も50あるかなと思いました。

けんけん「体高があるからかな。めちゃくちゃ引いたしね」


―でしょう?三島のバスは他のどのフィールドのバスより引く、って、それ一番言われていることですから。僕の中で。

けんけん「朝イチにシャローでも一本釣ったんだけど、言われてみればそれもいいコンディションだったな」


―でしょう、ポテンシャルはあるんですよ、ここは。…ちなみに、どのへんで掛けたんですか?

けんけん「あそこ、木が一本出てるところだよ」

…なるほど。




…ビジ夫さんもがんばってね、とけんけんさんは先へ進んでいきましたが、僕はそのデカバスが付いていたという周辺を調べてみることにします。

「木が一本出てるところ」の周辺を魚探を使って調べてみますが、思っていたよりも水深がある。


だいたい7~8mというところでしょうか。

…たまたま表層にデカバスが一匹浮いていたということなんだろうか。



何かデカバスがいた理由があるのではと、さらにその周辺をしつこく調べてみますが、





…ん?















―な、なんじゃこの魚影は?水草らしきものの上に魚群が溜まってる!

…これは、バス?

それともヘラの群れか何かが偶然通り過ぎただけか?



しかし魚群を見つけてしまった以上は撃たないわけにはいきません。

魚探をかけた場所から距離をとって、だいたいあのへんだろうというところに向かってキャロライナを投げてみます。


水上からは何も目標のようなものは見当たらない、ただのオープンなエリアです。

5gのシンカーが底をとるのを待ち、そこからゆっくりと引いていきます。



…ズリッ、ズリッ、…













…うーん、反応、なしか?









…まぁでも、魚探ド素人の僕がたまたま見つけた魚群にリグを投げてみたら釣れちゃいましたなんて話のほうができすぎ…、






…モゾッ






…あれ?この感触は?

ひとまず一呼吸おいて、











…からのガツンとフッキング!


















…ゴン!!




乗った!ウソ!やっぱりさっきの魚群はバスだったのか!

いや、ひょっとしたらあれはベイトの群れで、たまたまその近くにいたバスなのかもしれない。



―ていうかそんなことを考えている場合じゃない、こいつも結構引くぞ!



元気いっぱいのバスはロッドを限界までしならせ、ラインがキュンキュンと糸鳴りを起こしています。

このあたりの水底は、魚探で調べた限りでは何も障害物になるようなものはなかったはず。


…ということで今度こそ丁寧に、ゆっくりと…、














ゲット!



ギリギリ40ちょうどか、いやー引いたな、やっぱりここのバスは引く。

たぶん、さっきラインを切ったバスの方が大きかったんだろうけど、ともかくも40アップが釣れてよかった。





…言ってしまえばけんけんさんのハイエナをして釣ったバスなわけですが、

自分が初めて魚探を駆使して釣れたバスということで、満足感はひとしおです。


先程までの落胆が嘘のようにゴキゲンになった僕は、テンション高くエントリーポイント近くまで引き返してみることにしたのでした。
















…さて、エントリーポイント近くまで戻ってきた僕ですが、ボート屋さんの向かい側、まっすぐいった方面にも行ける筋があり、

そっちに行ってみようかと思い立ちますが、しかし筋をひと目見てアッサリと諦めます。




ズラッと並んだヘラ師のボートが、筋の片側を埋め尽くしていたのでした。









―うーむ、ボートがいる反対側の岸をギリギリ通っていけば迷惑にはならないかな?

…いやいや、今日はいつも以上に迷惑をかけないようにしようと決めたしなぁ…。




しょうがない、引き返して立ち木が沈んでいるあたりでもやってみようか…。








ヘラ師「おおーぅい!!兄ちゃんよう!!」
















…ビクゥ!!


ーえ、僕?僕ですか?




…突然ヘラ師から呼びかけられて、何か粗相でもしたかと身構える僕。




―は、はい?なんでしょう??



ヘラ師「あっちの方によう、ウキが浮いてんだよ。悪いんだけどあれ取ってくんねーかな!」








…え、ウキ?


ヘラ師「ウキごと持ってかれちまってよう!!」







…ああ、そういうことですか。


たぶん、大きいのを掛けて仕掛けごとバラしてしまったということなんでしょう。


―いいですよ!そっちの方ですか!?


ヘラ師「おう、そっちの、ちょうど兄ちゃんの背中の方!」

別のヘラ師「そのまままっすぐ!もうちょい行って!」

さらに別のヘラ師「ちょい右ー!」






…なんだか子供の頃に海水浴でやったスイカ割りを思い出します。





ヘラ師「そのへんそのへん!ちょい戻って右!」


―え、この辺ですか!?


ヘラ師「おう、そこに浮いてんの見えるだろー!?ちょい右だって右!」






…右って言われても、別にウキらしきものは無いし、どれのことを言って…、


…あれ?これはもしや、まさか…。これのことを言っているのか?










―…すいませーん、これ、カナブンですけど(笑)


水面に落ちてピクピクと溺れていたカナブンを救出して掲げる僕。

すると一瞬の静寂の後、








大爆笑に包まれる川筋。










ヘラ師「おーい、カナブンだってよ!マサさんよ!」

マサさん「わりい、兄ちゃん!てっきり持ってかれちまったウキだと思ってよ!」

ヘラ師「そんな、オメー、とっくにどっかいっちまってるよ!いつまでもそのへんで浮いてるわけねーべが!!」

別のヘラ師「わりーなー!兄ちゃん!ありがとな!」

マサさん「兄ちゃん、ありがとな!」


―いやいや、全然だいじょうぶです(笑)




…じゃ、前失礼しまーす、とドサクサに紛れて筋を通り抜ける僕。









…なんだ、みんなすごくフレンドリーで良い人達ばっかりじゃないか。

ボート屋をバサーに解放したことを快く思っていないヘラ師がいるという話はなんだったのか。


しかし、ボートからカナブン(笑)まで結構な距離があったけど、あの距離でピクピクしてるカナブンをウキと見間違うとは。

たぶん70代くらいだろう、マサさん。凄い視力だな。




…妙なところに感心しつつ、どこか今日の心の重しが一つ外れたような、そんな気がした僕だったのでした。











…期待した筋の先では反応ひとつなく、再びヘラの船団前を「どうですかー?釣れました?」なんて話かけながらボート屋付近まで戻ってきた僕です。

考えてみれば、40を釣ってからここまでアタリ一つもらえていません。


セオリーの立ち木はダメ、岩盤もダメ、トップにも巻きにも反応はなかった。


…こりゃ、相当渋い日に来てしまったな…。





―あ、けんけんさん!どうですか?

けんけん「ビジ夫さんもこっち戻ってきてたんだ。いやもう全然ダメ。ヨンパチ釣ってからアタリ一つないよ」

―やっぱりですか。僕もそんな感じです。

けんけん「しんどいねー」

―周りも釣ってる人見ないですしね…。






…そう。

ボート屋がバサーにも解放された影響なのか、今日の三島ダムは僕の過去の経験上、一番バサーで賑わっています。


…ところが釣っている人を全く見ない。

ふつう、これだけバサー密度が高ければ、どこかで釣っているところに遭遇するはずだと思うのですが…。


ここまで、ところどころで魚探をかけてきましたが、魚群のようなものは映らず、時折水底の方でポツンポツンと魚の影が映るのみです。


…ベタ底で、スローな感じなのかなぁ。

40を釣った時のことを思い起こして、キャロライナのタックルを手に取ります。



目についた竹のレイダウンに向けてキャスト。

竹に引っかかり引っかかりしながら落ちていくリグを辛抱強く待ちます。


そして完全に底をとったことを確認してから、ゆっくりと引いていきます。






…ズリッ、ズリッ。














…ココン








…む?



今のは…?







聞きアワセをしてみると確かな魚の反応!


そのまま水面まで一気に持ち上げてきます!







…バショッ!


水面を踊る30cm程度の魚体。

これなら難なく取り込めそうです。




手元まで寄せてきて…ハンドランディングでアゴをつかm








バシャア!!!








…ああああああああああああああああああああああ!!!!!








アゴを掴む直前で暴れたバスはそのまま水中へ。





―クッソオオオオ…。久々のバスだったのに。







…しかし正解はわかりました。

分かっていたことではありますが、やっぱり、今日は魚の活性がよろしくないようです。


ベタ底まで沈めて、ひたすらスローに攻めると今のように喰ってくる魚がいるのでしょう。




もう一度レイダウンに向けてキャスト。

竹に絡めながら沈めて、底をとったらゆっくりと…、











…ゴン!



また喰った!?

オリャア!…あ、れ?竹に巻かれて…、
















…。







クッソオオオオオオオ!!!!






…その後、何度も何度も同じレイダウンを攻めるも反応は全く無くなり、

気がつけば撤収予定時刻の14時。

締まらない感じで、納竿となったのでした。





2017/9/10(日)

弱風→中風
気温:22→30度
水温:22→26度
アタリ:5
バラシ:3
ゲット:2



 
…けんけんさん、タクさん、ぺりきんさんと合流してボート屋さんに戻ります。

そういえば、エントリーしてから一度もぺりきんさんに出会わなかったな。

どこで何をしていたんだろう。



タク「ビジ夫さん、ぺりきんさんに一言いってあげてくださいよ」

―え、なにをですか。

タク「デコったらしいです」


ーえー!






…まぁ、たしかに今日の状況はぺりきんさんの釣りのスタイルとは合ってない感じしましたよね。

こればっかりはしょうがない。


―ぺりきんさん、今日はトップウォーターで通したんですか?

ぺりきん「え?」


―いや、今日はトップウォーターで通したんですか?



ぺりきん「え?」




―いや、なので今日は…、








ぺりきん「え?」




















…。




…どうやら、触れることはタブーらしいのでそのまま黙って駐車場に戻って後片付けをして、

いつの日か、また再戦を約束して帰路についたのでした。






ということで、今日はけんけんさんとの長年に渡る約束を無事に果たすことができて一安心、

ついでに初めてのフロ釣行にしては贅沢すぎる一本も釣ってもらってそれ自体は大満足だったのですが、

全体としては非常に渋い、厳しい状況だったと思います。


しかし、高いポテンシャルの一端は感じられる釣果でしたから、季節がもう少し進めば状況も変わるのでは?ということを皆さん口を揃えて言っていました。



また、今回、満を持して繰り出したスマホ魚探なのですが、

もともと僕は普通の魚探をまともに使えないので、比較してどうこうという書き方ができずに申し訳ないのですが、

性能としてはまずまず、満足しています。


もともと地形と水深と水温が分かればいい、くらいの期待感で購入したものですから、

本来の「魚探」としての使い方で魚が釣れるとは思ってもみませんでした。



ただ、あえて言うならばやはりバッテリーの問題がどうしてもつきまとってくると感じました。

バッテリーは魚探自体のバッテリーと画面を表示するスマホのバッテリーの2つを意識する必要があるわけですが、

魚探の方は、午前6時前くらいに使い始めて電源を入れっぱなしの状態で午後2時まで使い続け、

残量は20%ちょっとになっていました。


これではおそらく、途中で充電を挟むか、細かく電源を入れたり切ったり(といっても水から引き上げるだけではあるのですが)ということをしなければ夕方まではもたなかったと感じます。



またスマホの方は見たい時だけ表示するという使い方をしていたおかげか、50%以上はゆうに残った状態ではありましたが、

とにかくその「見たいときだけ表示する」というのが面倒くさい。


いちいちスマホを取り出し、ロックを解除し、アプリを立ち上げ…、というのを繰り返さなければなりません。

フローターにスタンドを取り付け、スマホを固定して表示しっぱなしにしてしまうのもアリでしょうが、しかしそれをやると今度はスマホのバッテリーがもたないでしょう。

その場合はモバイルバッテリーの持参が必須になると思われます。



普通の魚探に比べて圧倒的に価格が安く、運用も非常にお手軽で、性能も充分に満足いくものですが、

バッテリー問題をどうにか考えなければならない、これが今のスマホ魚探の立ち位置だと思います。




さて、今週末は大型の台風がくるようですが、その後は本格的な秋に突入していくのでしょう。

秋が来ればすぐに冬がくる、

冬が大嫌いな僕としては、今からそのことを考えると憂鬱になる、9月上旬のお話だったのでした。
 

―群馬県に、誰も知らない日本で最後の秘境ダムがあるらしい。







…そんな藤岡弘のようなことを言い出したのは釣り友達のWestさんです。





West「行ってみませんか」

―Westさんに秘境と言われてもなぁ。ていうか群馬って。遠い。

West「僕の嫁さんの友達の旦那さんに聞いたんですけどね」

―関わり薄!信頼できる情報なんですか。

West「警察官なんで。大丈夫じゃないですかね」



…本当かなぁ。

日本のバス釣りの歴史は本場に比べて浅いとはいえ、すでに40年近くを数えるとも聞きます。

そんな日本で、いまさら未開の秘境なんてものがあるものでしょうか。



―フローターとか出せるんですか?



West「ボート屋さんがあります」


―いやそれ全然未開じゃないじゃないですか。





West「お客さんの大半はトラウトなんですよ。バスは少ないらしくて」






…なるほど。

トラウト釣りの名所にバスが同居しているような場所なのか。

それなら案外盲点ということもありえるのかもしれない。



West「もう、釣れる気しかしませんわ」





…Westさんに言われてもなぁ。



というのは声には出さずに、どうしたものかと考えた僕だったのでしたが、

結局は「未知のフィールド」というものに対する興味の方が勝った僕は、その申し出を受けることにしたのでした。




―じゃあ、行くのは6月24日ということで。





…しかし、群馬か。群馬に行くということは、間違いなく丸一日車を占有してしまうことになる。



僕が車を出すと決まったわけではないですが、念のためその日に車が使えるかどうかを嫁さんに確認してみます。




嫁「特に用事はないからいいよ」


―お、そうかい?じゃあ悪いけど一日使わせてもらうかもしれない。


嫁「どこ行くの?」

―群馬だってさ。


嫁「群馬!?なんでわざわざ?」

―なんか未開のダムがあるらしい。わかんないけどね。


嫁「群馬かー。若いころあたしも行ったわ。〇〇ってとこなんだけど、全然釣れなかったね」

―そうなの?へー。まぁ、群馬ってあんまりバス釣りのイメージないしね。




それだけに、ひょっとしたら、ひょっとすることもあるかもしれない。

Westさんからの話を話半分に聞いていながらも、それでもちょびっとは期待しながらその日を迎えた僕だったのでした。






車を出すことになった僕は3時にWestさんを迎えに行きます。

Westさん自慢のピカピカのエレキ一式を詰め込むと、一路群馬県への道をひた走ります。


到着予想時刻は6時ぴったり。

…深夜にも関わらず3時間の走路ということは、帰りはいったい何時になるんだろうか。


若干の不安が無いでもないですが、今日は土曜日で明日も仕事はお休み、

帰りの渋滞に巻き込まれたとしても明日はグダグダしていて大丈夫と思うと気が楽です。


最近出たリールのあれがどうだとか、ナニがどうしたとか、

バサー同士ならではの会話は途切れず、一路群馬へひた走ります。


日本のロッドとアメリカのロッドがどうのとか、高弾性がどうしたとか低弾性がああしたとか言い合っているうちに、いつの間にか東北道を降りて、車は市街地へ。


―あ、そういえばコンビニどうしましょう。寄ります?

West「たしか、手前にありましたよセブン」

―じゃあ、まだ寄らないで大丈夫ですかね?

山の方とかだとコンビニ全然無かったりするじゃないですか。

まだ10kmあるから途中にあるだろくらいに思ってたら一軒も無いとか。

West「いや、あったはずです。大丈夫」

―まだ慌てる時間じゃないと。了解です。


…たしかに、高速を降りたとはいえナビによると目的地へはまだ40km以上の道のりらしいし、

今飲み物を買ってもヌルくなってしまうしなぁ。


West「なんか、車で道を走ってて橋があると下を覗いちゃいますよね」

―ああ、川かと。

West「そう、釣れるんじゃないかと」

―わかるわかる。バサーあるあるですね。



そんなどうでもいい話をしている間に、いつのまにかナビはダムまでの残りの距離を7kmと表示しています。


―ぼちぼち、ですかね。あ、そこセブンありますよWestさん。


West「あ!ビジ夫さんそこのバス停見てくださいよ○○女子高前って書いてありますよ!」

―おお、本当だ、なんかちょっとあれですね、なんかちょっとあれですね!

West「いやー、どうなんですかね女子校って。どうなんでしょう」

―どうなんでしょうねぇ、女子校。どうなんでしょう。



…車は静かにセブンを通り過ぎます。





West「お、なんか上り坂になってきましたね」

―山に入ったんですかね。たしかに僕、耳がキーンとしてきましたよ。

West「あ、そうなっちゃう系の人ですか。ていうかいつの間にか山ですけどコンビニやばくないですか」

―え、さっきセブン寄るか聞いてもスルーされたんでもっと先にあるのかと思いましたけど違うんですか。

West「え?セブンあるって言いました?」

―言いましたよ思いっきり!どうするんですかこれ完全にコンビニとかいう雰囲気じゃなくなってきてますよこれあったとしても完全に無人の地元特産野菜販売所とかですよこの雰囲気!

West「ちょっと調べますから待ってください…、あ!さっきの女子校の近くにあったらしいですよ!それが最後だ!」

―だから僕そこでセブンあるって言ったじゃないですかどうするんですかもう着いちゃいますよ!





…わぁわぁと責任を押し付けあって、最終的には女子校の近くにコンビニがあるのが悪いという結論に至り、それはめでたしということになったのですが、

しかし実際問題どうすべきでしょうか。


West「引き返します?面倒ですけど」

―いやー、うーん…。今から7km引き返すのもなぁ。

もう、いいんじゃないですか?最悪自販機で水が買えればなんとかなりますよ、たぶん。

West「…そうしますかぁ」




…なんだかいきなり幸先の悪いスタートになってしまいましたが、しょうがない。

あとはもう食べ物やらを胃に入れるヒマもないくらいバッコンバッコン釣れ続けることを祈るしかないでしょう。


…僕はダムのほとりの無料駐車場に車を寄せます。

車から降り、駐車場の中からダムを覗くと…。


―わ、すごい!思ってたより雰囲気ぜんぜんいいところじゃないですか!

West「あそこなんていかにも釣れそう」

―ですね、水も結構よさそうだし…。


…やはり、山々に囲まれたダムというのはそれだけで地元の千葉には無い雰囲気を持っているもので、

なんだかどこで何をやっても釣れそうな気がしてきます。









全景を眺めてみると、規模的には、どうやらあまり広くはないらしい。

面積だけで言うと、大きめの野池と言ってしまっても差し支えないくらいの広さです。


…ただ、おそらくダムである以上は、水深は野池のように浅くはないのでしょう。



West「カタヤマさんは先に着いて近くを散歩してるらしいです」

―カタヤマさん?今日はカタヤマさんもご一緒だったのか。

それは非常に心強い、何か想定外の事態が発生したとしてもきっとカタヤマさんからアドバイスをもらえば…


West「あ、あのあっちから歩いてくる人そうですよ、カタヤマさーん」

―お、ほんとだ、おはようございま…





カタヤマ「そこにデッカいカブトムシいましたわー!」








…既に群馬の自然を満喫していらっしゃる!



―いやいやカタヤマさん、カブトムシもいいんですけど今日はあくまでも…、

あ、カタヤマさんのご友人のポンパさん。

ポンパさんもご一緒だったんですね、おはようございます。



…ブログには書いたことがなかったかもしれませんが、以前にもご一緒したことがあるポンパさん。

間近でその釣りを拝見したことはありませんが、とりあえず僕より上手いことは間違いないでしょうから、これも心強い。



―今日は4人?

West「です」



…どうやらこれで今日のメンバーは全員そろったらしい。

挨拶もそこそこに車をボート屋さんに移動させます。



―う、駐車スペースから桟橋まで結構距離ありますね。カートとか無いのかな?

West「無さそうですね…。あ、そこ一輪車落ちてますよ、あれ使えってことかな」

―あー…、一輪車かぁ。

…これであそこまでの距離を運んでいくのは辛い。

結構急な斜面になってるし…。

しかし、無いものは仕方がない。



4人がかりでヒィヒィ言いながら桟橋までエレキ一式を移動させます。

ボートへのセッティングを行っていると、ポツポツと僕ら以外のお客さんの姿も見え始めましたが、

大量の荷物をヒィヒィ運んでいる僕らを尻目に、彼らは「ちょっとそこまで」感が溢れ出ている軽装です。


―近場から来てるのかな?トラウトがメインのダムというのは本当だったんだ。


80近いように見受けられるおじいさんがボート屋のご主人と話し込んでいますが、時折こちらを眺めて笑っています。


おじいさん「…すごい荷物だな!」

ご主人「ブラックはねぇ、大変だよ」



…なるほど、おおよそ会話の内容は判断できました。

やはり、ここではバス目当てのお客さんというのがほとんどいないのでしょう。

これは、否が応でも期待が高まります。



…Westさんがエレキの取り付けを行っている間に、僕は料金を払ってくることにします。


ご主人「遊漁料とボート代あわせて二人で5500円ね」

―はい、よろしくお願いします。

ご主人「ボート屋閉めるのは4時なんだけど、ブラックは片付けに時間かかるでしょ、悪いんだけど30分前には戻ってきてくれるかな」



…3時半に帰着ってことか、房総に比べると随分早いな。

夕マズメがやれなさそうなのは残念だけど、まぁ、あんまり遅いと帰りが大変になるし、このくらいでちょうどいいかもしれない。


―はい、わかりました、



と返事をして、Westさんのところに戻るとセッティングもほぼ終わっているようです。


―いきますか。

West「いきましょう!」



いよいよ、未知のダムへの挑戦が始まります。



West「水はまぁまぁですね」

―そうですね、水温は何度ですか?

West「23度くらいですかね」



…お決まりの会話を交わしつつボートを進めていきます。


West「あっちの岸をカタヤマさんたちがやってるみたいですから、僕らはそっちからやっていきますか」

―そうですね、ひとまず魚の付き場所調べましょうか。



初見で何も情報のないダムならば、最初にやるべきはバスのおおよその居場所を特定することでしょう。

僕は迷わずビッグベイトを手に取ります。

サーチルアーとして、一番信用しているルアーかもしれません。


まずは岸際ギリギリに落として、ゆっくりと引いてきます。


…これだけバサーが少なくて、しかもメインベイトがトラウトなら、これで案外あっさり喰ってきちゃったりなんちゃって…、


…しかし、チェイスはありません。



―じゃあ、カケアガリかな?

ブレイクがあるであろうラインに沿って同じように引いてみます。


…しかし、こちらも反応なし。






…おや。

一抹の不安を覚えます。


―ひょっとして、あんまり活性がよろしくないのかな。

群馬の季節の進み方はよくわからないけれど、時期的にアフター真っ盛りということもありえる。


…といっても、ポイントも何もわからないダムで、じゃあ撃ちで丁寧にやってみますかなんていうのも面倒くさい。


West「水深はここで10m超えてますよ。そのへんから急にズドンと落ちてますね」

…なるほど、やはり小規模とはいえダムはダム、それなりの水深があるということか。

こりゃやっぱり撃ちで底をとって…、ってやっていくのは効率が悪そうだ。


―リアクション狙ってみるか。


…ジャークベイトを手に取ります。

これも魚を追いかけさせやすいルアーですから、サーチのつもりでやっていってみるのもいいでしょう。


これを岸と言わず沖と言わず投げまくって、ひたすら魚の反応を待ちます。


West「…あっち側がバックウォーターになっているはずなんですよ」

―へぇ。なるほど、それはちょっと確認せざるをえませんね。


…Westさんがボートを進めます。






…が、







―浅っ!!


West「水深1mもないですね。底が見えちゃってる」



―そっちの方に進んだら座礁しますよ。そうか、川筋には入れないダムなんですね…。




…ダムの釣りの中でも、普段馴染み深い川筋に絡んだ釣りが好きな僕はちょっぴりガッカリしますが、

どうやら自分が今いるこの一帯は、このダムでは珍しいシャロー地帯になっているようです。


川筋から流れてきたゴミが溜まっていて、ひょっとしたらその下にバスが付いているかもしれません。

そう考えてトップでゴミの脇を通したり、ゴミが薄い場所を狙ってジャークベイトを落としてみたりしますが、しかし、反応はありません。



―うーーーーん…。



…ところで、Westさん、ここまで、バス、見ました?

West「いや一匹も見てないです」



…。


…嫌な予感がする。

今まで何度となく経験してきたあの感覚が蘇ります。



ざわ…。



いやいや、まだ始まったばかり、たまたま僕らが通ってきたポイントが良くなかった可能性だって…、


―…あ、カタヤマさん。カタヤマさんもこっちに来たんですね。どうですか?

カタヤマ「アタリはありましたけどね、バスっぽくないですね。たぶんトラウトですわ」

―バス見ました?

カタヤマ「見てないです」





…。












やばいやつだ。










これ絶対やばいやつだわ間違いないわ。

百歩譲って、僕とWestさんの二人だけなら、まぁこんなこともあろうかというか、むしろいつもこんな感じばっかりだろうという気もするけれど、

カタヤマさんとポンパさんの二人も全く同じ状況というのはマジでヤバイ。


何しろ真冬釣行にご一緒して、こっちは当然の如く完全試合を達成している真横で、



「5バイト2フィッシュでしたわ」





なんて平然と言ってのけるのが当たり前の人なんだから、カタヤマさんは。







…時間はとっくに7時をまわっていて、気温が高くなってきました。

朝マズメも既に終わっているのでしょうか。

というかそもそも今日は始まってすらいないのかもしれません。


首筋を汗が伝います。


West「反対側にもう一つバックウォーターがあるはずなんですよ。そっち行ってみましょう」

…なぬ、なんだ、まだそんなポイントが残っていたんですか。

―そうしましょうそうしましょう、と全力で同意して長距離移動を開始します。



…みちみち、出っ張った岬や橋脚や立ち木などなど、ダムならではというポイントを撃っていきますが、やはり反応はありません。



―うーん、やっぱり、これだけやってるのにチェイスすらないというのが異常だと思うんですよね。

まったく見当違いのことをやっているとしか思えないんです。


West「そうですね…、水深10mとか20mとかに沈んでるのかなぁ。ダムだとアフターの時期って魚が沈んだりするんでしたっけ?」

―いやー、ちょっとわかんないですけど、そうなのかもしれませんね…。



シャローはもちろん、岩盤沿いとか、5mラインくらいのカケアガリとか、

そういった地形はかなり意識してやってきたつもりです。


あとは、やってないのはWestさんが言うとおりのディープくらいですが、

しかしそんな真冬のような釣りが本当に必要なんでしょうか。




West「あ、そこのワンド、流れ込みがありますよ!アツそうじゃないですか?」

―お、ほんとだ!普通なら絶対ついてそうな感じですよね。



…奥まったシャローのワンドに、適度にカバーがあって、日陰になった先に流れ込みがある。

たしかに普通なら一級ポイントと考えるべき場所です。



ただし、「普通なら」です。




Westさんは撃ちをやるようですから、僕はサスペンドミノーを投げてみます。

極力スローに、ポーズを長めにとるようにして引いてくると…、


…! 魚影?





あ、コイか…。なんだ。びっくりさせやがって。



―ていうか、ここコイ多くないですか。

West「多いですね」


…そう、さきほどから見える魚影はコイばかり。

たまに表層近くを5cmくらいの見たことのない小魚の群れが通り過ぎたりしますが、あれば多分トラウトの稚魚なのでしょう。



West「…ここで何も反応ないとかありえますか」

―やっぱり普通の状況じゃないんでしょうね、今日は。



…どうやら、Westさんの撃ちモノにも何も反応が無かったようです。

すっぱりと見切って、更にボートを先に進めることにします。






West「この先がバックウォーターのはずですけど…」

…がっかりしたようなWestさんの視線の先を見ると、どうやらここも先程と同じで、川筋は浅すぎて入ることができないようです。


West「ていうかめちゃめちゃ減水してますよ、そこの岩盤見てくださいよ」

…たしかに、言われるとおりに岩盤に刻まれた水の跡を確認すると、どうやら満水時から10m近く減水しているようです。


―満水だったら川筋にも入れるんでしょうね。

West「でしょうね…、あ、そこの!?それバスじゃないですか?」


―え?



…いや、あれはコイでしょ。バスじゃないですよ。

West「近くに何匹か固まってますよ!一匹バスじゃないですか?」


―え?


あ!ほんとだ!バスだ、40くらいありますよ!


…今日初めての見えバスに一気にテンションが上がります。






…が、


―ああ、もうこっちに気がついちゃってますね。






さっさと身をひるがえして沖に逃げていくバス。

ダメ元で逃げる先にルアーを投げてみますが、当然喰ってくることはありません。



West「いましたね」

―いましたね。このダムにバスはいないかと思ってました。

West「一匹だけですけど」

―まったくシャローに上がってないというわけじゃないんでしょうね。



ただ、さっきのは釣れないやつだったっぽい気もしますが…。

こっちが気づく前に気づかれちゃってましたしね。




…そこからはひとまず似たような魚がいるんじゃないかと二人で四方八方に巻物を投げまくります。



…が、当然反応はありません。



―最後の生き残りだったんですかね。

West「そうかもしれませんね」



気がつけば日はすっかり昇り、のどはカラカラ、コンビニを逃したことでお腹もペコペコ、

この状態で帰着時間までやり続けるのは厳しすぎます。



―いったん、休憩入れませんか。飲み物補充して、できればお昼もとって。

West「そうですね、いったん仕切り直したほうがいいかも」



カタヤマさんたちに連絡を入れ、ボート屋さんに引き返します。








ご主人「あれ、どうしたの。あがっちゃうの?」

―いや、休憩取ろうと思いまして。

ご主人「どう?釣れた?」

West「いや、それが全然で」

ご主人「あらら。いやーでもこないだ初めて来たって人が50cm釣ったって言ってたけどねぇ」


…なぬ?


ご主人「せっかく千葉から来たんだもん。もっとやっていったほうがいいよ」

West「そのつもりです。ちょっと仕切り直しということで」

ご主人「ていうかそのあたりにブラックいるよ」






―え?


ご主人が指を指す方向を見ると…。




…あ。



たしかに!バスだ!見えバス発見…、






…が、そこにいたのは5cmくらいの豆バスたち。

仲良くトラウトの稚魚に混じって泳いでいます。



―Westさん、そこバスいますよ。ちっちゃいですけど。

West「あ、ほんとだ…。でも大きいのがいないですね」

―たぶん、付き場所が違うんでしょうね…。





うーむ。






…お昼をとるつもりならここがいいよということで、ご主人に教えてもらったうどん屋さんに向かいます。



West「さっきご主人に聞いたんですけど、今年はやっぱり水が少ないらしいです」

West「減水のせいなんでしょうね、この異常さ。普段なら初見で50釣れるくらいのポテンシャルはあるってことなんでしょうから」


―ですね。ただ、たぶんですけどバスの絶対数自体も多くないんだと思いますよ。

West「トラウトがメインだから、ガンガン放流したりして、バスの稚魚とか食べてるのかもしれませんね」

―バスは保護してないでしょうからねー。



…うーむ、と相変わらず二人で悩みながら、ひとまず午後に向けてエネルギーをチャージします。








仕切り直しの午後。


プランは考えたかと聞かれれば、まったく考えていません。

そう広くもないダムですから、午前中にやったことをそっくりやり直してもお釣りがくるくらいの時間はありそうです。


僕もWestさんもディープを取るような釣りを試すつもりはまったくありませんから、やはりダメだと思いつつも、岸際やシャローを重視してやっていきます。


スピナベ、あるいはクランク、あるいはプロップといった巻物、

テキサス、ヘビダン、フットボールにヘビーキャロライナのような撃ち、

ポッパーにペンシルに僕の伝家の宝刀プロップペッパーまで、


表層と言わず中層と言わず、

縦といわず横と言わず、

午前に通ったルートを、考えられる限りあらゆる方法を試してみます。





―あ、午前中には無かったシェードができてる!







…しかしダメ。










―あ、このへん、水に流れが出てきてる!











…しかし、そこもダメ。















―なんなんだここは。




こんな釣り場がこの世にありうるのか。








…ほとほと疲れ果てた僕の目にカタヤマさんたちのボートが接近してくるのが見えます。






…あ、カタヤマさんたちだ。

東葛のシャローマンことカタヤマさんのことですから、きっと、僕らが休憩をとっている間にも休まずひたすらシャローを探してはやり続けていたのでしょう。


―どうです?何かありました?

カタヤマ「なんにもないよ!岸際も立ち木もなんにもなし!」











…ええー…。

あのカタヤマさんが、ここまでやって何もないのか。


きっと、僕らでは考えもつかなかったようなことも思いついていたのでしょう。

僕らでは引き出しのどこを探しても出てこないようなこともやっていたのでしょう。




それでもダメなのか。

こんな場所が世の中にあっていいのだろうか。





この世に地獄という場所があるなら、それはここのことだろうと僕は思ったのでした。










…時間も1時をまわって、たぶん今が一番暑い時間帯でしょう。

おそらく30度近い気温になっているはずです。



汗はダラダラ、モチベーションはとっくの昔に地面の底を突き破ってしまっていて、

果たしてこのままやり続けることに意味はあるのか。

さっさと帰って家で酒でも飲んで寝たほうがよっぽど有意義な時間の使い方なんじゃないのか。









…でも、






―わざわざ群馬までやってきて、まさかデコって帰るわけにいかないですよね。

West「ですね」






その一念。

もはや僕らの体を突き動かすのはその一念しかありません。



どんな形だろうが、とにかく一本とって、そうしなきゃこのままおめおめ帰るわけにはいかないじゃないか。

がんばりましょう、Westさん、もうひとふんばり…、



…あれ?カタヤマさんたち、あがっちゃってる?なんかオカッパリしてますよね?



ボート屋の桟橋に立つカタヤマさんとポンパさん。

何やら道具は船に積みっぱなしのまま、ロッド一本だけでオカッパリをしているようです。




West「オカッパリにしたんですかー?釣れましたー?」

カタヤマ「ォ-! ○△@#□&~~!」




―…なんですって?

West「4匹釣ったって」



―ハァ!?



West「たぶん、あそこに浮いてた豆バス釣ってるんだと思います」



…なんと!

急いで桟橋に近づき話を聞いてみます。








カタヤマ「いやー!やっちゃいましたわ。ついついやっちゃいました。だって全然ダメなんだもん」

―やっぱりダメでしたか。…いやいや、ていうかその豆バス釣れるもんなんですか。どうやったんです?

カタヤマ「いや、スピニングでリアクションですよ。このワームを付けて水面を跳ねさせると喰ってくるんです」


…言いながらキャストするカタヤマさん。




小さなワームをピョンピョンと水面を跳ねさせながら引いてくると…、






「バショッ!!」





!!


ほんとに出た!




カタヤマ「まぁ、ほぼノらないんですけどね。運がいいとノるんです」


…ほえー…。何だこの釣り。今まで見たこと無い。

―ポンパさんも同じように釣ったんですか?


ポンパ「釣れましたよ」


へぇぇ…。



カタヤマ「ビジ夫さんもやってみます?これ貸しますよ」

…言われるがまま、タックルを受け取って水面を跳ねるようにワームを引いてみると…、






「バショッ!!」




!!


出た!なんだこれ面白い!



カタヤマ「困ったときにやってみると釣れたりするんですよ」







…さすがだ。

やはり僕とは釣りの懐の広さが全然違う。





ご主人「あんたたち、もうあがるの?陸からやるなら4時まではやっていいけど」




…Westさん。

二人でコックリとうなずきあって、ひとまずボートの装備を片付けてしまいます。

汗だくになりながらエレキ一式を抱えて坂道を昇り、無事車に積み込んで、さぁ、あと1時間ちょっと。

最後の勝負です。




カタヤマさんのスピニングでワームをキャスト。

水面を跳ねさせるように引いてきます。




「バシュッ!」

「バショッ!」



出た!









…けど、ノらない。

出るんだけど、ノらない。





…まぁ、魚も小さいし、トップウォータープラグのようなトリプルフックが付いているわけでもないんだから、

ノリが悪いのは仕方がない。

ここは辛抱強く続けていくしかありません。





…ボート屋の閉店時刻が刻々と迫っています。













「バシュッ!!」



…ぐあー!今の惜しかった、しかも結構いいサイズ(20cm)じゃなかったか、今の。


いやいや、そんなことを悔やんでいる場合じゃない、たぶん残された時間はあとわずか、

少しでも多くキャストしなければ…!






「バショッ!!」


…出た!








…ノッ…た?








ノッた!ノッてる!




オリャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
























…イヨッシャーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!













カタヤマ「あ、ビジ夫さん釣った!?」


ポンパ「釣れてる!おめでとうございます!」




―やった、やりましたよお二人とも。お陰様で釣れましたよ!

いやー、もうギリギリでした。よかった、本当に。



カタヤマ「ちっちゃくても一匹は一匹ですわ」

―そうですね、ありがとうございました。




カタヤマ「よーし、じゃあこれで全員釣ったし、帰りますか!」

―ですね!もう思い残すことはありません!






…お礼を言って、スピニングタックルをカタヤマさんに返却します。


ご主人「釣れた?よかったね、じゃあ門閉めちゃうから車移動しちゃってー」

―ハーイ!

カタヤマ「じゃあ、お疲れ様でした!俺らこのまま帰っちゃうんで」

―はい、じゃあまた今度!ほんとにありがとうございました!

ポンパ「いや、よかったよかった!お疲れ様でしたー!」

















































West「………」





































―あら、どうしましたWestさん。

早くロッド積んじゃってくださいよ。















West「…はい」


―ラーメンでも食べて帰りましょ。佐野ラーメン、美味しいですよ。









West「……」















2017/6/24(土)

弱風
気温:30度
水温:23度
アタリ:0
バラシ:0
ゲット:0






…まぁ、最後の一本はノーカンでしょうね、普通に考えて。

しかし、本当に厳しかった。



今までもバイトどころかチェイスすらない完全試合だって何度も食らってきたけれど、

今回のはちょっと質が違った気がします。


それこそ、全打席三球三振の81球完全試合でも食らったような気分です。




自分の釣りがここまで通用しないと実感したことは今までに無かったし、

ひょっとしたら、自分でも気が付かないまま、僕はちょっと「イキってた」ところがあったのかもしれません。

そんなプライドもあっさり破壊されて、これからはもっと謙虚にイチから頑張っていこうと思った僕だったのでした。
 






…無事に帰宅して、待ち望んでいたお酒をチビリチビリやっていた僕だったのでしたが、


嫁「…で、どうだったのよ」





―あー、うん…。デコったわ。いやーひどかった。こんな経験、初心者以来したことないかも。

嫁「フーン。なんてとこだったの?」

―〇〇ダムとか言ってたかな。


嫁「はぁ?〇〇ダム?あたし行ったことあるって前に話したじゃん!」


―え?



嫁「んでデコったって」


―はぁ!?いや聞いてないよそんな話!


嫁「絶対言ったわ!あーあ、〇〇ダムのことだって知ってたら、やめた方がいいよ、って言ってたのに」










…。









…どこが誰も知らない未開のパラダイスじゃい!







はぁ、しかし、今日は本当に叩きのめされたなぁ。

ある程度狙った通りにバスが釣れるようになってきたなんて思うこともあったけど、とんだ思い上がりだったわい。



いつかあのダムにリベンジを果たすそのときのため、これからがんばって勉強し直そう。












…いや、やっぱり二度と行くことはないな。


そう思い直して、早々に床に就いた心身ともに疲労困憊の僕だったのでした。

…なんじゃ、この水の汚さは…。

 

 

 

6月10日

 

花見川の最上流に浮かんでいた僕は、周辺を見渡しながら途方に暮れていたのでした。

 

夜明けとともに入水した上流の水から、何やら怪しげな異臭が漂ってくることに、僕は早々に気がついていました。

 

しかし、それを「どっかに死んだヘラでも浮いてるんだろう」と心の中で片付けて、

 

僕は眠い目をこすりながら、それでもがんばって早起きができたことに満足しつつ、

 

岸際に向けてトップウォータールアーを投げ続けていたわけだったのでした。

 

 

 

…しかし、日が完全に昇り、どれ水温でも測ってみようかと水中を凝視した結果がこの有様です

 

 

―これは、まさか、アオコじゃないのか。

 

 

 

…今はたしか6月の上旬です。

 

僕が知る限り印旛水系でもっとも水質に優れた花見川の最上流。

 

それがこの時期にアオコが浮いているなんてことがありえるのでしょうか。あっていいのでしょうか。

 

 

手元のリールを見ると、本来半透明なはずのフロロカーボン素材のラインは、既に半褐色に染まっています。

 

 

…僕、さっきエントリーした直後の手が濡れた状態でペットボトルのお茶を開けなかったか。

 

 

 

若干潔癖気質の僕は一瞬意識が遠のきますが、がんばって現世に踏みとどまると、この惨状を理解するために頭を働かせます。

 

…なぜ、こんなことになっているのか?

 

 

つい先日梅雨入りが発表されたばかりとはいえ、それまでも細かい雨はチョコチョコと降っていたはずだし、

 

何より2週間ほど前にここを訪れたときにはこんな状態ではなかった。

 

 

…何か、最近で大きな気温の変化でもあったっけ?

 

 

色々と考えてはみますが、昨年までと大きく異なるような要因は何も思いつかないのでした。

 

 

―花見川の上流がこの有様ということは、中流や下流はどうなっているんだろう。

 

もっとひどいことになっているのか、あるいは案外下流にくだるほど水質というものは安定しているかもしれない。

 

 

…しかし今更再上陸して、どれ様子でも見に行ってみるか、なんてことにはなりません。

 

朝マズメの今、エントリーしたばかりの上流を見切ってしまうには早すぎると僕は判断したのでした。

 

…というか、それほど気合を入れていたわけではない単独釣行、要するに単に移動が面倒くさかった僕です。

 

 

ひとまず、投げ続けていたプロップペッパーをそのまま岸際に投げてみます。

 

チェイスは…、ない。

 

 

うーむ、と僕は腕を組みます。

 

…こりゃ、水面を追っかけてきて喰うような状況じゃなさそうだ。

 

トップを投げるにしても、何かもっとこうネチネチとした…、

 

 

…考えながら投げたルアーが、岸際の草に引っかかります。

 

 

 

―むむ、いいところに入るかと思ったのに、邪魔な草が…、

 

 

ちょいちょいとゆすってやると、ポチャンと着水するプロップペッパー。

 

どうやら葉っぱにフックが掛かっていただけらしい。茎の部分でなくてよかった…、

 

 

と、回収しようとリールを巻こうとした瞬間、水中から何かの影が接近してプロップペッパーに体当たりします!

 

 

―え?

 

 

 

 

と思ったときには既にロッドに重みが乗っています。

 

 

あわててアワセを入れて寄せてくると…、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―…バスだ。釣れた。

 

 

どうやら、草をゆらして着水した光景が、バスからは虫やカエルが水中に飛び込んだように見えたのでしょうか。

 

もちろん、狙って釣れた魚ではありませんが、とにもかくにもこの水の状況で早々に一本釣れた僕は安堵します。

 

 

…どうやら魚自体はいるらしい。

 

いるけれども、食わせるにはそれなりのコツがいる日ということらしい。

 

 

水面にポチャンと落として定点をネチネチできるルアーと言えば…

 

 

…ポッパーかな。

 

そう考えた僕はプロップペッパーからポッパーに変更します。

 

 

岸際にキャストしてしばし間を置き、ゆっくり、ゆったりとアクションを入れてみます。

 

 

「ポコン………、ペコン………」

 

「ポコン………、パコン………」

 

 

 

…しかしバスが様子を見に来る気配すらありません。

 

 

 

―違うのか、ネチッとした食わせが正解なのかと思ったけれど、違うのか。

 

 

それでも、しばらくは同じ攻めを継続していきます。

 

 

「ポコン………、ペコン………」

 

「ポコン………、パコン………」

 

 

 

…反応、なし。

 

ここまでやって反応がないならやはり正解ではないらしい。

 

だとするとどうしようか、いっそフロッグでも使ってみようか、

 

あるいは、ペンシルとか?

 

 

…いや、そもそもネチッとした攻め自体がだめなのかもしれない。

 

食い気が低いなら、逆にリアクションを狙ってみてはどうだろうか。

 

 

 

思い立って、僕は連続トゥイッチのドッグウォークを入れてみます。

 

まるでジャーキングでもしているように、できるだけ早く、できるだけ細かく、連続でルアーを動かし続けると、

 

 

 

 

 

「ジャボッ」

 

 

 

 

!?

 

出た!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ドッグウォークに変えてみたらあっさり出た。小さいけど。

 

 

しかし今の一本はたまたまかもしれません。

 

継続してポッパーのドッグウォークを試してみます。

 

 

…ジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッ

 

ジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッ

 

 

 

 

 

「ジャボッ!」

 

 

 

 

 

!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また出た!!

 

 

 

…今度は40アップとまではいかないけど、まあまあのサイズが釣れた。

 

ということはコバスならではのパターンというわけでもなさそうだ

 

 

…リアクションか。

 

 

ならば、と僕は再びルアーを変更します。

 

手にしたのはフローティングのジャークベイト。

 

 

さっきの魚がポッパーの連続ドッグウォークを喰ってきたなら、こいつのジャーキングにも必ず反応したはず!

 

今日の正解パターンを確信した僕は、テンション高く岸際に向けてジャークベイトをキャストします。

 

 

 

…ジャッ!ジャジャジャッ!ジャジャジャッ!ジャジャジャッ!

 

ジャジャジャッ!ジャジャジャッ!ジャジャジャッ!

 

 

 

 

…。

 

 

あれ、反応がない。

 

おかしい、さっきのが正解パターンだとすると、トップよりもむしろ表層直下のこのルアーの方が釣れやすいと思うんだけど。

 

 

あれだけ短時間に連続して釣り上げることができたんだから、このルアーにも早々に反応があっていいはず…。

 

 

…下流に下るにつれて水はどんどん汚さを増し、水面には何やら変な油のようなものが目立ち始めます。

 

 

 

―引き返すべきだろうか。

 

 

いや、いったん支流との合流地点まで下って、その周辺の状況を見てからさらに下るか引き返すかを判断しよう。

 

そう決めて、相変わらずジャーキングを繰り返しながらどんどん下っていきます

 

 

…もう、ここまで来ると水が濁りすぎて水中の状況が全然わからない。

 

喰ってくるその瞬間まで、魚の動きが把握できません。

 

 

―支流の水が綺麗なら、合流地点からは水質が回復している可能性がある。

 

 

 

それに望みをかけて、下るペースを早めていきます。

 

もはやルアーをキャストすることもそこそこに、支流との合流地点まで一刻も早く到達するべく足こぎに全力を注ぎます。

 

 

…そういえば、フローターで一日浮き続けるとすると消費するカロリーは果たしてどのくらいなんだろうか、

 

なんて釣りとは全く無関係の疑問が頭に浮かんだ頃、僕はいよいよ支流との合流地点付近に差し掛かりました。

 

 

 

 

―さぁ、水の状態はどうだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

…。

 

大差ない…。

 

 

 

と言うかむしろ支流の方から大きめのゴミが流れてきて、それが岸際に溜まっているものだからジャークベイトが投げづらくてしょうがない。

 

 

…支流ですら、こうなのか。

 

一体全体、なんなのでしょう、今日は。

 

 

去年の今頃も僕はこうして花見川に浮いていましたが、これだけ水が汚かったことは一度も記憶にない。

 

 

 

 

 

…引き返すか。

 

釈然としないまま、フローターの向きを反対側に変えます。

 

そして釈然としないといえば、このジャークベイト。

 

2本目と3本目の反応を見る限り、あれはジャークベイトで喰ってきてもおかしくない魚だったはず。

 

 

そう思ったけれど、水面直下だとダメで、水面上だからこそ釣れた魚だったということなんだろうか。

 

 

…その仮説を確かめてみるために、再度ポッパーに戻します。

 

釣れたときと同じように岸際から距離をとり、同じようにキャストしてからの連続ドッグウォーク。

 

 

 

ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!

 

ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!

 

 

 

 

 

 

 

…反応がない。

 

アレッ?

 

 

 

おかしい、あれだけ短い時間の中で連発したんだからこれが正解ならそんなことは…、

 

 

 

 

 

ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!ジャッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

…やっぱり反応がない。

 

アレッ?

 

 

パターンが終わってた?ただの時合い?

 

偶然?たまたま魚が溜まってたところを直撃できただけ?

 

 

 

…わからん。

 

ただでさえ普通じゃない状況、こんな時にバスの考えることなんてわからんわい。

 

 

 

…ふと気がつくとペットボトルのお茶がカラになっています。

 

ここまで無心でルアーをキャストし続けて気が付きませんでしたが、どうやら急激に気温が上がってきているらしい。

 

 

―…この気温のせいもあるのかなぁ。

 

つぶやきながら、それでも未練がましくポッパーを投げ続けますが、やはり反応は皆無です。

 

 

…やっぱり、朝マズメが絡んで一瞬の時合が発生しただけだったんだろうか。

 

一時間エントリーが遅かったら、デコってたかもしれない。

 

そんなことを考えながら進んでいくといつの間にかエントリーポイント近く。

 

もう一度下る気力はなく、時計を見ると8時過ぎ、この日は納竿としたのでした。

 

 

 

 

2017/6/10(土)

弱風
気温:17→26度
水温:21度
アタリ:3
バラシ:0
ゲット:3

 

 

―しかし、今日は紙一重だった。

 

3本釣れたことは釣れたけど、まかり間違えばデコっていても全くおかしくない日だった。

 

 

水がなぜここまで悪くなっていたのか、それは結局わからずじまいだったわけですが、

 

苦しんだ中でも、しかしそれなりに収穫があったのでした。

 

 

それは、たった一つのルアーであっても使い方次第で全くバスの反応が変わるということ。

 

ポッパーには「定点を攻められる」という長所があるわけで、どうしてもそれにこだわった使い方をしてしまいがちなわけですが、

 

大胆に視点を変えて使ってみれば、新しい発見があることもある、

 

そんなことを知った一日だったのでした。

 

 

 

 

…関東はすでに梅雨入り宣言が出されたわけですが、なにやら中途半端なパラパラとした雨ばかりで、

 

ドカンと一発豪快に雨でも降れば、いよいよ2017年のバス釣りも最盛期に突入するのかなと、

 

そんなことを考えている今日この頃だったのでした。