ニューヨークの語学学校に通っていたある日、学校の先生の紹介でロングアイランドにあるアメリカ人ご夫妻の家にホームステーすることとなりました。そこはオイスター・ベイと呼ばれるところで、近くには第26代のアメリカ大統領となったセオドア・ルーズベルトの家もあります。
ホームステー先のアメリカ人ご夫妻は、アイルランド系のアメリカ人でご夫婦お二人だけの家庭でしたが、ご主人は少々小太り気味の風貌におおらかな人となりの方で、奥さんはとても明るく気さくな笑顔の絶えない方でした。
ご夫妻の家は、ゆったりとした広さの前庭にガレージもついていて、広々とした裏庭のある一般的なアメリカ人の典型とも思われるような造りの二階建ての家で、招待された時期はクリスマスの頃でもあったので、町の周辺一帯は少々雪に覆われていました。
時期が時期なので、それぞれの家では庭先にクリスマス・ツリーやサンタさん、トナカイさんを飾っていて、その装飾には独自の工夫を凝らしており、それを見ているだけでも楽しくなってきます。イルミネーションは各家庭が競って飾り付けていて、夜になると雪景色に映えた電飾はまるでおとぎの国に誘い込まれたような錯覚を覚えます。
そのころ撮った写真はもう手元になく、カメラも処分してしまっていますので、残念ながら今はもう心に残る思い出だけとなっています。
さて、イブの夕方になると、ご夫妻が招待した友人たちがやってきます。ご婦人方は手作りのクッキーやケーキ、一品料理を持って、また男性陣はウイスキー、ビール、シャンパンなど飲み物やクリスマスプレゼントを持って集まってきます。
玄関先で来客に紹介されて私も幾分緊張しましたが、そこは明るく前向きなアメリカ人ですからすぐ受け入れてもらえました。パーティーも盛り上がって皆おしゃべりに花が咲いている時、ふと傍にいた主夫人が私に声をかけてくれ温かい飲み物を勧められました。それが初めて経験したクリスマスの頃よく飲まれるというエッグノッグでした。
牛乳・砂糖・卵を材料にした牛乳をベースとした甘い飲み物で、たまご酒みたいな感じの飲み物で少しお酒も入っていましたが、寒いクリスマス・イブの夜にはぴったりの温かい飲み物です。ビュッフェ形式のメインテーブルにはお肉を中心にロブスターまであふれんばかりのお料理が並んでいます。
少し夜も遅くなってくるとお腹いっぱいの皆さんは帰るのかと思いきや、さあ次へ行こうと言い出しました。未だパーティーは序の口だという訳です。二次会は近くのお友達の家で行われました。更に深夜になると三次会です。またまた別の方の家でパーティーが始まりました。もう私は誰の家にいるのか、誰とこれまで会っているのか、誰にご挨拶しなければならないか、知らない人はいるのか。なにがなんだか分からなくて、すっかりめんくらってしまいました。
彼らは、もうそのようなことには頓着せず、飲んべ食べておしゃべりに夢中です。
宴が終了した頃は、すっかり日付も変わって夜の闇が白々と明るくなりかけた時分でした。
皆さん三々五々解散して少しづつ人もいなくなり、私もホームステー先のご夫妻に連れられて彼らの家に帰りました。
翌日のクリスマス当日も、午後からまた人が集まりだしてどこか誰かの家でパーティーが始まります。
まあ皆さんパティ―大好きで体力もあるので、そのエネルギーにはビックリさせられましたが、皆さんの高揚感は、考えてみると日本のお祭りと同じような感じで老若男女、子供まで熱く燃え上がるのかもしれません。それは楽しい楽しい数日でした。
年が明けて数か月が経った春の頃でした。
ホームステーのお礼にとご夫妻をマンハッタンの日本料理店にご招待しました。
お箸の使い方に慣れておられなかったのはご愛嬌と言えますし、和やかな雰囲気で夕食を始めました。お刺身やお寿司をお勧めしましたが、生のお魚の料理は経験もなかったのでしょう最初は遠慮して海苔巻きや卵料理をいただいていましたが、だんだん勇気が出てきたのか、イクラ、ハマチ、マグロはトライしてみると言って口にしてくれました。貝類は遠慮されていましたが。
当時、アメリカ人にお箸を上手に使える人は数が少なかったように思います。その後日本料理店にいってお箸を上手に使うことが一つのはやりみたいになりましたが、今では多くの人が当たり前のようにお箸を使っていますので、随分変化してきていることをつくづく痛感します。
なにはともかく、オイスター・ベイのアメリカ人ご夫妻に招待されたホームステーの数日は、本当に夢のような今でも忘れられない楽しいクリスマス・イブの経験でした。
12月13日(火)のブログでアップした画像、ここはどこでしょうの答え。
モンサンミッシェルでした。
ホームページの中に画像として入れていました。
http://www.visahagiwara.com/index.html


