↑Raspberry Pi OS上のFlightGear開発版の起動中の画面
スクリプトコンパイルでインストール
前回のブログでは、Raspberry Pi 5にFlightGearをインストールしたことを書きました。FlightGearのバージョンは、2020.3.16や2020.3.18という安定版でした。
安定版では、陽光を浴びた機体がつくる影の再現のためにはRembrandtを用いますが、その場合、Raspberry Pi 5ではRaspberry Pi OS(FlightGear2020.3.16)、Ubuntu(同2020.3.18)とも、空以外には航空機も何も表示されないという不具合が生じました。
FlightGearの開発版である2020.4.0では、Rembrandt機能が選択肢から消えたかわりに、Rendering Modeで選択するALS(Atmospheric Light Scattering)ではデフォルトで機体の落とす影が再現されるようになり、Low Specficationsを選択する際は同時にUse Shadersを指定すると影が再現されるようになっています(注1参照)。そうなると、開発版では、不具合が起きないのかが気になるところです。
■Raspberry Pi OSへの開発版のインストール
UbuntuでのFlightGearのインストールには、もっぱらSaikrishna Arcotさんが提供されているPPAのお世話になっていますが、開発版用(Daily)は現在はインストールに失敗する状態が続いており、しばらくは更新されるのを待つ必要があります。
そこで、今回はスクリプトコンパイルでRaspberry Pi OSに開発版をインストールすることにしました(注2参照)。Ubuntuで以前よく利用したBrizaさんのdowmload_and_compile.shを使います。
bashで実行するだけで、時間は要しますがFlightGear2040.4.0がインストールできました。
■FlightGear開発版に描画の不具合
早速起動して試したところ、Rendering ModeでALS(Atmospheric Light Scattering)を指定した場合もLow Specficationsを指定した場合も、いずれも安定版で生じた空しか表示されず機体が表示されないといった不具合は起こりませんでした。
↑地表が縞模様の不具合が発生したRaspberry Pi 5上の開発版
もちろん、起動に成功するにはAnti-aliasingは4x以下にしておく必要があるのと、機体のコントロールが結構難しいところに変わりはありませんが、さらに悲しいことは、地表が表示はされたものの縞模様となって正しく描画されないことです。
リアルが売りのフライトシミュレーターが、これでは遊ぶ気にはなれません。やはり、そこそこのグラフィック機能がないとダメということですね。高い授業料でした。
注1)アメリカのサイトのCompositorのページによれば、Rembrandtは現在メンテナンスがされなくなっており、機能が重複するCompositorがすでにFlightGearのデフォルトのレンダラーフレームワークになっています。ソースからコンパイルする場合に試すことができるということで、以前当ブログでも取り上げています。FlightGearのビルドサーバーから最新のナイトリー
ビルドを試すこともできるとされていますので、開発版の2020.4.0のRendering ModeはCompositorと考えてよいのかもしれません。
注2)Ubuntuでスクリプトコンパイルを実行すればよいようなものですが、件のdowmload_and_compile.shではSaikrishna ArcotさんのPPAが利用されていてエラー終了してしまうようです。そのため、UbuntuにかえてRaspberry Pi OSにインストールすることにしたものです。