画像はDinoや308のレストモッドで一躍有名になったMoto Technique社のエンジンです。
当社で過去に扱っていたスロットルも同じようにスロットルボディ自体がバンク内側に傾いています。
2バルブ時代のV8エンジンと違い、328の4バルブエンジンはヘッドのインテークのフランジの角度が全く違います。
その角度そのままが上の画像のスロットルの傾き角度なのです。
それが原因でもありボックス型のエアクリーナーではなく、ラッパ剥きだしか、ソックスを被せるパターンが殆どです。
カーブレイターのように油面を気にする必要がないので、スロットルが傾いていても機能的に問題はありません。
しかし、ラッパ剥きだしや、無粋なソックス、そしてスロットルが水平でなく傾いていることが気に入りません。
それが10馬力の出力向上に寄与するならば、その10馬力をくれてやるというスタンスです。
そこで思いついたのが、2バルブ、カーブレイター(Weber DCNF)世代のスロットルボディを使用して、
そのまま308純正のエアクリーナーを使用できるようにと考えました。
エンジンヘッドのインテークマニフォールドのフランジ面を3Dスキャンして308のエアクリーナーケースにバッチリ収まるようにインテークマニホールドをデザインしてモックアップをプリントアウトしました。
しかし、マニフォールドは極端な「ハの字」に広がり、バルブにきれいに燃料を噴射することが無理な形状です。
もちろん、今のインジェクターは様々な角度に噴射できるものがあることを認識していますが、
ちょっとした劣化やインジェクター内の汚れなどにより折角あわせた角度が台無しになることなどを考えれば得策ではないと判断。
そこで、上の画像内の左のモックアップ(Weber IDF)を製作。
DCNFよりはマシにはなるもののやはりベストな結果は望めそうにありません。
「ベストな結果」とは最高出力を上げることを目的としていません。
インテークバルブの「ちょうどいいところ」にきれいに燃料を噴射することを目的としています。
特に、一気筒でインテークバルブは二つ、それらは隔壁によって分けられているわけですが、
その隔壁や周りの壁に向けて噴射してしまうと燃料が霧ではなく、極端に言えば雫になって燃焼室に滴り落ちてしまうわけです。
AVOさんいつも勉強になります。感謝しています。
この記事はとても分かり易く勉強になります。
スロットルを開いているときは体感できるようなことではないかもしれませんが、あくまでロードカーを気持ちよく乗る上ではRock solidなアイドリングや極低速時のスムーズネスは非常に重要だと考えます。
ノーマルのK-Jet用のマニフォールドです。
Kのインジェクターは画像のような向きでほぼインテークバルブに真っすぐ向いています。
真っすぐ向いているのはいいですが、K、KEのインジェクターの限界はエンジンの4バルブ化でした。
シングルの扇形で噴射するKのインジェクターは4バルブには全く向いていません。テスタロッサでも同じです。
メルセデスはM102やM104の4バルブでは工夫をしていましたが(それでも無理がありますが)、フェラーリは全くこれについて何の対策もしていません。前述のバルブ間の隔壁は燃料でベタベタになるはずです。
そもそもDCNF、IDFタイプのスロットルを採用しようとした理由はそれらの形状のツインのスロットルボディが市販されているからです。それらのボアピッチが328のエンジンに合ったものであればいいのですが、それがない。
で、もう一度作業台の上の純正のインテークマニフォールドを観察していて閃きました。
なんでそんなことが思いつかなかったのだろうか。
そもそも何も難しい話ではありませんでした。
エライ遠回りをしてしまいました。
その方法なら機能を犠牲にすることなく、クリーンでしかもクラシカルに纏めることができます。
誰もやっていないうちにやってしまいましょう。
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