前回のブログにて紹介した電気回りは復旧して、エンジンは再始動しました。
冷間時の始動性やアイドルアップも良好です。
コールドスタート関連に通電していなかった状態では、
バカみたいに高かったアイドリング(高くしていないとストールしてしまう為)を落として安定させます。
両バンク間のスロットル開度も合わせて、バキュームメーターを読み、
大体合ったところで、COテスターをセットします。
この時点でまだ排気管内に残った黒い煤がでてきます。
この車両の排気口は4本で、3気筒ずつ分かれてそのままエンドまで集合すること無く通っています。
したがって、排気口4本それぞれのテストをして、それぞれ3気筒ずつの検証をします。
右バンクは概ね下の画像のように良好です。
が、そもそも問題があった左バンクのHCが正に桁違いの高さです。
一時的に3000台に乗り、低くても1000台です。
COはエアマスメーターの調整で任意に高くも低くもできます。
COを上げればHCは減少する傾向ですが、それでも1000台です。
しかも左バンクの外側(4、5、6番シリンダー)のみその症状が発生しています。
エアマスメーターは片バンク(6気筒)に一つで、調整すると6気筒分全てが同時に変化します。
ということは、COも1、2、3番に合わせて調整すると、4、5、6が薄すぎる、そのまた逆もうまくいかないということになります。
HCが高すぎるということは、未燃焼ガスが多すぎるということ。
うまく燃えていないということです。
ダイレクトイグニッションであれば、コイルが一個死んでいるなんてよくある話で、コイルを差し替えたり、パワーバランステストをすれば容易に良否の判断ができます。
が、一つのディストリビューター(点火)に12本のプラグコードが刺さっており、特定の気筒の火花が弱いということは考えにくい。
1気筒ずつプラグコードを抜き、点火の確認をしたところ全て良好に火が飛んでいる様子。
この車両は点火モジュールがMSDに換装されており、バチバチと強力な火花が飛んでいます。
12気筒もあると、1気筒失火しているくらいなら平気で回ってしまうのです。
MSDをセットするとスパークプラグのギャップを広げる必要があると当社メカニックに聞き、
ギャップを広げたものの改善はするがもちろん決定打ではない。
この時点でオーバーホウルをして、ベンチテストでバッチリ数値を合わせたKのユニットを疑い始めました。
そんなはずは無いだろうと思いながらも、燃料が少ない(薄い)場合にもHCの数値が上がります。
とにかく、左の4、5、6のいずれか、もしくは複数の不具合によって明らかに異常な数値を示しているのです。
最初が黒煙モクモクであり得ないくらい高いアイドリングだったため、
それが改善されていることが目くらましのようになっていましたが、
考えてみるとこのV12にしてはどうもパンチが無い、トルクが無いことに気付きました。
これはどうやら、一つや二つの原因ではないように思えてきました。
昔で言うならチキンウイング・フェースロック、少し前ならSTFいわゆる複合技。
同時に2点以上を攻められているのです。
あっち方面ならエネ〇グラを想像いただければ分かりやすいかと思います。
つづく
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