こんにちは!中小企業診断士の尾﨑です。
中小企業の成長戦略として「M&A」を活用するケースが急増しています。中でも、既存事業との相乗効果やリスク分散を狙った「異業種M&A」は非常に魅力的ですが、文化の違う事業を統合していくPMI(M&A後の統合プロセス)は一筋縄ではいきません。
今回は、中小企業庁の『中小PMI取組事例集』にも取り上げられた、株式会社オゾンインターナショナル様(織物・衣服・身の回り品小売業)による、飲食店M&Aのリアルな事例をご紹介します。
「計画通りにいかないのがM&A」――そんな実態と、それをどう乗り越えたのかのヒントが詰まっています!
🏢 事例の概要:アパレル小売が「飲食店」を譲り受け
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譲受企業: 株式会社オゾンインターナショナル(織物・衣服・身の回り品小売業)
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譲渡企業: 飲食店
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テーマ: 異業種M&A、戦略の柔軟なアップデート、人材確保
出所:「PMI取組事例集」(令和6年3月、中小企業庁)
🚨 当初の想定と、立ちはだかった「想定外」
オゾンインターナショナル様は、元々アパレルや小売などを手掛ける企業です。新たな事業展開として飲食業への参入を検討し、当初は「小型カフェ」の譲り受けを想定してM&A先を探していました。
しかし、実際に良縁に恵まれM&Aに至ったのは、小型カフェではなく「中型レストラン」でした。
規模が大きくなれば、当然ながらオペレーションの難易度も上がり、必要な人材の数も跳ね上がります。
ここで同社は、当初描いていたM&Aの目的と事業計画を「小型カフェの運営」から「中型レストラン経営」へとダイナミックに更新(アップデート)するという決断を下します。
💡 PMIの最重要課題:とにもかくにも「スタッフの確保」!
事業規模が想定より大きくなったことで、PMI(経営統合)において最も注力すべき課題が明確になりました。それは「人」です。
飲食業はまさに「人が財産」のビジネスです。従業員の離職を防ぎ、さらに中型レストランを回すための新たなスタッフを確保することが、事業存続と成長の絶対条件でした。
同社は、以下のようなアクションに最注力しました。
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想定以上のスタッフ確保への奔走: 採用活動の強化と、既存スタッフが安心して働ける環境の整備にエネルギーを集中させました。
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売上拡大(トップラインの向上)の模索: コスト削減(リストラなど)に走るのではなく、確保した人材を活かしてどう売上を伸ばすかというポジティブな戦略に舵を切りました。
📝 中小企業診断士からの3つの学びポイント
この事例から、M&Aを検討する経営者の皆様にぜひお伝えしたいポイントが3つあります。
① 「計画への固執」より「状況への適応力」 M&Aは相手があってのことであり、理想通りの案件に巡り会えるとは限りません。オゾンインターナショナル様のように、「良い案件だが規模が違う」となった際に、柔軟に目的を更新できる経営者の適応力こそが、M&A成功の鍵を握ります。
② 異業種M&Aの成功は「現場のスタッフ」が握っている 全く違う業界から新しい経営者がやってくると、現場のスタッフは強い不安を抱きます。特に飲食やサービス業において、スタッフの大量離職は即「事業の停止」を意味します。「想定以上のスタッフ確保に最注力した」という同社の判断は、極めて本質的で正しいPMIの初動と言えます。
③ 「人」への投資が「売上拡大」に直結する スタッフの確保・定着に注力することは、単なる欠員補充ではありません。安定した人員体制があるからこそ、新しいメニュー開発やサービスの向上、ひいては「売上拡大の模索」という前向きなアクションに繋がります。
おわりに
「M&Aは成約(ハンコを押すこと)がゴールではなく、スタートである」とよく言われます。 オゾンインターナショナル様の事例は、M&A後に発生する「想定外」の事態に対して、経営陣が現場に寄り添い、人材という最も大切なリソースにフォーカスして難局を乗り越えようとする、非常にリアルで力強いストーリーです。
これからM&Aや新規事業参入をお考えの方は、ぜひ「計画の柔軟性」と「M&A後の人材ケア」をセットで検討してみてください!
尾﨑中小企業診断士事務所 代表 尾﨑 友和
URL:https://ozaki-smemc.com/
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